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明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1980)被曝の遺伝的影響と立ち向かう中から核なき未来を-被爆二世三世健康調査アンケートにご参加を! 核兵器禁止条約の豊富化のために-4

2021年02月11日 19時00分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(20210211 19:00)

被爆二世三世健康調査アンケートにご注目を!

このところ核兵器禁止条約をより力のあるものにするために、被曝の遺伝的影響を明らかにするための努力へのご参加を訴えています。
そのために京都「被爆二世三世の会」で進めている健康調査アンケートにぜひご協力ください。
http://aogiri2-3.jp/chousa/2020chosa.pdf

アンケートのタイトルにもあるように、私たちはこのアンケートを第一義的には「被爆二世三世と、そして未来世代の健康を守るために」行っています。
これまた大事なポイントです。人は自らが抱えているリスクをきちんと捉えてこそ、それと向かい合い、克服の道を探ることができます。辛いのは不安におののき続け、不安から目を背けようとし、また不安に陥る苦しい過程を繰り返すこと。
その循環を断ちきり、腹をくくり、自らのリスクと向き合ってこそより自由な生き方ができると私たちは確信しています。そのことで未来世代をも守っていきたい。ぜひアンケートにご注目ください。


被爆二世・三世健康調査アンケート4ページより 進め方についての説明


森川聖詩さんの体験から-その2

さて今回も、アンケートの冒頭に載せた森川聖詩さんの体験の抜粋録を載せたいと思います。

3、大学に入って

(大学に入って断食を経験。またクロレラを飲用するようになり体調がやや改善。以来、クロレラの愛飲を続けている)
「体調も改善されてきて、ようやく精神的にも落ち着いてきてはいた。ただ顔面痛みは相変わらずであったため、今度はその対策を考えた。顔面痛が進行し、メガネをかけている時の顔面、眉間、鼻、耳への重みや圧力や痛みも感じるようになっていたことなどから、コンタクトレンズ着用に切り替えての痛みの軽減を期待した。しかし私は角膜が弱いためか、コンタクトレンズは、ハードレンズだけでなくソフトレンズさえ、強い異物感や充血を伴う痛みを感じるため、着用は無理な状況だった」
「その後、一時期より幾分か痛みが和らいだことと、この痛みに慣れたことで、この顔面痛という原因不明とされる厄介な持病を抱えながら、生きていくこととなった」

4、就職そして結婚
(留学を経て就職。病院事務勤務の後、郵政労働者に)
「中腰姿勢の多い肉体労働や16時間勤務(16時半頃~翌朝9時半頃までの勤務。夜半1時頃~3時半頃の2時間半程度の仮眠休憩時間)を経験してみて・・・健康状態に様々な支障が現れた。不規則な生活のリズムから、自律神経の乱れによると思われる下痢や腹痛など胃腸症状や頭痛、持病の顔面痛の悪化、明け方の作業中に起こる不整脈やこれに伴うめまいや額などの脂汗、そして腰痛や内痔核が悪化し、1981年秋には内痔核切除の手術をしなければならないほどだった」

(その後、結婚)
「結婚して2年目、妻の胎内に新しい命が宿った。私にとっては、自分が結婚できたことさえ、とても幸運に思えていたので、職場にいて、妻から電話で知らせを聞いたときは天にも昇る心地で、その日は終業とともに跳ねるようにして帰宅し、お祝いしたのが思い出される」「でも、これらは束の間の喜びだった。妊娠2か月、3か月、と月日が経過しても、胎内で成長しないままであり、いわば、この世に生まれ出て存命できるだけの生命力のない胎児であることがわかった。つまり、人工妊娠中絶以外の選択肢は、残念ながらなかったのである」


1980年1月上旬に極寒の厚生省前でハンガーストライキをされた森川聖詩さん 厚生省が進めようとしてた「原爆被爆者二世の健康に関する調査・研究」に反対して。 実施目的が「遺伝的影響がないことを明らかにして不安を解消する」「今後とも医療保障を想定しているものではない」とされていたため 『現代の眼』誌より


森川さんの体験から-その3

5、30代後半から50代のころ

「私が17歳のときに顔面痛を発症してから、それが消える日は、1日たりともなかった。そしてこの顔面痛は、郵便課の16時間勤務からはずれて以降、ほんの一時期、わずかに軽快したかに見えたが、それもつかの間、30歳代後半にさしかかったあたりからまた、ますますひどくなっていた。とくに疲れがたまっているときや睡眠不足のとき、湿度の高い日などには、顔の頬や口元に針金をねじ込まれたような痛みで強い苦痛を伴った。この顔面痛は、目の疲れとも関連しているように感じられた。さらに顔面痛が進行していたことにより、軽量の眼鏡をかけた時のわずかな重みでさえも、鼻や耳に強い圧痛を感じていた」

(趣味でジャズボーカルをはじめたが声が枯れはじめ出なくなった(2000年ごろから徐々に)
「営業中や仕事が終わって夕方、あるいは歌を歌っているときなどに声がかすれることがあった。当初は、翌朝には症状が消えていたのでそれほど気にとめなかったが、次第に常態化、慢性化していった。そしてある朝、目覚めるとまったく声が出ない。仕事を休み、耳鼻咽喉科を訪れたところ、慢性喉頭炎との診断だった」
「私は、そのころ、かねてからの副鼻腔炎が悪化し、後鼻漏といって、蓄膿症のうみが鼻から喉に常時垂れてくるしつこい症状に悩まされていた。この後鼻漏が、慢性喉頭炎の大半の原因だと聞いた」

6、60代になって

「60歳になり・・・体調不良や症状も、以前にもまして増えてきている。
子どものころ、少々の傷でも化膿しやすかった兆候が再燃してきた。ほんのわずかなひっかき傷やすり傷などでも、放置しておくと、数日後にはピンク色に腫れ、炎症を起こし、化膿して、痛痒くなり、膿が出るようになった」
「60歳になった年・・・花粉症と診断された」
「2014年秋に風邪をひいたとき・・・(内科医師の診断では)気管支喘息だという」「突如として3分から、ひどいときには10分前後せきこむ発作に見舞われるようになった」
「2015年ごろから、手足が急に冷えるようになった・・・とくに、午前中に心臓の鼓動がいきなり早くなったり、脈が飛ぶような感覚に襲われたりすることもあった。もともとあった頻尿傾向や残尿感もひどくなり、就寝中、トイレに起きる回数も以前より格段に増えた。自律神経失調の症状だった」
「ちょうどこのころから、足の冷えとともに足底の妙な違和感(しびれた感覚)も出てくるようになり、それがしだいにひどくなっていった。(整形外科医師の診断では)椎間板ヘルニアによるものだった」


アンケートの集約の方向性

アンケートは森川さんが体験されたことを読んでいただき、ご自分の体験を振りかえっていただく形で進んでいきます。続いてさまざまな文献に示された被爆者と二世に起こってきたことを網羅し、体験を振りかえっていただいています。
時に辛い過去を振り返らねばならない側面もあり、しんどくなる場合もありますが、それらのときは可能なかぎり対面で聴き取りをしながら進めています。

現在回答が80名に迫っている段階ですが、100名に届いたら集約に入ります。それぞれのリアルな体験をできるだけ拾い上げて傾向を分析し、論文にまとめ、できれば幾つかの学会にも問い、広く社会的に発信していく予定です。
ともあれみなさん。力をお貸しください。できるだけたくさんの方に読んでいただいてください。
とくに福島原発事故で被曝した新ヒバクシャのみなさんにしっかり読んでいただきたいです。それぞれの身体に起こっていることとの共通性を感じるからです。

核なき未来に向けて!さらにみんなで進んでいきましょう。


100号を迎えた京都「被爆二世三世の会」の会報 ホームページからご覧になれます。http://aogiri2-3.jp/

#被曝の遺伝的影響 #核なき未来へ #京都被爆二世三世の会 #森川聖詩 #被爆二世三世健康調査アンケート

*****

福島原発事故10年を前に「明日に向けて」のレベルアップをはかっています。ぜひカンパでご協力ください。
振込先 ゆうちょ銀行 なまえ モリタトシヤ 記号14490 番号22666151
Paypalでも自由に金額設定をしてカンパしていただけます。
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明日に向けて(1979)福島原発事故10年、汚染水を海に流さないで! 原発もうやめよう!-国際署名にご協力を

2021年02月10日 21時00分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(20212010 21:00)

放射能汚染水の放出を止めるための国際署名にご協力を

福島原発事故汚染水の海洋放出や原発政策の継続に反対する国際署名が立ちあがっています。ぜひ協力をお願いします。
発信者は「福島原発事故10年国際署名実行委員会」、あて先は「日本政府、韓国政府、すべての国の政府」です。
賛同には24か国、306団体が賛同に名を連ねて、10の言語に訳されてもいます。ぜひご協力、拡散もお願いします。とくにそれぞれの言語圏におられる方、署名を積極的に回してください。

以下、キャンペーンのアドレスと呼びかけ文、要求文を転載します。(日本語で示しますが、リンク先から他の9つの言語に飛べます)

*****

福島原発事故10年、汚染水を海に流さないで! 原発もうやめよう!
http://chng.it/JnTfZgSxjh

日本政府は、福島原発の汚染水の海への放出調整を進めており、決定しようとしています。しかし、福島県をはじめとし、多くの人たちが大きく反発しています。
福島県漁連、全国漁連、また、福島県の農協、森林組合など、福島県の43市町村議会の反対意見書、福島県民の提起した45万人の署名などです。海外からも、憂慮・反対の声が多くあがっています。

汚染水は、124万トンを超えており、魚介類の摂取を通じた人体への悪影響が懸念されます。放射能が十分に減衰するまでタンク保管を継続するか、モルタル固化することが望まれます。

韓国政府は、脱原発政策を標榜していますが、新規原発の建設を継続しています。ウォルソン原発のトリチウム漏れや、ハンビッ原発の格納容器の空隙など、重大な事件が起きています。
台湾は、2025年原発ゼロ、アジア初の脱原発に向かって着実に進んでいます。しかし8月に「第四原発再開の是非を問う国民投票」が行なわれることになっています。
トルコ、インドなどでは原発建設が続けられており、フィリピン、タイ、インドネシアのように原発計画がくすぶっている国もあります。
そして、何万年もの間、未来の世代に残す核廃棄物の貯蔵・処分が、日本、韓国、台湾、オーストラリア、世界で問題となっています。

福島原発事故から10年、いまだに原発を維持しようという動きがあるのです。原発時代の「終わり」が始まり、世界は再生可能エネルギー時代に移行しているというのに!

私たちは要求します

・日本政府は福島原発の放射能汚染水を海に流すな
・韓国政府はウォルソン原発の放射能漏れの実態を明らかにせよ
・原発を建設せず、再生エネルギーを拡大せよ
・老朽原発の寿命延長をするな、危険な原発を動かすな
・現地と周辺の住民の合意のない核廃棄物貯蔵・処分をするな


東電はすでに海をものすごく汚染している!

この問題についてはこれまでも幾つもの記事を書いてきました。ここでは事態の核心についてまとめた3つの記事とその要点を示しておきます。

1、明日に向けて(1903)福島原発放射能汚染水の海洋放出反対!そもそも東京電力の犯罪を厳しく罰してから問題の処理を進めるべきだ(汚染水問題と東電の犯罪性―1)
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/c441453cb1f574593d6be78901bd5190

そもそも、福島原発事故から2年間、毎日800トンもの地下水が原発サイトに押し寄せ、炉内を冷やした高濃度汚染水と混入して海に400トン流れ出ていました。
東電はこれを知っていながら黙っていたのです。だからまずもって東電に厳罰を下さなければまともに話が進みません。

2、明日に向けて(1904)事故対策より自社を守るために悪知恵を回し続けてきた東電を罰し、まともな廃炉プロジェクトをたちあげるべきだ!(汚染水問題と東電の犯罪性―2)
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/b8487c14b94ca1331f8d294a664bcacc

汚染水問題で東電は東京オリンピックの招致を利用しました。招致会議前にわざと海洋流出の事実を出し続け、安倍政権を窮地に追い込んでブエノスアイレスで大嘘をつかせたのです。
政府はその嘘を押し通すため東電を庇い続け大幅な税金投入を始めました。オリンピックのために大嘘を突き続けた安倍政権や現政権に大きな責任がありますが、東電のあまりの悪辣さもしっかりとおさえておかねばです。

3、明日に向けて(1905)政府が放射能汚染水の海洋放出の10月27日決定を断念!しかし来月以降に延期と表明。抗議の継続を!
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/7f17164c9c688d595125ff82fba65b00

汚染水海洋放出について、政府が昨年10月末に一度決定を断念しました。民衆の抗議の声が食い止めました。しかし今後決めると表明しています。さらに抗議の声を高めることが必要です。そのため濃度規制だけで総量規制がない矛盾について解説しました。

以上の記事なども参照しながら、汚染水海洋放出を許さない声の拡大を目指しましょう。

#汚染水海洋放出反対 #海を汚すな #放射能を海に流すな #東京電力 #東京オリンピック #濃度規制 #総量規制

*****

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明日に向けて(1978)被曝の遺伝的影響はどのようにあらわれているのか-被爆二世三世健康調査アンケートにご参加を! 核兵器禁止条約の豊富化のために-3

2021年02月10日 14時00分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(20210210 14:00)

被曝の遺伝的影響と核兵器禁止条約

核兵器禁止条約をより豊かで確かなものにするために、被曝の遺伝的影響を明らかにし後世に伝えていくことがとても大切です。
核兵器は攻撃対象となった人々を手ひどく蹂躙するとともに、未来世代に向けても深刻な打撃を与えるからです。まさしく人道上の大罪です。

この間、何回かご紹介してきたように、僕が属する京都「被爆二世三世の会」で、この点を明らかにすべく、被爆二世三世健康調査アンケートを進めています。
ぜひこれに被爆二世三世の方にご参加いただきたいです。また二世三世ではなくても多くの方にアンケートに書かれた遺伝的影響(ないしそう思われること)の具体的あらわれを読んでいただきたいです。

アンケートを再びご紹介しておきます。
http://aogiri2-3.jp/chousa/2020chosa.pdf

放射線被曝は今のところ、完全犯罪です。現代の放射線医学を牛耳るアメリカ、あるいは核保有国が、こぞって「科学」を前面に出して否定しているからです。
しかし広島・長崎で大量虐殺を行い、世界各地で核実験を行って放射能をばらまいてきた人々の語る「科学」をどうして信頼することなどできるでしょうか。

この問題は私たち自らが調査し、つかみ、表に出していくしかない。そのための試みがこのアンケートです。
これを推し進め、その結果を広めていくこと、可能な限り、多言語にしていくことの中に、核兵器禁止条約の内容を深めていく大きな可能性があります。


森川聖詩さんの体験から

今回はアンケートの内容を少しご紹介したいと思います。そのためにアンケートの冒頭でご紹介している森川聖詩さんの体験を転載したいと思います。
著書『核なき未来へー被爆二世からのメッセージ』に書かれたものです。2019年2月に書評を書かせていただきましたのでご紹介しておきます。

明日に向けて(1651)書評『核なき未来へ 被爆二世からのメッセージ』森川聖詩著-1
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/90c4155efb7ae92ad3daf4e77f0ecd1d

さて森川さんの体験記です。(なおカッコ内は守田が補った言葉です)

1、幼少期

「私が生まれたときの体重は2700グラムで、幼少のころは、よく原因不明の発熱で何度も死線をさまよった、と聞いている」
「(小学生のとき)夏の思い出といえば、暑さでいつも体調をくずし、お腹をこわして下痢をし、ぐったりして、昼間は何もすることができず、ひたすら横になって休んでいたこと、ただそれだけである」
「その他の季節も物心ついたころから常に何かしらの体の不調を感じていた。日々感じるたとえようのない体のだるさ、脱力感と疲れやすさが我が身を襲っていた」
「風邪をひくと必ずといってよいほどこじれて、急性気管支炎を併発し、高熱とひどい咳や痰をともなう症状にいつも悩まされた」
「外で歩いたり、走ったりなどしていて、階段を踏み外したり、距離感の目測を誤り、つまずいて転んでケガをすることが多かった。後から振り返ると、その主な原因は、私が「交代制外斜視」だったことにあるようである」
「ケガをすると、少々のかすり傷のようなものであっても、傷口がなかなか治らず化膿して、白い膿みがたまり、炎症を起こすことが多く、そのたびに病院にかよっていた」
(小さい時からヴァイオリンを習っていたが、5年生になり)「ヴァイオリンの練習をしていて、弦を押さえる方の手である左手中指と薬指に、痛みを感じるようになった。次第に、第二間接が腫れあがり、中指と薬指をそろえることができないくらいまでにな
っていった。指腱鞘炎(関節炎)・通称ばね指だった」(ヴァイオリンをやめることになってしまった)

2、中学・高校のころ
(中学・高校と体力があがり、剣道部で活躍できるようにまでなり、2年生の時には部長になったが)「2年生の夏ごろまた体に故障が生じた。左手中指・薬指腱鞘炎の再発だった。・・・とても練習することも、まして試合に出場することもできなくなっ
てしまった」
(その後、受験勉強に打ち込み、翌年秋には模試での成績もどんどんあがった)
「またしても体を異変が襲った。机に向かっていたときに、蛍光灯の光や本や白いノートからの光の反射がまぶしく感じたり、目がくらむような感じがするようになり、その症状が進むと目と眉間に鋭利なものが突き刺さるような激痛を伴うようになった。そし
てついには、眉間、鼻、ほおと口から後頭部へと針金でも通したかのようなたとえようもない鈍痛も走り出した」

「物心ついたころから悩まされていた数々の不調のなかで、日常的であったもののひとつが、頻繁な腹痛を伴う下痢であった(この下痢は日常茶飯事である。お腹の弱い体質は成長しても変わることなく、今に至っている)。
学校の授業が終わり、下校、帰宅途中に急に差し込むような腹痛と便意を催し、30分前後の自宅までの帰り道に我慢しきれず、失禁してしまうこともしばしばあった」
「大学入学後も、受験勉強中に発症した顔面痛はいっこうに軽快しないばかりか、疲労や睡眠不足、あるいは多湿の日などの痛みは尋常でなく、顔をしかめたくなるほどだった。この顔面痛は、今もなお完治していない」
「それまでに経験したことのなかったような新たな原因不明の症状に次々に見舞われた。突然めまいがしたり、目がかすんで焦点が合わなくなったり、朝起きてから1~2時間、ティッシュペーパー半箱分をも要するほどひどい鼻水が止まらない症状にも悩まされた。時を同じくしていくら手を洗っても数分経つと手が油でも塗ったようにべたべたになった」

続く

#被曝の遺伝的影響 #核なき未来へ #京都被爆二世三世の会 #森川聖詩 #被爆二世三世健康調査アンケート

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明日に向けて(1977)被曝の遺伝的影響と向き合おう!核兵器禁止条約の豊富化のためにー2

2021年02月09日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(20210209 23:30)

被曝の危険性を小さく見積もること、遺伝的影響を無視することが核戦略維持のコアとなってきた

1月22日に発効した核兵器禁止条約、ぜひとも世界の市民の努力で豊富化していく必要があります。
そのため拡げるべきこととして、核兵器を製造・保有すると他国民だけでなく自国民をも手酷く被曝させること、このことでヒバクシャが増え続けて来たことを「明日に向けて」(1969)で述べました。あらためて記事をご紹介します。

明日に向けて(1969)核兵器を持つと他国民だけでなく自国民も激しく被曝させる!核兵器禁止条約の豊富化のために-1
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/987087d7eb24d196a5c482d7b05f587d


ニューメキシコ州ロスアラモスの核ミュージアムにて 守田撮影 右側の「なぜ爆撃したのか?原爆は市民と軍人の命を救った」というパネルに対抗し、同州の反核勢力が「われわれは自分たちを爆撃したのではないのか!(Did we "Bomb" ourselves!)」というパネルを突きつけている

今回、続けて訴えたいのは原子力ムラ、いや原子力マフィアが、さまざまな手を弄して被曝の危険性を極端に小さく見積もってきたことをひっくり返すことですが、その中でとくに強調したいのが、未来世代をも迫害する被曝の遺伝的影響についてです。
実は広島・長崎で原爆による大量虐殺という戦争犯罪を行ったアメリカは、その後の核戦略の維持のための重要課題として、遺伝的影響への人々の懸念を払拭することを目指しました。
このもとで広島・長崎に設置され、自分たちに都合の良いようにデータを集めだしたのが原爆傷害調査委員会(ABCC)でした。これらのことは中川保雄さんが著書『放射線被曝の歴史』で展開しています。詳しくは以下の記事をご覧下さい。


中川さんの著書 必読です!

 

明日に向けて(1958)被曝影響の研究はアメリカ軍が主導、主眼は遺伝的影響だった-ICRPの考察5
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/6f05c93dffc713c3d88a6b7e71e30fb2


遺伝的影響としてどのようなことがあるのか

ただしこう書いたときに「被爆の遺伝的影響は本当にあるの?」と思われる方もおられるのではないでしょうか。あるいは「遺伝的影響があるというのは差別では?」と思われる方もおられるかもしれません。これはとても大切な問題です。
僕は遺伝的影響は確かにあると強い確信を持っています。また事実としてあるわけですし、遺伝的影響があると思うことが差別なのではなく、被曝の影響を受けている方を差別することが、まったくもって間違った人倫に反することなのです。
このことをよりしっかりとつかむために、京都「被爆二世三世の会」の仲間たちと二世三世健康調査アンケートに取り組んできました。以下に2015年5月25日から9月30日にかけて行った第一回目のアンケートの集計を示しておきます。

2015年被爆二世健康実態調査 中間報告
http://aogiri2-3.jp/chousa/2015jittaichosachukanhoukoku.pdf

また2020年から、1回目の調査を踏まえてよりコアな2回目の調査を現在進行形で行っています。アンケート用紙をご紹介します。
http://aogiri2-3.jp/chousa/2020chosa.pdf


京都「被爆二世三世の会」ホームページより

2回目の調査のアンケートでは、冒頭で被爆二世で自らの人生の中で起こってきたことを赤裸々に叙述してくださった森川聖詩さんの著書『核なき未来へ-被爆二世からのメッセージ』から、さまざまな症例を抜粋しています。
これを一つの例として、アンケートの回答者に起こったことを書いていただく形を採っていますが、これまでたくさんの方が森川さんと似たような体験をしてきたことを書き送って下さっています。
遺伝的影響としてどのようなことがあるのか、ぜひ二世三世の方も、それ以外の方も、アンケートをご覧いただきたいです。


京都市で著書『核なき未来へ』について語る森川聖詩さん

続く

#被曝の遺伝的影響 #核なき未来へ #京都被爆二世三世の会 #森川聖詩 #被爆二世三世健康調査アンケート

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明日に向けて(1976)柏崎刈羽原発制御室不正入室もこの報告が原子力規制委員会に届いてなかったのも大問題(音声で解説しました!)

2021年02月08日 22時00分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(20210208 22:00)

不正を規制庁が握りつぶしたまま再稼働の許可が出ていた!

柏崎刈羽原発中央制御室不正入室問題とこれが原子力規制員会に届いてないままに、再稼働の適格性が審査されていたことをビデオ解説しました。
ただし動画を使わず音声のみで収録しました。手作業や運転の合間に「明日に向けて」を音声読み上げ機能で聴いて下さっている方がいると聞いてのことです。
今後も動画とともに音声だけでの解説もお届けします。

今回扱ったのは、制御室不正入室問題での新事実。
不正は昨年9月20日発生し原子力規制庁に21日に報告があがったのですが、なんとこの重大情報が規制庁に止められ規制委員会に伝わっていなかったのです。
そして続く23日に規制委が原発再稼働の適格性を認定してしまいました。しかもそのまま今年1月19日まで不正が把握されませんでした。規制庁も規制委もあまりにひどい。再稼働認可の資格などなしです。ともあれお聴きください。

もりもり解説 柏崎刈羽原発不正入室問題について
https://youtu.be/KufXzzsEK2I




規制庁は経済界をも騙していた。三村東京商工会議所会頭は柏崎刈羽原発を「これだったら安心だな」と述べたことを撤回すべきだ!

この不正を規制庁が隠している最中の昨年12月14日、東京商工会議所三村会頭らが柏崎刈羽原発を視察し「これだったら安心だな」と述べて再稼働への期待を表明しましたが、三村氏もまた規制庁に騙されていたことを知るべきです。
この時にも三村氏の言葉もまたモラルを著しく欠いていることを書きました。なぜならこの原発はたくさんの危険性の中にあるからです。
とくに懸念されるのは地震の問題。柏崎刈羽原発は「ひずみ集中帯」という地震の多発地帯にあり、過去にも巨大地震に直撃されています。しかし今回、免震重要棟もなしに再稼働をしようとしている。またも大きな危険性が無視されているのです。

明日に向けて(1954)東京経済界トップが柏崎刈羽原発の再稼働に「強い期待感」を示すーあまりに無責任
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/78113702a59ae822177775c63509ffee

またこの間、明らかになったのは不正入室問題だけではありませんでした。この問題に関する謝罪を、東電・新潟本社の橋田代表が柏崎市長に謝罪に訪れ、市議会でも謝罪を行い、同時に12日に終了したはずの安全工事の説明を行いました。
ところが27日になって工事が完了していなかったことも判明しました。自社が行っている安全工事が完了してないことすら、東電はきちんと把握できていなかったのです。

明日に向けて(1972)柏崎刈羽原発で不正と失態が連続-制御室へ不正入室と安全工事未完了見逃し これでは大事故は必至だ
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/9de97a19b05dfa112110ec76d48d12b1


三村会頭ら東京商工会議所も騙されていた。責任をもって東電を批判すべきだ 昨年12月14日 新潟ニュースNSTより


東電も規制委員会ももはや原子力から徹底すべきだ!

今回、このようなウソ・不正・失態の積み重ねの上に規制庁に届けられた不正の報告を規制庁が4か月も握りつぶし、規制委もまた騙されたまま4か月もこの大きな不正を把握できずに再稼働の認可を与えてしまったことが明らかになったのです。
もはや柏崎刈羽原発の再稼働の認可は取り下げられるべきです。不正を繰り返す東電は原発にもはや運転を任せてはいけません。
また自分たちの事務局である規制庁に騙されたまま、再稼働に認可を与えた規制委員会もまた厳正な処分を受け、もやは許認可の権限を返上して原子力行政から撤退すべきです。

明日に向けて(1975)原子力規制委員会は柏崎刈羽原発への再稼働の許可を取り消し許認可権限を返上すべきだ
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/740d2aa31fda1fcbc2f34fdcf56e99ef

このように日本の原子力政策は本当にとんでもない状態になっています。
これを止めるためにこの事実をどんどん広げる必要があります。そのために重ねて記事を書き、音声での説明動画も作りました。
みなさん。ぜひシェア・拡散してください!あなたのその行動が、危険な原発を止めることに繋がるのです。


再稼働を認可した規制委の会議 規制委も規制庁と東電に騙されていた 朝日新聞より

#柏崎刈羽原発 #中央制御室不正入室 #原子力規制庁は知っていた #原子力規制委員会に報告なされず #再稼働の許可の取り消しを #許認可権の返上を #もりもりチャンネル

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明日に向けて(1975)原子力規制委員会は柏崎刈羽原発への再稼働の許可を取り消し許認可権限を返上すべきだ

2021年02月07日 18時30分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(20210207 18:30) 

柏崎刈羽原発の中央制御室不正入室問題の続報です。

規制庁は直後から不正を知っていた-保安規定変更案了承を取り消すべきだ

問題は再稼働を目指していた柏崎刈羽原発において昨年9月20日に発生しました。原発の心臓部である中央制御室に職員が他の職員のIDを黙って持ち出し入室したのです。
中央制御室は操作を間違えば破局的事故を招きかねない場ですし、意図的な破壊行為すら画策できる場です。だから当然にも厳しいセキュリティが問われる場なのに、やすやすと自分のIDのないものが入れてしまっていた。
それ自身が大問題ですが、今回明らかになったのは、東電がこの件を翌日21日に原子力規制委員会の事務局を担う規制庁に報告していたのに、規制委に報告せず、更田委員長が知ったのが本年1月19日だったことです。


柏崎刈羽原発不正入室問題で規制庁が情報を止めていたことを報じるNHKのテレビ映像より

つまり問題は東電職員の中央制御室への不正入室だけではなかったのです。重大な不正が規制庁から規制委員会へと伝えられていなかった。うっかりミスなどとはとても言えない。意図的に伝えなかったとしか考えられません。
なぜかというと、この重大な不正に関する情報が規制委員会に届けられないままに、9月23日に規制委員会が行われ、事業者が自ら守るべき安全上のルール「保安規定変更案」への了承が行わて、原発を動かす「適格性」が認められたからです。
不正入室は「保安規定違反」そのものですから、これが伝えられていればとても了承できず、「適格性」は認められなかったはず。これらの点から、当然にもこの了承は即刻取り消されるべきです。


不正入室問題の流れを示した新潟日報の紙面より


規制庁-規制委員会は許認可の権限を返上すべきだ

さらに今回の問題では、原発再稼働に許認可を与えている規制庁-規制委員会の合法性が大きく問われています。
保安規定を話し合っているまさにその時に、保安に関係する重大情報が意図的に伝えられなかったのだからです。当然にも同一事例や他の不正がこれまでなかったか、過去にさかのぼっての点検が必要です。
またそれがすむまでは、これまで出されている再稼働の認可をすべて取り下げるべきです。それほどに、保安上の重大不正が意図的に伝達されなかったことは大きな問題です。

規制委員会東電に「厳正に対処」すると語る一方で、自分たちの問題を8日に臨時会議を行って調べるとしていますが、原発内で起こった重大な事態をなんと3か月も把握していなかった自分たちのあり方にも「厳正な対処」が必要です。
再稼働の許認可において、肝心なセキュリティの問題を把握していなかったのですから規制当局としてまったく失格で、許認可権限そのものを返上すべきです。
繰り返し述べてきたように、こうしたことはもともと新規制基準が、ウソとごまかしと隠ぺいの積み重ねでできているから起こる構造化された問題なのです。危険な原発をモラルを欠いた規制当局と電力会社が動かしている現状を即刻止めましょう。


不正入室問題で「東京電力の核セキュリティ-教育が果たしてどうだったのかという話には当然なるだろう」と語る更田規制委員長。では規制庁の問題はどうなるのか?ANNの報道より

#柏崎刈羽原発 #中央制御室不正入室 #原子力規制庁は知っていた #原子力規制委員会に報告なされず #保安規定変更案了承の取り消しを #再稼働の許可の取り消しを #許認可権の返上を

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明日に向けて(1974)東海第二原発、「安全工事」の契約妥結できず・・・このまま廃炉にしよう!

2021年02月02日 23時00分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(20210202 23:00)

東海第二原発の「安全工事」が進んでない・・・

前号で東海第二原発の避難計画が破綻していることを書きました。その後、そもそも再稼働の前提になる「安全工事」が進んでおらず、「再稼働の道のりは厳しい」状態にあることを報じる記事が出ました。ご紹介しておきます。

東海第二原発、安全工事の契約妥結できず 再稼働に影響
朝日新聞社 2021/02/01 05:00
https://digital.asahi.com/articles/ASP105RL5P14UTIL02V.html?iref=pc_ss_date_article

記事はこう報じています。
「再稼働のための安全対策工事をめぐる原電とゼネコン3社の契約交渉が、交渉開始から2年以上を経ても妥結していないことが複数の工事関係者への取材でわかった。この影響で、2022年12月とされる工事の終了予定が延びる可能性がある
。 原電は工事費を約1740億円としているが、ゼネコンの見積額はこれを上回っており、大幅な増額となる見通しだ。予定通りに工事が進んでいないことに加え、周辺自治体から再稼働に必要な事前了解が得られるかも不透明な状況で、再稼
働への道のりは厳しい。」

「安全工事」とかっこを付けて書いたのは、これらの多くが、新規制基準で求められているもので、重大事故を避ける設備と共に、重大事故起こった時に対処する設備であって、安全を確保するものとは到底言えないからです。
しかしそれですら大変なコストがかかる。原電は約1740億円としていますが、指名されたゼネコン6社が出した見積もり額は2500億円以上で、妥結できてないそうなのです。
記事は、ゼネコン関係者が「原電は工事費の積算や交渉の実務能力に乏しい。原電の提示額が実態に合わず、工事は終了予定に間に合わない可能性が高い」と話したことも伝えています。


工事について報じる朝日新聞より


民衆の頑張りこそがこの事態を引き寄せている-このまま廃炉にしよう!

この事態を生み出しているものは、私たち民衆の頑張りです。どういうことかと言うと、たくさんの方が福島原発事故で原発の危険性に目覚め、同時に「自分が無関心でいたことがこの事態を招いた」という反省の上に大きな声を挙げだしました。
この高まりに対し、原子力推進派は応せざるをえなくなり、それがレギュレーションの強化に結びつきました。日本だけではありません。どこの国でも強化なくして原子力政策を進められなくなりました。
しかしそれだけでどこでも原発建設のコストが大幅にアップしてしまいました。このため安倍政権が結んだすべての原発輸出計画が破綻。この中で東芝の経営が傾き、が破産的事態に。原発からは完全撤退しました。

また日本の中でも「新規制基準」が作られましたが、これでもまた大きなコストがかかるようになってしまいました。
繰り返し述べるようにこの基準は「重大事故が起こらないと言ってきたのが間違い。これからは重大事故が起こったときへの対応を考える」との考えに立つもので、安全性を確保したものではありません。
いやそもそもどんなにコストをかけても安全性の確保ができない欠陥プラントが原発です。しかし安全性を確保しきれない設備でも巨額になってしまい、東海第二でも工事の契約ができずにいるのです。

さらに記事はもう一つ、重要なポイントを書いています。「原電は昨年1月、安全対策工事の終了予定を21年3月から22年12月に延期。再稼働もこの時期と明記した書類を周辺6市村に示したところ、「容認できない」と反発を招いた。」とのこと。
工事が進捗しないだけではなく、地元の合意も進んでいないのです。原電はこんな状態の中でコストをかけて工事を進めるかどうか、経営判断が問われているでしょう。
だから民衆の側がさらに「再稼働をやめてこのまま廃炉に」という声を高めることが大事なのです。効果もあります。みんなで声を高めて東海第二原発をこのまま廃炉にしましょう!


2019年11月16日、「STOP!! 東海第二原発の再稼働 いばらき大集会」後のデモ 水戸市にて 東京新聞より

#東海第二原発 #このまま廃炉に #安全工事の契約妥結できず #原発再稼働反対

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明日に向けて(1973)東海第二原発事故時の避難所見積もり18000人分不足-総員避難は無理!再稼働を止めるべきだ

2021年02月01日 21時30分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(20210201 21:30)

でも本当に18000人分の不足だけ?

東海第二原発が重大事故を起こした際の広域避難計画をめぐり、30キロ圏内からの避難を受け入れる避難所が過大に見積もられていたことが明らかになりました。
一部でトイレや倉庫などの「非居住スペース」を除外しておらず、2018年時点の収容人数が18000人分足りなかったというのです。
自治体間の協議は難航しており、国内の原発で最大の約94万人の避難計画が、策定開始7年でも「完成」していないと報道されています。


18000人分の不足と伝える毎日新聞

ただしこの計画を良く見ると一人分のスペースはわずか2平米。これで一月も生活せよとの計算です。
国連が勧告しているスフィア基準では一人分のスペースは3.5平米。しかもスペースだけでなくトイレも20人にあたり一つ。男性1に対し女性3にせよとされていますが、これまた全く不足です。
さらにコロナ禍でのソーシャルディスタンスを踏まえたスペースでは日本でも4~5平方メートルが必要とされており、それらを合わせたら不足は18000人分よりずっと多くなります。

いやそもそもこれらの避難所は茨城県内で、事故が起こった時の放射性物質を含んだプルームの動きがそれ以内に収まる保障などない。
一度、避難所に入っても、さらに遠くまで逃げなければならなくなる可能性も大ですが、その時の避難先は想定すらされていない。
つまり不足が18000人分にとどまらないどころか、避難計画そのものが成り立っていないことが示されているのです。


原発事故での総員の避難はどれも無理。再稼働をやめるべきだ!

避難の困難性は繰り返し指摘されていることです。例えば2018年11月に日本テレビがNNNドキュメントで「首都圏の巨大老朽原発 再稼働させるのか」という番組を放映しました。
「明日に向けて」で3回にわたって文字起こししましたが、そこから避難にスポットを当てた部分をご紹介します。

明日に向けて(1621)東海第二原発が事故を起こした時、避難できるのか(NNNドキュメントより‐2)
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/04b01f55fec298e351618c88f3514461

「避難できるのか」と書きましたが、もちろんまともな避難などできません!そもそも東海村には原発だけでなく再処理工場や研究施設など12カ所もの関連施設があり、複合災害になると被害は東海第二にとどまらない可能性すらあります。
また東海第二は北は久慈川、南は那珂川という一級河川に囲まれていて、地震で橋が崩落したら他の橋に車が殺到してしまう。それやこれやでとても94万人(ドキュメント放映時は96万人)のすみやかな避難など不可能なのです。
これらから出る結論は一つ、総員避難はとても無理、再稼働は絶対にしてはならないということです。


NNNドキュメントの映像に守田が加工


「とっとと逃げる」ことと総員避難は無理だということの整合性

ここで整理しておきたいことがあります。僕は常に原子力防災の肝として「とっとと逃げる」ことを訴えています。このことと「総員避難は無理」ということの整合性はどうなるのか。
答えはこうです。そもそもどこの原発を考えたって総員が理想的に逃げることは不可能なのです。周辺人口の多い東海第二はもちろん、すでに稼働している川内・玄海・大飯原発とて総員避難は無理です。
だから絶対に原発を動かすべきではないのだけれども、動かされてしまっている以上、可能な中の最善の策として「とっとと逃げる」しかない。

とくに渋滞が予想される地域ほど、まだ事故の規模が分からないうちからとっとと逃げだして下さい。その方が被曝を避けられる可能性が高くなります。
福島原発事故では放射性物質が大量に飛び出すまである程度の時間がありました。同じようになる保証などないですが、それでも稼働原発の事故では、我先にとっとと逃げるのが最善の道です。
もちろん諸事情から逃げられない方もおられるでしょう。それなら立て籠もりの準備をしておいて下さい。そういう方が必ずおられることを考えると、万が一の過酷事故でも深刻な爆発を免れることを祈るばかりなのですが。

こうした記事を書いていると、新規制基準のあやまり、ひどさに改めて怒りを感じます。放射性物質が格納容器から漏れ出す「重大事故」が防ぎきれないことを前提に対策をたてよとなっているからです。
そのくせ原子力規制委員会は「避難計画は管轄外」としている。誰が責任者なのか不明確なまま、現場自治体に責任がおっかぶされています。しかし現場からみたら無理難題そのもので、だからまともな避難計画など作れないのです。
もともとできもしないことが要請されていて、しかも要請した側はなんら責任を取っていない。これが原子力行政の実態です。

事故が起きてしまったらとっとと逃げるしかないけれど、やはり再稼働させないことが一番。そのためにはこの余りの酷さをみんなで広く伝えていかねば。問われているのは、あなたと僕の努力です。


篠山市(現丹波篠山市)の原子力防災ハンドブックより

#東海第二原発 #18000人分不足 #広域避難計画の破綻 #巨大老朽原発 #原子力防災 #総員避難は無理 #とっとと逃げる

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明日に向けて(1972)柏崎刈羽原発で不正と失態が連続-制御室へ不正入室と安全工事未完了見逃し これでは大事故は必至だ

2021年01月30日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(20210130 23:30)

他人のIDで中央制御室に不正入室

1月23日に東京電力は昨年9月に柏崎刈羽原発の職員が他人のIDカード不正に持ちだして立ち入っていたことを明らかにしました。
原発のセキュリティ上、大問題です。中央制御室は原発の心臓部であり、悪意をもって操作すればとんでもない事故を意図的に発生させることすら可能な場だからです。
そこに不正に立ち入ったことも大問題ですが、そんなに簡単に不正に立ち入れてしまったこと、IDカードが他者に容易に持ちだせるようになっていたことも大問題で、セキュリティが崩壊しているといわざるを得ません。


柏崎刈羽原発での不正入室問題を報じるANN

また東電はこの不正を直後に規制委員会に報告したものの、地元自治体に4か月も報告していませんでした。
これに対して原子力規制委員会の更田委員長は「必要であれば聞き取り調査をして厳正に対処する」と語りましたが、ちょっと待って欲しい。
東電は直後に規制委には報告していたのになぜ今更そんなことを言い出すのでしょうか。その前に規制委もまた東電が地元に報告してないことへの適切な指導をしていなかったのですから、規制委へも「厳正な対処」が必要です。


規制委更田委員長は今回も「厳正に対処」と語るが・・・ ANNより


続いて「終了」を宣言した安全対策工事が終わっていなかったことが発覚

不正問題だけではありません。東電はさらに失態を重ねました。
25日、この不正立ち入り問題に関し、東電・新潟本社の橋田代表が柏崎市長に謝罪に訪れ、市議会でも謝罪を行いました。
同時にその場で1月12日までに終了した安全工事に対する説明も行いました。ところがなんと27日になって、今度はこの工事が完了してなかったことが発覚したのです。

終わっていなかったのは、再稼働をしようとしている7号機と、これとともに安全対策を施している6号機のコントロール建屋の機器を制御する電源盤や空調機などが置かれた部屋にある消火ガスの流出防止装置です。
火災発生時に消火ガスが室内に十分行きわたり、排出されないよう空調ダクトを閉じるための鉄板(ダンパー)の設置を行っていましたが、これが終わっていませんでした。
東電によると6号機の安全対策工事として管理されていたため、見逃したとのことですが、自ら「これを増設したから安全です」と豪語した施設の進捗状況を、きちんと把握していなかったことが分かったわけです。


柏崎議会で謝罪とともに安全工事終了を伝えた橋田東電新潟本社代表 新潟ニュース NST しかし2日後に工事未終了が発覚


不正と隠ぺいと失態が続くのは原子力行政全体が不正と隠ぺいと失態に満ちているから

こんな不正と隠ぺい、失態を繰り返す東電に危険な原発の運転を任せて良いわけがありません。また電力会社の不正と失態を何度も見過ごし許してきた規制委にも、これ以上電力会社への監督を任して良いわけがありません。
この点をとくに地元自治体のみなさんはよく考えていただきたいです。すでに柏崎市など再稼働へ同意を与えてしまっていますが、ぜひ撤回していただきたいです。
こうした不正・隠ぺい・失態は偶然に起こったのではなくて構造化されています。なぜか。そもそも福島第一原発事故に対して東電の誰も責任を取っていないからです。事故原因究明も半ば。そんな東電に運転資格などない。罪の償いが先です。

さらに再稼働に向けて規制委員会もたくさんのウソをまかり通らせてしまっています。格納容器が破損する過酷事故が起こりうるとしそれを多重防御で防ぐという方針そのものがウソであり不正。裁判でも設置許可取り消しを命じられています。
ところが裁判も無視、電力会社のたくさんのウソと不正を容認している規制委の下で、その場で働く職員だけが規則をきちんと守ったり、安全工事をきちんと行うはずがないのです。原子力行政のひどさがここに集中的に現れているのです。
大事なことはここで止めなければ必ず大事故がやってくるということ。柏崎刈羽をはじめすべての原発の再稼働を私たちは許してはなりません。マスコミが書かないこの事実を私たちが広げ、再稼働を止めましょう。


柏崎刈羽原発の再稼働反対を訴えた新潟のみなさんの柏崎市での街頭行動 20200907 新潟日報より

#柏崎刈羽原発 #不正入室 #他人のIDカードで入室 #安全工事未終了を見逃し #原発再稼働反対 #規制委員会も責任重大

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明日に向けて(1971)格納容器上部に約2~4京ベクレルの汚染で廃炉が遅れる?実際は廃炉計画そのものが虚構なだけ!

2021年01月27日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(20210127 23:30)

約2~4京ベクレルの汚染がいまになって分かったことが意味すること

1月26日に福島第一原発の格納容器の上部が約2~4京ベクレルもセシウムによって汚染されていることが、原子力規制員会によって調査結果として発表されました。ANNの動画ニュースと毎日新聞の記事をご紹介します。


格納容器上部が高濃度汚染・・・福島第一原発2・3号機(2021年1月26日)
YouTube 制作者 ANNnewsCH
https://youtu.be/nnmPPSbE-n8


福島第1原発 2、3号機の格納容器上部で約2~4京ベクレル 原子力規制委調査
毎日新聞2021年1月26日 
https://mainichi.jp/articles/20210126/k00/00m/040/121000c

記事によれば、ふたの部分は「シールドプラグ」と呼ばれ、円盤状で3枚重ねになっていますが、2号機で約2~4京ベクレル、3号機で3京ベクレルもの汚染が見つかったのだそうです。ちなみに京とは兆の1万倍の値です。
人体への影響を評価するシーベルトで表すと3号機で毎時10シーベルト前後。人間が近づくと1時間以内に死亡してしまう強さで、「廃炉作業の遅れなど影響が懸念される」と指摘されています。

しかしこれはおかしい!記事を読み進むとこうあります。「規制委は2013年から原発事故の調査や分析をしていたが、核燃料が溶け落ちる「メルトダウン(炉心溶融)」が起きた1~3号機内は放射線量が高く人が入れないため、調査を中断。放射性物質に汚染されたがれきが撤去されるなどして線量が下がり、19年10月に再開していた。」
要するに単純に原子炉建屋内のことが分かってなかっただけなのです。調査すらできず内部も把握せずに廃炉工程が作られた。虚構の産物だったのです。今回明らかになったことはその点です。


福島原発事故の実態はいまもって解明されていない!

記事をさらに読み進むとこう書いてあります。「規制委の更田(ふけた)豊志委員長は「燃料デブリがずいぶん高い所にあるようなもの。(作業中、放射線の影響を防ぐための)遮蔽(しゃへい)をどうするのか」と廃炉作業の課題を指摘。東電の当者は「蓋の部分をどうするかは見通しが立っておらず、今後検討したい」と話した。」
見通しが立っていない・・・それはそうでしょう。実態が分かっていなかったのですから。これを「廃炉作業の遅れ」というのでしょうか?廃炉作業の工程を作る前の調査がいまだ進行中といういこと以外ないのでは?

マスコミのみなさんにはぜひこの点を書いていただきたいです。事故から10年経ってまだ廃炉計画がきちんと作れない。内部の調査がやっと進みだしたぐらいなのです。それが原発事故の深刻さ一側面です。
これまで「デブリをどう取りだすか」でさんざん悩んでいることは伝えられてきましたが、今回、それと同等の汚染物が原子炉の上にかぶさっていて、対応の見通しも立っていないことが発表された。ようするに廃炉工程が虚構だったことが分かったのです。
この深刻さ、大変さが隠されてきています。あるいはかなり見にくくされている。見通しが立たないということはどれだけの費用がかかるのかも分からず、どれだけの被曝労働が発生するかも分からないということ。基礎的なことが分かってないのです。


説明をする規制委の更田(ふけた)豊志委員長 ANNより


新規制基準も虚構!再稼働をすぐにやめるべきだ

さらに大事なのは、2019年10月まで、つまり事故後8年5カ月も内部の調査すらできなかったのですから、福島原発事故の実態も、そこから引き出すべき教訓も、まったくつかめてないということです。
今回の報告では3号機の水素爆発が、従来の認識とは違って連続しておきたことも報告されていますが、昨年の発表時には「他の原発でとられた対策を見直す必要が生じる可能性」も語られていました。詳しくは以下の記事をご覧下さい。

明日に向けて(1922)福島第一原発3号機の爆発は複数起こっていた=新規制基準の見直しが必要となる可能性がすでに(2020年11月14日)
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/4fe7559633fc66ae8e7c2dde26d463e8

ポイントは、事故の把握にとって極めて重要な3号機の爆発の階梯が、画像解析の精度が上ることで複数回だったことが分かったと言うこと。
これが意味するのは新規制基準を作る前提としていた福島原発事故の進展過程の認識が間違っていたということ、だから当然、新規制基準そのものが見直さなければならないということです。
いや正確には廃炉計画が虚構であるように新規制基準もまた虚構だったのです。高い放射線に阻まれて調査もまともにできていないのに、事故実態を分かったふりして作ったものだったからです。それが今回明らかになりました。

こんなウソとデタラメの「教訓」を前提した原発再稼働など、即刻やめるできです。
同時にもはやこういう騙しを続ける規制委員会と東電に廃炉を任せるのではなく、開かれた廃炉公社を作り、真実を広く明らかにしながら廃炉を進めることに転換すべきです。
このことを訴え続けましょう。

#数京ベクレルの汚染 #福島原発 #廃炉工程は虚構 #新規制基準は虚構 #廃炉公社の設立を #規制委員会

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