明日に向けて

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明日に向けて(2373)高浜原発3号機に対し原子力規制委員会が「追加検査の対応区分引き下げ」を通告!超老朽1号機だけでなく3,4号機も危険。関電は高浜原発を全て止めるべきだ!

2023年09月04日 23時30分00秒 | 明日に向けて(2201~2400)

守田です(20230904 23:30)

対応区分引き下げの意味するもの

8月23日、原子力規制委員会は、高浜3号機に対する「対応区分」の引き下げを通告しました。昨年7月からの1年間で、設備上のトラブルが相次いでいることが理由です。
「対応区分」とは、2020年設けられた新制度によるもので、第一区分の「事業者による対応(事業者の自律的な改善が見込める)」から第五区分の「許容できないパフォーマンス(プラントの運転が許容されない状態)」に分かれています。
今回通知されたのは、第二区分の「規制機関による対応(事業者が行う安全活動に軽微な劣化がある状態)」への引き下げ。規制委による追加検査がなされます。

ちなみに国内にあるすべての原発の中で、「対応区分」引き下げが適用されたのは柏崎刈羽原発のみ。このときは運転禁止が命令されました。
現在は区分は第四になっていて「複数/繰り返しの監視領域の劣化(事業者が行う安全活動に長期間にわたる又は重大な劣化がある状態)」であり、運転禁止解除に向けて検査を繰り返しているものの、重ねて不備が見つかり解除されていません。
今回、高浜3号機に出されたのは二例目で「軽微」との文言があるものの、「安全活動に劣化がある状態」であり、深刻です。


高浜3号機は蒸気発生器細管損傷の上にさらに故障を重ねている

「対応区分引き下げ」の報に接した時、すぐに思い浮かんだのは高浜3、4号機で繰り返されている蒸気発生器細管の損傷のことでした。
ところが規制委が出した通告の中身をみてびっくり。今回の引き下げの対象に細管損傷は含まれておらず、それ以外のものだけで対応区分が引き下げられたのです。対象原因として以下の4つが上げられています。
「特定重大事故等対処設備の計装設備の一部部品の未装着」「原子炉水位計に信号を送る伝送器点検(フランジ部の水にじみ痕確認)のため水位計の機能停止」「通信衛星回線不具合による衛星電話(携帯)の使用不能」「蒸気発生器水位計の指示値低下」。
このうち衛星電話の使用不能は、1号機、4号機にも共通したトラブルです。

これに加えて高浜3、4号機では、先にも述べたように、蒸気発生器細管損傷が繰り返されています。ここの細管破断はメルトダウンにすらつながりかねないというのにです。
具体的には2018年8月からの3号機定期点検で損傷1本が見つかったことを皮切りに、2019年9月に4号機で5本、2020年1月に3号機から2本、10月に4号機から4本、2022年3月に3号機から5本、6月に4号機から12本も見つかっています。
点検の度に損傷が見つかり続けているのは、原因を突き止められずに防止措置がたてられないから。4号機では、2023年1月に制御棒が制御できずに落下し、原子炉が自動停止するトラブルも起きています。

伝熱管損傷について報じる朝日新聞の記事から 関電は原因を突き止められず「可能性」「推定」などでの対処を続けている


高浜原発はトラブルだらけ!運転停止を

以上がことのあらましですが、さらに原子力規制庁の通知の詳細を読むと、これ以外にもたくさんのトラブルが1,3,4号機で起きていることが分かります。

関西電力高浜発電所3号機における令和5年度第1四半期の安全実績指標の結果を踏まえた対応区分の変更及び追加検査の実施に係る通知の発出
令和5年8月23日原子力規制庁
https://www.nra.go.jp/data/000445573.pdf

書き出してみましょう。
1「所内規定の不備による屋外アクセスルートの確保の失敗(1号機)」
2「タービン動補助給水ポンプ制御油系統のオイルフィルタからに蓋部からの油漏れ(3号機)」
3「保守管理不備により発生したスケールによる蒸気発生器伝熱管の損傷事象【法令報告事象】(4号機)」
4「非常用ディーゼル発電機のターニング時の不調(3,4号機)」

5「異物混入防止不備による加圧器逃がし弁の出口温度上昇(4号機)」
6「原子炉補機冷却器電熱菅漏えい(3号機)」

7「「原子炉格納容器貫通部の不適切なケーブル施行による『PR中性子束急減トリップ』警報発信に伴う原子炉自動停止【法制報告事象】(4号機)
8「不適切な設計管理による火災保護対象ケーブルの系統分離対策の不備(3,4号機)

一つ一つの中身を吟味できていませんが、とにかくこの1年だけでも3,4号機でトラブルが繰り返し起きていることは明白。超老朽原発1号機だけでなく、3,4号機もこれほどに問題だらけなのです。
関西電力はこんなにトラブルが続いている高浜原発をすぐに停めるべきです。


ポンプからの油漏れを報じる産経新聞

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