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明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1482)米原市で進む原子力災害対策・・・ゆっくりマルシェでお話します(21日)

2018年03月19日 11時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20180319 11:00)

森友問題が揺れています。多くの正義を愛する人々が全国で安倍内閣総辞職を求めて立ち上がっています。内閣支持率も急落中です!
京都ではこれに府知事選にむけた運動が重なり、僕も連日、イベントで動き回っています。

同時に全国各地で原子力防災の充実化を求める動きが強まっています。
僕はこの流れを強めるためにもあちこちに走り回っていますが、この21日には米原市を訪れ、午前10時から午後3時まで行われる「ゆっくりマルシェ」の場で「いのちのまもりかた」と題したお話をさせていただきます。
この日は米原市防災危機管理課も来てくださり、出前講座「日頃の備えを大切に」(仮題)の講演を行ってくださいます。これとタイアップして僕もお話します。

実は米原市では原子力災害対策への取り組みの着実な一歩として、篠山市原子力災害対策検討委員会のような委員会を作ることが決められ、このための予算が2018年度に計上されています。
今回の危機管理課の方とタイアップした講演もこうした中で設定されたのですが、ここに来るまでさまざまな滋賀のみなさんの奮闘がありました。
大きくは嘉田県政の継承を訴えた三日月さんを知事にと押し上げた運動や、各地で取り組まれてきた「くらしとせいじカフェ」などですが、米原市との関係そのものは僕の知る限り2016年9月の小出裕章さんと僕のタイアップ講演に始まっています。

このタイアップ講演はもともとは長浜市在住でくらしとせいじカフェなどに取り組んできた村山さおりさんが、小出さんに送ったメールに始まりました。
村山さんが小出さんに講演を頼んだのですが、ずいぶんしてから来てくださることになり、そのときに村山さんが声をかけたのが、近江八幡で「ひとつぶてんとう園」という自主保育を担い、「くらしとせいじカフェ」にも関わっている西村静恵さんでした。
そして二人で相談して僕に小出さんとタイアップして話すことを要請してくださったのですが、小出さんは僕にとって、昔からとても尊敬してきた方なので、「ぜひに」とお受けしました。
そのあとにできた、村山さんと一緒に企画を担ってくださることになった会のみなさんの発案で、長浜、米原市長にメッセージを頼みにいったのでしたが、その際、西村さんが原子力防災への取り組みの強化を訴えつつ、そのための参考文献として僕の著書『原発からの命の守り方』を両市長にプレゼントしてくださいました。

そんな中で実現したのが2016年9月24日の「原発のうそ・ほんと」という企画です。
当日、中継してくださったIWJのアーカイブがありますので、興味のある方はご覧ください。

「原発のうそ・ほんと」小出裕章氏・守田敏也氏講演会(滋賀県長浜市) 2016.9.24
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/333689

この動画の冒頭でも紹介されているのですが、米原市長・平尾道雄さんは以下のようなメッセージを送ってくださったのでした。

「原発のうそ・ほんと」講演会のご盛会を心からお祝い申し上げます。本講演会を企画されました関係者のみなさまには原発に対する正しい知識の普及活動など、日ごろからさまざまな行動や取り組みを実践いただいておりますことに深く敬意を表します。
さて甚大な被害をもたらし、多くの尊い命を奪った東日本大震災、その爪あとは深く、今なお震災避難者は14万人余りとなっています。
また福島第一原発事故の収束のめどもたたず、この事故より5年が経過した今もなお、帰りたいところに帰れず、会いたい人にも会えない毎日をおくられている福島県内外への避難住民が約9万人おられます。
一方で2011年3月11日に内閣総理大臣により公示された原子力緊急事態宣言は継続していますが、2016年9月現在、国内には川内原発1号機、2号機と伊方原発3号機の3基が稼働しています。
福島第一原発事故後の教訓は「原発は事故が起きる」「人間は原発をコントロールできない」「原発に依存しないエネルギー政策への転換」であります。
いま日本で予期せぬ地震、災害が多発している中、最も迅速な対応が求められていることは、現在も稼働中である原発事故への備えであります。
まずは私たち市民一人一人が、原発や放射能、放射線等に関する正しい知識を持ち、原発事故が起きた場合にどのように行動するかについて日ごろから考えておく必要があります。
米原市におきましても、原発事故への備えを進めるとともに、市民のみなさんに対しましても、原発や放射能、放射線に対する正しい知識を持って、冷静な判断のもと、行動していただけるよう啓発して参りたいと考えています。
むすびに本講演が参加者のみなさまにとって有意義な講演となりますとともに、ご参集のみなさまの、今後ますますのご健勝とご活躍を心から祈念申し上げ、メッセージとさせていただきます。
平成28年9月24日 米原市長 平尾道雄

実は今回、記憶を辿りなおしつつ、IWJのアーカイブで市長のこのメッセージをあらためて拝聴したのですが、率直にいって市長がこの時点ですでに、とても優れた原子力防災の意識をお持ちであったことが分かりました。
ちょっとうがった言い方になって恐縮ですが、あるいはこの時すでに僕の著書を読んでくださっていたのかもしれないなとも思いました。
短いメッセージですが、大事なことが幾つも述べられていたからです。

さてそんな中で事態がさらに前に動いたのは、関西の原子力防災を考えて行政交渉などを重ねている方たちが米原市を訪れたときでした。
このときはびわこ123キャンプの主催者グループに長いこと参加している井野文さんなどが西村さんとともに、原子力防災の強化、とくにヨウ素剤の事前配布を求めて訪れてくれたのでした。
すると平尾市長が「ヨウ素剤の事前配布をやりたい」と回答書により名言してくださったのです。

この滋賀での動きをさらに促進してくださったのが、この間の流れにすべて参加してきた西村さんによる滋賀の各市の議員さんに対する原子力防災の啓発でした。
西村さんは2017年6月5日に「くらしとせいじカフェ@原子力災害~備えておきたい知識と心構え【議員さん向け勉強会】」を草津市で企画してくださり、僕が講演。このときは参加者約50人の半分以上が議員さんでした。
このときは福島原発事故の年から、信楽でいろんなことを一緒に共有してきた玉崎洋子さんなども主催者として加わってくださいました。玉崎さんももちろん「くらしとせいじカフェ」に関わり続けています。
そしてそこに参加していた高島市議の是永宙さんや、びわこ123キャンプを担ってきた青谷真由美さんに西村さんが声掛けして「この企画をぜひ高島市で」となり、9月29日に「くらしとせいじカフェ@たかしまの防災」がやはり僕を講師として企画されました。

しかもこの時は高島市と高島市教育委員会が後援してくださるとともに、高島市原子力防災対策課が参加し、原子力防災計画について報告してくださいました。
これはマキノ町の「一二三館」を保養キャンプの場に何回も提供してきた青谷真由美さん、五和雄さんご夫妻による地域への地道な関わり、行政との信頼関係の構築のもとに実現できたことでもありました。
高島市原子力防災対策課はすでに数年前に一二三館の保養キャンプの際の大人向け講演の時にも参加して下さり、僕とジョイントで講演してくださっていました。
この流れを受けて、昨年9月も、僕はまず原子力防災対策課の話を受け、水害対策を含む防災課の取り組みの積極面を評価させていただく形で講演しましたが、この時に米原市もこれまた西村さんの要請に応えて、防災危機管理課の方を二人派遣してくださったのでした。

このように関わりを進める中で、今度は米原市役所を「くらしとせいじカフェ」や「議員さん向け勉強会」などに参加してくれてきていた米原市議の中川雅史さんと西村さん、僕で訪問することになりました。
中川さんとの縁を作りだしてくれたのは、彦根市在住(いまは一年だけ海外へ)の中野和子さんや、大津市在住の岡田由布紀さん、草津市在住の北岡七夏さん、野洲市在住の畑佐よしみさんなどがはじめた「くらしとせいじカフェ」の湖東・湖北版?でした。
彦根・長浜・米原で2月に1回のペースで持ち回りで行われてきました。僕はここで民進党の国会議員だった田島一成さんとも知り合いになり、およそ3年近く参加を続け、その中でこの地域の方とどんどん親しくなっていきました。

米原での開催は、毎回、醒ヶ井の「渡部建具店」をお借りしていました。いつも優さん・秀夫さん夫妻で出迎えてくれるのですが、参加者がなんだかとてもほっこりできる素敵な場でした。
お二人は今回のお話の場である「ゆっくりマルシェ」の立ち上げも担ってくださっています。Facebookのイベントページの素敵な挿絵を書いてくださっているのも渡部優さんです。
僕にとってもここが米原市の中で、定期的に通えるようになった初めての場となりました。

そんな中で縁のできた中川さん。民進党議員が一方で希望の党へ他方で立憲民主党へという昨秋の厳しい条件の中でこの時期に再度の米原市議会選挙があったのですが、なんと2位で当選!そのまま原子力防災の強化にも力を注いでくださっています。
それやこれやの中で3人でまずは市役所危機管理課の方とお話してから市長室を訪ねました。市長は僕の本だけでなく、篠山市原子力災害対策検討委員会の議事録にも目を通していると語ってくださいました。とてもありがたく感じました。
それで「篠山市のようなことを進めて欲しい。ただしまだまだ米原市は市民も市役所も理解が十分ではない。ここを充実させていきたい」とおっしゃいました。
これに対して西村さんや渡部さんたちが考えてくださったのが今回のマルシェでした。僕も企画の組み立てに積極的に関わる中で危機管理課の方とのジョイント講演が決まりました。

このよう振り返った時に、滋賀の方たちの「くらしとせいじカフェ」というとても豊かな取り組みの上に、西村静恵さんが様々な動きの中で原子力災害対策の広がりのアプローチを重ねてきてくださったことが分かります。
これに中川雅史議員をはじめ、まるで同じ山のてっぺんを目指して、様々な角度からアプローチするかのように多数の方が時々にジョイントしてくださる中で、今日の一歩が作りだされてきたのです。
だからそれはみんなで積み上げてきたものです。市民による地道な努力の積み重ねの大切さをあらためて感じます。

21日はみんなで積み上げられてきた大事な成果をさらに前に発展させるために心を込めてお話します!
ぜひお越しください。

一緒にさらに逞しく民衆の力を育てていきましょう!
Power to the people!

******

ゆっくりマルシェ#9
https://www.facebook.com/events/1480767532042797/?active_tab=about

日時:2018.3.21 (水・祝) 10:00~15:00
会場:ルッチプラザ(米原市長岡1050-1、JR近江長岡駅徒歩10分)

内容:
☆マルシェ
10:00 - 15:00

マルシェで知る防災
https://www.facebook.com/events/391288451341645/?active_tab=discussion

10:00 - 10:30 防災危機管理課 出前講座「日頃の備えを大切に」(仮題)担当:防災危機管理課 石河さん
10:30 - 11:30 守田敏也氏のお話「いのちのまもりかた」
『プロフィール』 守田敏也氏 1959年生まれ。同志社大学社会的共通資本研究センター客員フェローなどを経て現在はフリーライター。各地で放射線防護の講演を行っている。2012年より兵庫県篠山市原子力災害対策検討委員会委員に就任

12:00 - 15:00 かえっこばざーる@ゆっくりマルシェ
また、滋賀・岐阜で「冒険遊び場」「子ども食堂」「森のようちえん」等の活動をされている皆さんに出店やワークショップなどもしてもらいます

☆企画展
いのちのまもりかた展
期間:3/11 - 3/21
場所:ルッチプラザ2階 図書館前

「ていねい・てづくり・オーガニック」なこだわりのお店がたくさん!
オーガニックなごはん&おやつ/フェアトレードコーヒー /農薬不使用の新鮮野菜/手づくり&自然素材の雑貨/ボディケア/手づくり体験ワークショップ/空き家相談/冒険あそび場 などなど

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明日に向けて(1481)京都府に原発反対の知事、同時に愛と温かさにあふれる知事を登場させたい!力を貸してください!

2018年03月17日 06時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20180317 06:00)

この14日に大飯原発が再稼働を強行されました。
中央構造線沿いに不気味な動きが続き、2011年に東日本大震災の発生と連動した新燃岳の爆発的な噴火が続いていて、しかも草津白根山がまた噴火警戒状態になるなど、大地が鳴動し、巨大地震の可能性が高まっている中でです。
政府の地震調査委員会も、南海トラフ巨大地震の30年以内の発生確率を、すでに昨年末に従来の「70%程度」から「70~80%」に引き上げているほどです。

30年以内発生確率「70~80%」に
毎日新聞2017年12月28日
https://mainichi.jp/articles/20171229/k00/00m/040/034000c

巨大地震が迫りつつある中での大飯原発の再稼働はまったくもっての愚行です。
なんとしても停めたい!たくさんの人の命を守るためにです。

そんな中で京都府は府知事選を迎えようとしています。4月8日が投票日です。
現知事の後継者として自民党が担ぎ出したのは中央官庁のエリート官僚。しかも財務省と並んでさまざまにいわくつきの金権官庁である国土交通省からの候補予定者です。
しかもこの間は復興庁で福島原発事故による放射能被曝の危険性から逃げ出した避難者に放射能被曝地域への帰還を強いてきたいわくつきの人物です。当然、原発の再稼働にもまったくもって肯定的です。

これをみて京都の心ある多くの人々が「誰かいないのか」と焦りの眼であたりを見回していたのですが、そうしたらまさに今の京都府にとって、いやこの政治から愛と誠実さが欠けきったこの国にとって、うってつけの人物が出馬表明してくださいました。
弁護士の福山和人さんです。福山さんはもちろん原発には絶対反対。また切れ者弁護士としての力を十二分に持っている上に、とにかく誠実で優しい。愛に溢れています。
この方が知事になれば関西電力に強い影響をもたらし、福井の原発銀座の稼働を止めることができる。同時に確実に幸せになる人を増やせる!温かい府政が実現する!そう確信して僕はばんばん彼を推しています。

みなさん。まずは以下の動画をご覧ください!そして「いいな」と思ったらできるだけ多くの人に「これを見て」と伝えてください。
京都民報による文字起こしもご紹介しておきます。

2018府知事選/2・21府民大集会 福山和人さんの訴え(動画)
https://www.facebook.com/kobayashi.higashiyama/videos/1873117812763631/
https://www.youtube.com/watch?v=Vi6tRY46y78

京都民報(2018年2月22日)による文字起こし
http://www.kyoto-minpo.net/archives/2018/02/22/post-21675.php

ぜひ京都府以外の方にも見ていただきたいです。
福井原発銀座の目と鼻の先にある京都府知事にどういう人物がなるのかは、この国全体に大きな影響を及ぼすことでもあるからです。

ご覧になった上で「力を貸そう」と思っていただけた方はさらにこちらをクリックして下さい。

つなぐ京都
http://www.fukuyamakazuhito.jp/

ここからどんどん情報拡散にご協力ください。

今日は僕は今から舞鶴市に向かいます。稼働している高浜原発からも大飯原発からもすぐそばの都市です。
午後には少し南の福知山市に向かいます。実は福知山市は篠山市に隣接していてより高浜原発に近い町。篠山で実現してきたことを福山さんと一緒に福知山で実現することを訴えたいです。
どちらも福山さんが発話されますが、僕も応援で発言させていただきます!

18日にも京都市左京区で午前11時から福山さんを囲むタウンミーティングに参加して発言し、午後5時からは三条大橋での福山さんのアピール現場にかけつけそこからデモにでます。
デモでは好きなプラカードなどを持ってきて欲しいとのことです。

全国のみなさん。京都の奮闘にご注目ください!
京都のみなさん。ぜひ合流を!

あなたの力で世直しを進めましょう!

*****

3月17日舞鶴市 午前10時から
福ちゃんとつながるミーティング(舞鶴市)
https://www.facebook.com/events/207124013214183/
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1365494670264096&set=pcb.1365510106929219&type=3&theater

3月17日福知山市 午後1時半から
「いのちの寄りそい憲法をいかす317北部大集会」
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10213312922075882&set=a.3300903639751.2140616.1182740570&type=3&theater

3月18日京都市左京区 午前11時から
左京区つなぐ京都ミーティング
http://www.fukuyamakazuhito.jp/activity/168/

3月18日京都市中京区 午後5時から
318つながるプロジェクト・デモ
https://www.facebook.com/events/503604070095913/

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明日に向けて(1480)京都・東京地裁が国と東電の賠償責任を相次いで認定!―原発賠償訴訟判決に思う(1)

2018年03月16日 23時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20180316 23:00)

昨日15日、本日16日、京都地裁と東京地裁であいついで、福島第一原発事故に伴って避難を決行した人々が国と東電を訴えた裁判において、それぞれの責任を認め、賠償を命じる判決が下されました。
この判決は東日本の広範な地域からの避難の権利を、避難者自らの力でその正当性を立証することで勝ち取った極めて意義の高いものです。
家族の命と私たちの未来を守るために避難を決行し、その後の不自由で困難な生活に耐え、しかもその中で国と東電という巨大な権力者を相手取って裁判を闘い抜いてこられたすべての避難者のみなさんの奮闘に心から拍手を送りたいと思います。

国と東電はこの重い判決を受け止め、ただちに避難者への謝罪と賠償を行うべきです。
福島原発事故からこの判決にいたるまですでに7年以上もの歳月が流れています。これ以上、原告たち、避難者に労苦を強いずに誠意をみせるべきです。

同時に私たちが踏まえておかなければならないのは、裁判所は一部の人々の訴えを退けており、避難の権利を十全に認めたわけではないことです。
このことが「国と東電の責任を認めて欲しい、避難の正当性を認めて欲しい」と訴えてきた避難者全体の心に素直に喜べない影を落としてしまっています。
私たちは今後の奮闘でこの限界を越えていく必要性があります。

さらにもう一点、ぜひとも付け加えておきたいのは、裁判所は「避難の相当性を認める」だけでは足りなかったということです。
そのようにどこか上から目線で「認可」を与えるのではなく、むしろ困難な避難を決行し、その後も被曝の危険性を訴えて裁判を担ってきた原告たちの奮闘をもっと高く評価し、多くの人々がリスペクトすべきものであることを高らかに打ち出すべきでした。

なぜなら福島原発事故で危険な地域から飛び出したこれらの人々こそ「率先避難者」にあたるからです。
災害時に私たちの避難行動を阻むものに「正常性バイアス」というものがあります。現代人は日常生活で命の危機に直面することがほとんどないので、その時の心構えがなく、いざとなると事態を直視できなくなってしまうことを指した言葉です。
このため危機が迫ってきていることを認めず、有効な避難に移れないことが多いのですが、このとき人々を助けるのが「率先避難者」なのです。誰かが率先して避難行動に移ることで他の人々の心理的ロックがはずれ、避難が促進されるからです。

放射線被曝の影響は五感では感受しにくい。敏感な人にはさまざまな形で察知されてもいますが、それこそ津波のように視認できるわけではないので、より「正常性バイアス」がかかりやすい。
そして政府や電力会社、権力者サイドから流される「安全論」がこれに拍車をかけ続けているため、福島原発事故以前には明確に「危険」とされていた地域から、人々が逃げ出さない、逃げだせないことがいまでも横行しています。
これに対して避難者のみなさんがとった行動は、人々に被曝への注意喚起を訴え、あるいは避難すべきことを問うものでもあったのであって、多くの人々の命を守ることに直結する英雄的な行為だったのです。

だから裁判所は、いや裁判所だけでなく私たちの社会は、この行為に対してもっと尊敬を込めた拍手を送り、感謝を表明し、サポートを行うべきなのであって、本来ならば判決にもこの点が書きこまれるべきであったと僕は思います。
またこうした観点を裁判所がきちんと持っていれば、一部の人々の避難の権利を棄却してしまうこともなかったのではないかと悔やまれます。
これらから僕は、自らの行動の正当性を自らの力で証明した避難者のみなさんの大奮闘に拍手を送るとともに、率先避難を敢行し、いまなお避難の正当性を訴え続けることで、被曝への警戒心を喚起し続けている行為により大きな拍手を送りたいと思います。

そもそも避難者が守らんとしたのは直接的にはご本人とご家族の命でしょうが、それはまた私たちの未来そのものでもあります。
考えてもみて下さい。私たちの周りに被曝で苦しむ人々が、子どもたちがどんどん増えたら私たちの未来はどんなに暗くなってしまうことでしょう。いや、いま実際にそうしたことが東日本を中心に拡大中なのです!

僕自身、つい最近も群馬県の高崎市を訪れ、三田茂医師の言われる「能力減退症」に苦しむ多くの人々、子どもたちと出会って来ました。それどころかたくさんの方が心筋梗塞や大動脈解離などによって突然死してしまったことも聴いてきました。
こうした事実と向かい合い続けてきている僕であっても、人々が被曝で苦しんでいるさまはとても心にこたえます。悲しいです。もうこんな悲劇を見聞きしたくないです。
だから僕は被曝の危険性をもっと訴え、人々に命を守りぬくことを呼びかけ続けたいと思うのです。

原発賠償訴訟の意義は原告のみなさんの当然の権利の保全とともに、もっと拡張されたものでもあると僕は思います。
この裁判そのものが「率先避難」の延長線上にあるのです。まさにこれは原告だけでなく、多くの人々の命、私たちの未来そのものを守る裁判なのです。

こうした観点を踏まえて、今後、これらの判決の分析を連載したいと思います。
今回は裁判の内容を報じた毎日新聞の記事を貼り付けておきます。
(なお資料価値が高く、さきざき読みかえすことにもなると思うので、有料記事で大変ごめんなさいですが全文を引用させていただきます。どうかご寛恕ください。)

*****

国と東電の賠償責任認める 京都地裁
毎日新聞2018年3月15日 10時26分(最終更新 3月15日 23時49分)
https://mainichi.jp/articles/20180315/k00/00e/040/219000c

国の責任認定は前橋地裁、福島地裁判決に続いて3件目

東京電力福島第1原発事故に伴い、福島、茨城、千葉各県などから京都府に自主避難するなどした57世帯174人が国と東電に計約8億5000万円の損害賠償を求めた訴訟で、京都地裁(浅見宣義裁判長)は15日、国と東電に対し、賠償するよう命じた。

原発避難者の集団訴訟で国の責任を認めたのは、昨年3月の前橋地裁、同10月の福島地裁判決に続いて3件目。
原発避難者の集団訴訟は、全国で約1万2000人が約30件起こしている。判決は前橋地裁を皮切りに、千葉、福島、東京各地裁に続いて5件目(東京地裁は被告が東電のみ)。千葉地裁は国の責任を認めていなかった。

京都訴訟原告の事故当時の居住地は、福島市やいわき市など東電が賠償対象とする福島県内の「自主的避難区域」が143人で、同区域外の福島県や茨城、千葉など他県が29人。他の2人は国の避難指示などが出た福島県内の区域に住んでいた。
いずれも平穏な日常生活を奪われ、二重生活に伴う負担増を強いられたなどと訴え、原則1人550万円の賠償を求めていた。

政府の地震調査研究推進本部は2002年、福島沖で巨大津波地震が起き得るとした「長期評価」を公表している。原告側は国の責任について「津波の危険性を予見できたのに有効な安全対策を怠った」と主張。
一方、国は「長期評価からは地震を予見できず、規制権限の行使義務もなかった」と反論していた。

16日に東京地裁、22日には福島地裁いわき支部でも集団訴訟の判決が予定されている。【飼手勇介】

国の責任、司法判断として定着しつつある 淡路剛久・立教大名誉教授(民法・環境法)の話 
判決は、自主避難をせざるをえなかった原告の個別事情を踏まえ、避難の相当性を認めた。被害実態に必ずしも即していない中間指針に基づく賠償を司法的に是正する内容で、重要な判断だ。
一方、東電からの賠償額で十分として請求を棄却された人がかなりおり、裁判所の損害認定額が低かったと感じる。国の責任は前橋、福島両地裁に続き、京都地裁でも認められ、司法判断として定着しつつある。
国は賠償の基準や期間、さらには地域復興についても、政策のあり方を見直す必要があるのではないか。

避難の判断基準、司法がより具体的に示す 除本理史(よけもとまさふみ)・大阪市立大大学院教授(環境政策論)の話 
避難が合理的かどうかの判断基準を、司法がより具体的に示した。中間指針で賠償対象となった区域の外でも、司法が独自に賠償を認定する流れが定着してきた点も注目すべきだ。
ただ、放射性物質の汚染による不安が長く続いていることを考えると、避難の時期を12年4月1日までで区切ったのは短すぎる。

***

福島第1原発事故 原発避難者訴訟 自主避難、賠償拡大 家族離別「時戻らず」 京都地裁判決
毎日新聞2018年3月16日 大阪朝刊
https://mainichi.jp/articles/20180316/ddn/041/040/009000c

東京電力福島第1原発事故の避難者集団訴訟で、京都地裁は15日、国と東電の責任を認めて賠償を命じた。原告の事故当時の居住地は、福島県内の「自主的避難区域」(福島市など)が141人、茨城や千葉など同区域外が31人と自主避難者がほとんど。
判決は子供の有無など独自基準を示し、原告の8割超の149人の避難を相当として賠償金の大幅上積み(最大457万円)を認めた。同種訴訟に影響を与えそうだ。

「離ればなれになった時間は取り戻せない」。福島市の吉野裕之さん(52)は判決後の記者会見で言った。事故後、妻(51)と一人娘の長女(10)を京都市山科区に避難させた。別居生活は7年に及ぶ。
福島第1原発までは自宅から約65キロ。事故当時、娘は3歳だった。低線量被ばくが心配で妻子を避難させることを決めたが、自身は仕事のため福島市に残った。現在は福島市内のNPO法人に勤め、放射線測定をしている。娘と会えるのは月1回程度。
「もう一度赤ちゃんに戻ってくれない?」。つい、そんな言葉が口をつく。
一家は賠償を認められたが、40歳を過ぎて授かった愛娘と別れた月日を考えると少なすぎると感じる。「東電や国の責任をもっと明確にすべきだ。ここからが踏ん張りどころ」と先を見据えた。

今回の判決は、国の「中間指針」で賠償の対象外だった福島県外の避難者にも扉を開いた。原発から約70キロ離れた茨城県北茨城市から京都市伏見区に母子避難した川崎安弥子さん(50)も、賠償が認められた一人だ。
健康被害への不安から2012年1月、夫を残して子供3人と京都に移った。ただ、明るかった長男はふさぎ込み、その後1人で茨城に戻った。自分の決断が正しかったのかずっと揺れていたという。
「避難を認める判決を書いてもらえたよと、あの時の自分に言ってあげたい」と声を詰まらせた。【野口由紀、宮川佐知子】

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明日に向けて(1479)2011年3月11日を振り返る・・・津波被害もまた政府の災害対策のあやまりの中で拡大した!

2018年03月14日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20180314 23:30)

2011年3月11日からまる7年間が過ぎました。
この8回目になる3月11日を前後してさまざまなことが起こりました。
僕なりに注目すべきものをピックアップすると第一にあげなければと思うのが3月6日の霧島連山・新燃岳の爆発的噴火です。
この噴火、まだ継続中で、場合によっては数か月にも及ぶと予測されています。

ちなみに新燃岳の前回の爆発的噴火は2011年1月26日でした。その1月半後に起こったのが東日本大震災でした。
霧島連山の噴火は歴史的にも日本列島各地の大地震と連動しています。
僕には因果関係などは把握できていませんが、しかし東日本大震災など、歴史上、実際に霧島連山と大地震が近接して起こっていることには注意が必要です。
これに関して論じているHPを紹介しておきます。

【緊急警告】新燃岳噴火→数カ月以内にM8巨大地震や富士山噴火の法則! 11のデータが証明する“恐怖の連鎖”、3.11とも完全一致!
http://tocana.jp/2018/03/post_16226_entry_2.html

これ以外にももちろん本日14日の大飯原発3号機の再稼働強行も大きな問題です。
同時にこの時期に森友問題が再度燃え上がり、安倍政権が末期を迎えようとしていることが重なっています。あるいは何かの因果かもしれないなどとも思えます。

さて今回、問題にしたいのは7年前の2011年3月の大震災の被害です。今一度振り返りたいと思います。
まず人的被害は以下の通りでした。(2018年3月9日時点)
死亡15,895人 行方不明2,539人 負傷6,156人。
都道府県での内訳は、宮城県9,540人、岩手県4,674人、福島県1,614人、茨城県24人、千葉県21人、東京都7人、栃木・神奈川県4人、青森県3人、山形県2人、群馬県・北海道1人でした。
亡くなられた方の90.64%は溺死でした。津波被害が圧倒的だったことが分かります。

一方で震災関連死も起こっています。津波の時は命からがら避難できたけれども、その後に亡くなった事例です。(2017年9月末)
総数で3,647人。内訳は福島県2,202人、宮城県926人、岩手県464人など。
大震災の被害と逆転して福島県が最も被害が多いのは、福島県では津波被害と無関係に、原発事故からの避難の途中で亡くなった方が多かったことです。
これに対して「無理な避難をしたからいけなかった」というとんでもない言い方がまかり通っていますが、そうではありません。
大事故の起こる可能性を否定したまま原発の無謀な運転を続けた東電と、それを認めてきた歴代政府のためにこれらの人々は命を奪われたのです。

あらためて、この圧倒的な数の方が亡くなられたことを前に、ひたすら手を合わせ、鎮魂の祈りを捧げたいと思います。
またご家族や大切な方を亡くされた方の痛みが少しでも和らぐ日の来ることを心から願ってやみません。
同時にあの大災害はたとえ犠牲者に近親者や知人がいない方でも心に多くの傷をもたらました。そのすべての傷が癒されることもまた心から願います。

一方で建造物の損壊では全壊121,176戸、半壊280,923戸でした。
全壊は宮城県83,003戸、岩手県19,508戸、福島県15,224戸などでここでも最も過酷な津波の被害を受けたのが県別であれば宮城県であったことが分かります。
「壊滅的」とも言えるこれらの被害はいまなお十分にカバーされていません。僕は東京オリンピックなど今からでもやめてその予算のすべてを東北・関東の被害の癒しに使うべきだと思います。

さて福島原発事故に対してはその責任をめぐってまだしも裁判が起こされていることに対し、多くの方が津波にさらわれ、溺死した津波被害は「天災」の言葉でくくられたまま、十分な問題の捉え返しがなされていないように思えます。
しかしそんなことはけしてありません。私たちはこの点でも津波対策を怠り、実効性のある避難計画を作ってこなかった政府に大きな責任があることをしっかりと認識する必要性があります。

にもかかわらずこの点はいわば福島原発事故の背後に隠れてしまってきたのではないでしょうか。そしてそうであるがゆえに同じ過ちが繰り返されようとしているのではないでしょうか。
あれほどの災害に見舞われながらこの国は、有効な対策を重ねないままにまた次の自然災害や、それと連動した人工災害に見舞われようとしているのではないか。いや「そんなことがあってはいけない」という思いでこの一文を書いています。

こう書くのは2010年12月17日に初版が出されている岩波新書『津波被害』河田惠昭著の「はじめに」を読んで大きな衝撃を受けたからです。
多くの方に知っていただきたいので引用したいと思います。

「この本の出版は、2010年2月27日に発生したチリ沖地震津波がきっかけとなっている。わが国では、約16万人に達する住民を対象に、避難指示・避難勧告が出されたが、実際に避難した人は3.8パーセントの約6.4万人に過ぎなかった。
とくに、津波常襲地帯の北海道、青森、岩手、宮城、三重、和歌山、徳島、高知の各県の沿岸市町村でも、対象人口74万人中、5.1パーセントの約3.8万人が避難したに過ぎない。
このように極めて低い避難率であった。近年の津波被害では、住民の避難率が大変低いことはすでに問題となっていた。しかも、年々これが低くなっているのである。
『こんなことではとんでもないことになる』というのが長年、津波防災・減災を研究してきた私の正直な感想であり、一気に危機感を募らせてしまった。
沿岸の住民がすぐに避難しなければ、近い将来確実に起こると予想されている、東海・東南海・南海地震津波や三陸津波の来襲に際して、万を超える犠牲者を出しかねない、という心配である」(pⅰ)

いかがでしょうか。
僕にはこの時の河田さんの訴えが社会に浸透していればと悔やまれてなりません。「こんなことではとんでもないことになる」「万を超える犠牲者を出しかねない」という河田さんの思いは残念ながらまったく正確に的中してしまったからです。
そしていま、同じことが進行中なのではないでしょうか?いや確かに進行していると僕は思います。
その元凶が政府が原発にしがみつき、いままた再稼働しようとしていることにあると僕は考えています。

これは原発そのものの危険性のことだけを指しているのではありません。原発の再稼働のために、実は再度の地震や津波がこの国を襲うリアリティからも目をそらそうとするさまざまなことがらが繰り返されてきているからです。
なぜかと言えば、地震や津波の被害の可能性をしかるべく強調し、人々に備えを訴えれば、おのずから原発の再稼働などとんでもないことが鮮明化してしまうからです。

この間はその上にJアラートでのミサイル発射情報の伝達という愚行が繰り返されてきました。
もともとJアラートは自然災害などの情報を瞬時に流すためのものでもありますが、これに朝鮮からの弾道ミサイルが日本に落下する可能性が付け加えられ、この間、何度となく鳴らされました。
そのいずれも日本の上空かなたの通過であって、落ちてくる心配などまったくなかったことが事後的に明らかになりましたが、これは災害対策上の最悪の行いなのです。
なぜならこうしたことを一回でも行うと、それでもう本当に避難しなければならないようなアラートのときに、それを信じず、退避行動に移らない人々が出てきてしまうからです。
ようするに河田さんがあの3月11日の直前に「これではたいへんなことになる」と胸を痛められていたことが何ら継承されていないばかりか、むしろこうした犯罪的な愚行によって危険性が拡大されてしまっているのです。

原発の再稼働にあたっても、火山の動きや地震の影響の過小評価ばかりが繰り返されています。
中でもひどいのは火山の噴火が何年も前に予知できるというあまりに非科学的な暴言が横行していることです。これは活火山に囲まれた川内原発を稼働させるために飛び出してきたものですが、それは火山噴火の危険性の過小評価と密接に絡まっています。
そんな中で2016年に起こった熊本を震源として大分県や鹿児島県までもが著しく揺れた地震に際しても、政府はけして「九州地震」とは言わずに「熊本地震」と言い続けました。
「九州地震」と呼ぶと、鹿児島県にある川内原発や、大分県から海を隔ててすぐの佐多岬にある伊方原発が危険地域にあることが際立ってしまうからでした。

このようにそもそも2011年3月の大津波による犠牲も、災害への備え、とくに「とっとと逃げる」意識の形成が不十分であったことによって拡大したわけですがそのあやまりは何ら克服されていません。
原発の危険性から目をそらしたい政府のもとで、災害全体の捉え返しもまた十分に深められず、おざなりなままなのです。いまなお「このままではたいへんなことになる」状態が放置されているのです。

もちろん何もなされてきていないわけではありません。民間での必死の捉え返しや、地方行政による災害対策の積み上げなどはなされてはきているのです。
しかし肝心の政府がちっとも災害対策に本気になっていないのがこの国の現状なのです。この点では僕はどの野党もまた十分な災害対策指針を打ち出せていないように思えます。

私たちはこの状態をただし、原発だけでなく中央構造線という巨大な断層帯の揺れや、いずれも30年内に7割以上の確率で起こると予測されている東南海トラフ地震や関東大震災などに備えなくてはなりません。
そもそも南海トラフ地震については政府の地震調査委員会は、30年内の確率を7割から7~8割にあらためています。にもかかわらず意識喚起がなされていない。
いや地震だけでなくて、富士山を初めとする活火山の大規模噴火にも備えなくてはいけない。やらなければならないことは本当にたくさんあります。

そのリアリティを突き詰めるならば、自衛隊を災害救助隊へと抜本的に改編することこそもっとも合理的であることも見えてくると僕は思います。
「とっとと逃げる」意識づけの強化だけでなく、本格的な救助隊の創出まで進まなければ、この国を襲う巨大災害への備えをなせたとは言えない。こうした意識改革こそがいまこそ必要なのです。

2011年3月11日から7年を越え、亡くなられた多くの命に手を合わせて、私たちはいまある命、これから生まれてくる命を守ることにもっともっと心を傾けましょう。
そのことを僕はこの日、この時に誓わなければならないと思うのです。

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明日に向けて(1477)この夏、南仏反核サマーキャンプ2018に集まろう!(8月6日~12日)

2018年03月02日 21時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(201800302 21:30)

僕が参加しているNuclear Heritage Networkの仲間たちより、この夏、南仏ナルボンヌで行われる反核国際サマーキャンプへの招待状が発せられました。8月6日から12日の開催です。
原文は英語で僕が翻訳し、宮崎寛さんにproofreading(原文と訳文の対照)をしてもらいました。

この日時の設定は僕の提案によるものです。広島・長崎の日を繰り込んでもらいました。もちろん原爆のことも話し合うためにです。
みなさん。ぜひこのキャンプに一緒に行きましょう!
あるいはここに日本からのチームを作って参加しますのでサポートしてください。
ご参加やサポートにあたっては、英語ができる方は直接、ここに書かれたアドレスにご連絡いただいてもかまいませんが、そうでない場合は、この記事への返信の形で僕(守田)に連絡をください。

世界の人々との連帯で核なき世界の可能性を開きましょう!

*****

反核サマーキャンプ 2018へのご招待

親愛なるご友人のみなさん

私たちはあなたを2018年8月6日から12日にかけてフランスナルボンヌ近郊で行われる反核国際サマーキャンプにご招待し、あなたの知識、経験、そして悪政に抗う熱い思いを分かち合いたいと思います。

私たちのグループは世界中の独立した反核アクティビストの集まりです。私たちの目的は、国際的なネットワークを作りだし、反核の問題に関する知識と経験を分かち合うことにあります。また、みなさまと共に過ごす時間に、サマーキャンプならではの面白さや刺激的な雰囲気を組み込みたいと思っています。

サマーキャンプは二つのメイントピックスによって成り立つ予定です。
一つはナルボンヌのマルベシにあるオラノ社(旧アレバ社)のウラン転換工場についてです。私たちはこの問題に取り組んでいる地域グループをサポートしつつ、放射性廃棄物の処分にもつながるウラン転換プロセスの現状に関する知恵を分かち合うことが重要だと思っています。キャンプ期間中、少なくとも1日はナルボンヌまたは近郊の核関連工場への抗議行動を行います。

もう一つはウランおよび燃料生成過程で生じる副産物の輸送の安全性についてです。この副産物には放射性廃棄物も含まれます。

プログラムの中では、参加者の知識と経験シェアしたり、さまざまなプロジェクトやキャンペーンの準備にあてる時間を設けたいと思っています。
加えて、気軽な交流会や、芸術と文化の触れ合い、シエスタやフェスタの場なども設けます。ミュージックバンドの演奏を楽しむ一夜も入れたいと願っています。
夕刻にはみなさんがこの間関わっている反核行動に関する映画・映像を上映する機会も設けたいです(キャンプに映像を持ってきてください)。

私たちのキャンプは8月6日、9日、広島と長崎への原爆投下の日に合わせて設定されています。このため、この場を、原爆で非常に多くの人々が亡くなったことに思いを馳せるとともに、核戦争の危険性を強く訴える機会にもしたいと考えています。

私たちは反核のワークショップ、レクチャー、ディスカッションのためのサポートを必要としています。核の問題に関するどなたのワークショップやプレゼンの申し出も歓迎します。
私たちはたくさんの参加者が反核の闘いやそれぞれの地域の核政策について語ってくださることを望んでいます。加えて、共同抗議行動の日(みんなで核関連工場へ抗議行動を行う日)を成功させるためのサポートも求めています。

キャンプ生活を送る上で必要なインフラとして、オリーブ畑の中にコンポストトイレ、ソーラーシャワー、キッチンなどを作ります。ワークショップやプレゼンでは、スペイン語、フランス語、英語などでのウィスパリング通訳(ノンプロでの)を準備したいと思っています。そのためにはあなたの力が必要です。

キャンプサイトは地中海のナルボンヌからわずか10キロ内の愛らしいフィールドです。しかしながらこの場所では小さな樹がわずかに日光を遮るだけなので、暑さと乾燥状態が懸念材料であり、山火事の危険性も大きくあります。このため私たちは責任をもって行動し火事の危険性を最小限にする必要があります。日除けの傘や、もし可能であれば消火器を持ってきてもらうことも、キャンプ準備をサポートする方法の一つです。

参加費について:サマーキャンプ参加者には毎日の食事、水、その他の費用がかかります。一日当たりの額については、今後の招待状でお知らせします。財政的に困難な場合は、費用の減額を申し出ることができます。もしヨーロッパの国々から来られるのであれば、飛行機を使用しないことをお勧めします。

テント、寝袋、音楽、楽器、あなたの持ち芸などをキャンプに持ってきてください。大きなテントやタープなどを持っている場合は、その旨お知らせいただければ幸いです。下記の連絡先をご覧ください。

より快適な宿泊をお望みの場合は、以下のナルボンヌの観光情報サイトで調べてみてください。この地域は夏には観光客がたくさん押し寄せますので、こうした宿泊施設に宿泊したい場合は、早めに予約しましょう。後日、宿泊可能な施設のリストをご提供できると思います。

どうかあなたのネットワークに反核国際サマーキャンプ2018をつなげてください。

これは最初のお知らせです。より具体的なプログラムや諸注意、周辺情報などをこれからの数か月のうちにお知らせします。

キャンプにご興味がある場合、もしくはサポートいただける場合は、以下のメールアドレスまでご連絡ください。
camp2018 AT nuclear-heritage DOT net(「AT」を「@」に、「DOT」を「.」に変えて下さい)

キャンプへの参加登録をされる場合は、参加者と参加期日を記して以下のメールアドレスにお送りください。
camp-registration AT nuclear-heritage DOT net(「AT」を「@」に、「DOT」を「.」に変えて下さい) 

反核サマーキャンプ主催者から連帯を込めて!

【ナルボンヌ―マルベシのオラノ社(旧アレバ社)について】
ナルボンヌ―マルベシにあるウラン転換工場(ナルボンヌ市街地から 3 キロ)は今後何年にもわたって、21,000トン/年のウランを四フッ化ウラン(UF4)に処理・転換することになっています。いわゆるイエローケーキ(ウラン鉱石の濃縮物)の精製です。
オラノ社は放射性廃液を「クリーン」な処理で気化して大気中に放出することでもお金を稼ごうとしています。この処理技術を他社にも売りつけようとしています。オラノ社は今後40年、あるいはそれ以上に渡って350,000立法メートルの放射性廃液からなる放射性ガスを放出する許可を得ています。動植物や人類の生態へのリスクは大変深刻です。

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明日に向けて(1476)『新ヒバクシャ』に『能力減退症』が始まっている(三田茂医師)

2018年02月28日 23時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20180228 23:00)

尊敬する医師であり、友人でもある東京小平市から岡山に避難移住されている三田茂医師が、大変、重要で素晴らしい論稿を発表されました。
僕には専門的な医学的知見はありませんが、しかしここに書かれた「新ヒバクシャ」の症状に何度も取材や講演現場で遭遇してきているので深く共感しました。
何より、三田医師は多くの「新ヒバクシャ」の苦しみの軽減に成功してきています。そこが素晴らしい。

ここに書かれてある症状に身に覚えのある方はぜひまずはご自分の主治医にこの論稿を渡してください。
そのことであるいは苦しみが軽減できるかもしれません。もっとも重要なのはこの点です。
同時に医療関係者のみなさんはぜひとも末尾の都築教授の言葉に耳を傾けてください。

そしてみなさん。
共感されたならぜひこの論文を拡散してください。
英文も併記されています。世界にも広げようとかなり苦労して書かれたそうです。
「新ヒバクシャ」の苦しみを軽減する珠玉の三田論文を広げよう!

以下、三田論文を貼り付けます。

なお同論文で示された「能力減退症」の部分にだけなのですが、文春オンラインがとりあげました。
画像とリンク先もしてしておきます。


文春オンライン
https://bunshun.jp/articles/-/6958

*****

『新ヒバクシャ』に『能力減退症』が始まっている
三田医院 三田茂
http://mitaiin.com/?page_id=10

2011年3月11日の東日本大震災に引き続く東京電力福島第一原子力発電所の爆発により、福島はもちろん東日本は広範囲に放射能汚染された。
東京都で開業医をしていた私は、当院患者さんたちの体調の変化に気付き、首都圏住民を中心に約4000人の検査、診療を行ってきた。

2011年から2016 年

私の患者さんたちは、放射能回避の意識の強い人たちなので現在まで重症の疾病の発生は目立たない。
しかし、異常な鼻血、皮下出血(アザ)、リンパ節の腫れ、下痢、喘息副鼻腔炎などの呼吸器疾患の多発、難治化、ケガ、キズ、皮層炎の治りの悪さ等が気になった。
本来小児特有の病気である手足口病やヘルパンギーナが成人にも多く見られたり、主に高齢者の病気である帯状疱疹が小児にも多く見られたり、他の性病は減少傾向なのに梅毒のみが激増したりしていることは統計からも明らかで、注目すべき変化である。
私は国の定める電離放射線検診に準じた血液検査を、乳幼児から老人、約4000人の受診者に施行してきた。
小児、特に乳幼児に顕著だった白血球減少は、2012年までの1年間はホットスポットとして知られる東京東部から東葛エリアで目立ったが、その後は西部の武蔵野エリアにも広がり、今や首都圏はどこでも同じとなってしまった。
巷では、主に福島の甲状腺癌の話題ばかりが取りざたされるが、そのことのみを論じていては全く不足である。
白血球の減少、白血球像の変化、諸々の自覚症状、感染症のプロフィールの変化、疾病の進行の様子の変化、診断がつきにくく治療の反応が悪くなってきていることなどを分析、議論すべきである。
私の観察によれば、東京首都圏居住者の健康被害は明らかであり、福島県の汚染の少ない地域や北関東の住民のそれよりもむしろ深刻である。

『新ヒバクシャ』とは?
各症状の程度は個人差が大きいが、差はあっても、東日本居住者は全てが影響を被った当事者であると認識し直すべきであり、今回私は『新ヒバクシャ』という概念を提唱する。
2011年福島原発爆発事故により放射能被曝させられた私たちは、ヒロシマ・ナガサキの、ビキニの、チェルノブイリの、湾岸戦争の、そして軍事や核産業に従事するヒバクシャたちに引き続く21世紀の『新ヒバクシャ』として自身を再認識し、自ら健康を保持しなくてはならない。
また医療者は診療にあたり、今までの医学常識が今後通用しなくなる可能性を忘れてはならない。
福島原発事故は未だ収束の見通しもなく、2017年の時点で首都圏においても降下物、水道水とも放射性物質が検出(原子力規制委員会による)され続けている。
『新ヒバクシャ』は長期にわたる低線量被曝を受け続けている点で、過去のヒバクシャとは異なる特徴がある。
チェルノブイリ等の先人の研究は当然尊重し参考にしつつ、しかし全く新たな健康被害が発生する可能性を忘れてはならない。

 『能力減退症』とは?
それまでも訴えはあったが、『新ヒバクシャ』たちの生活に影響を及ぼす症状が2016年頃から急に増加しその程度が強くなってきた。

記憶力の低下
ものおぼえの悪さ 約束の時間を間違える メモを取らないと仕事にならない
疲れやすさ
仲間についていけない 長く働けない 頑張りがきかない だるい 疲れると3~4日動けない
昔できていたことができない 怒りっぽく機嫌が悪い 寝不足が続くと発熱する(小児に多い)
集中力、判断力、理解力の低下
話の飲み込みが悪く噛み合わない ミスが多い 面倒くさい
新聞や本が読めない  段取りが悪い  不注意   やる気が出ない   学力低下   能力低下頭の回転が落ちた 宿題が終わらない
コントロールできない眠気
倒れるように寝てしまう 学校から帰り玄関で寝てしまう
昼寝をして気付くと夜になっている 居眠り運転 仕事中に寝てしまうので仕事をやめた

第2次大戦後、ヒロシマ・ナガサキのヒバクシャにも同様の症状は非常に多く見られ、都築正男東大名誉教授は「慢性原子爆弾症の後障碍」と、肥田舜太郎医師は「原爆ぶらぶら 病」と記載した。
これらの症状はビキニのヒバクシャ、チェルノブイリのヒバクシャ、核産業のヒバクシャの多くをも悩ませ続けている。
今回私はこの現象を新たに『新ヒバクシャ』の『能力減退症』と呼びたいと思う。

さらに臨床医として日々の診療、治療で感じているのは、疾病が典型的な経過を取らないので診断が困難な症例、病状の悪化に伴うはずの身体所見(炎症所見など)や血液検査データの変化が乏しく判断を誤りやすい症例、治療に対する反応が悪い症例を少なからず経験することである。

病原菌に対する防御力の低下
ちょっとした病気にかかりやすい
身体の免疫力の低下、あるいは時間的な遅れ
感染に際して期待される白血球増多がみられず、あるいは遅れるために治療が効果を表すのに時間がかかる   生体の反応が間に合わなければ深部感染症に進行し予想外に急速に敗血症から死に至ることもあり得るのではないか
傷害組織の治癒力の低下
小さなキズの治りが悪い 皮層炎が治りにくい 蜂窯織炎が多い

これらを含めた、多面的「能力」の「減退」ー『能力減退症』が事故後3~4年を経て急速に増えていることを感じ、危惧するのである。

『能力減退症』の原因
これらの困った症状が、東日本から西日本への移住、保養ではっきり改善することは多く、また東日本に戻ると悪化する体験を多くの『新ヒバクシャ』が持っている。
『能力減退症』の原因が放射能被曝単独であるとの証明まではできないが、旧来のヒバクシャたちの経験した症状との強い類似性から考えると原因の中心に放射能被曝があることは間違いないであろう。
また、1980年代から強く認識されるようになった化学物質過敏症の症状の中にはこれらと非常に類似した記載があることから、『能力減退症』とは、一部化学物質過敏症的であるとも言えるし、放射能被曝によって身体の感受性が変化して化学物質過敏症の発症をも誘発したという可能性もあるだろう。
例数は少ないが、MRI などの脳の画像診断を行った結果では、中枢神経にはっきりと認識できる病的変化は起きていないし、認知機能検査も正常範囲である。
話題となりやすい甲状腺ホルモンレベルは、健常人の値とかわりなく変化は全く見られない。

私は2017年3月頃より『能力減退症』を訴える患者さん約100名を中心に、脳下垂体一副腎皮質ホルモン検査を行った。
具合は悪いが寝込むほどではなく、不便ながらも生活できているくらいの人たちの上記ホルモンレベルは、正常の下限周辺から低値であり、元気な人たち(正常中央値に近い)と比較して分布が明らかに低く偏ることが示された。
この相対的脳下垂体一副腎皮質機能低下症というべきホルモン異常の状態が『能力減退症』の原因の大きな一つであるのは、後述の治療によって生活能力が実用的に大きく回復することからも確実である。

『能力減退症』の治療
今まで医学的にはっきりした病名のつかなかったこれらの症候は、したがってその治療に今までは積極的なものはなく、「ヒビの入った容器として大切に取扱う外ない(都築)」「無理な生活を避けしめるように指導する(都築)」というに留まっていた。
「無理をせず、休息を十分取り、早寝する」といった指導は確かにある程度は有効であった。しかし『能力減退症』の症状は、2016年頃(被曝後5年)から症例数は多く、程度は強くなっており、生活指導のみでは不充分で、就学、就労に差し支えるほどになってきた。 相対的に不足している副腎皮質ホルモンは、経口的に補充投与して正常レベルに近づけ
ることが可能なので、2017年4月よりそのような治療を開始したところ、その約 70~80%が「能力」の回復を実感した。
眠気が取れた 霧が晴れた感じ 昔のように働ける 元のように明るくなったと言われる
若くなったと言われた 気分が上向きになった スムーズに理解できる 頭の回転が30%から80%に上がった できなかった宿題がすぐ終わる  イライラしなくなった  不安なく運転できる   目のかすみが取れる等々

相対的脳下垂体一副腎皮質機能低下症に対しては、注意深く不足ホルモンの補充をすることで『能力減退症』症状の改善が得られたが、しばらくの治療の後、減薬、休薬すると再び症状が悪化する例が多いことも事実で、副作用を起こさないように個々に内服量を調整しながら治療を継続している。

『能力減退症』と明確に区別できない強い自律神経症状に悩まされている人もまた多いが、このような人は化学物質過敏症を併発している可能性(もともとあった過敏症が悪化していることも)も高く、化学物質を回避する指導が有効であることも多く経験している。
ある種の漢方薬治療も症状改善に結びつくことが多く、ホルモン低下症例に対しても効果を示すことが多いようである。

『新ヒバクシャ』の皆さんに
2011年以降東日本に住んでいた、あるいは今も住んでいる人たちは、自分自身を『新ヒバクシャ』としてしっかり認識し、体調の変化、疾病に対応していただきたい。
「歳をとったから」などと安易に納得せず、前述の諸症状にあてはまる点はないか考えて欲しい。チェルノブイリでは、ヒバクー老化と考える人も多い。
私が最も心配するのは、感染に対する反応性の低下である。 医療機関で行った検査では大きな異常がなく、医師に「軽症あるいは異常なし」と言われたとしても、自覚的に体調が悪ければ、しつこくそれを訴えて欲しい。 『能力減退症』では身体の防衛反応が低下するため、検査データが異常を示しにくくなるので、本当は意外に重症かもしれないからである。

医療者、とくに開業医の先生方に
症状と診察所見と検査データが乖離している、診断がつかない、治療効果が思うように上がらないときには、『能力減退症』の可能性をも考えていただきたい。
 
白血球数は、増多(抵抗力大)より減少(抵抗力小)が、むしろ病勢の悪化、重症化を示しているかもしれない。
コルチゾール低下傾向の人が多いので、その補充が功を奏する可能性もある。 当然のことと考えている自然治癒力が低下すると治療にも工夫が必要となる。

チェルノブイリ原発事故前に50ヶ月ほどであった胃癌・肺癌患者の余命が、事故後1年で2か月まで短縮したというウクライナの論文(京大原子炉実験所 今中助教編)があることも知ってほしい。

再び『新ヒバクシャ』について
この2~3年、眠気が強い 病気にかかりやすい 急に老けた 仕事が辛い 物忘れが激しい といった『能力減退症』症状の訴えが、西日本在住の人たちにも散見されるようになった。
化学物質過敏症、電磁波過敏症の悪化も無視できない。
アメリカからの旅行者が、子どもの症状を当院で訴えたこともある。
低線量被曝は広く考えれば、全日本、全地球規模のものであり、もともと虚弱体質の人や障がい者、難病患者さんたちは、2011年以降その影響を強く受けた印象がある。
『新ヒバクシャ』には『能力減退症』以外にも注意すべき症状が起きることがある。
免疫力は低下するのみでなく暴走することもあるが、自己免疫疾患の増加、アレルギーの悪化、更にはアナフィラキシー様発作の増加は気になる。

むすび
ヒロシマ・ナガサキのヒバクシャ、ビキニのヒバクシャの医療に当たった都築正男東大名誉教授は、昭和29年「慢性原子爆弾症について」のおわりに
「臨床醤學の立場からするならば(中略)慢性原子爆弾症の人々に何かの異朕を認めたならば、それが自覺的で苦悩であろうと、他覺的の症朕であろうと、野症的だけの慮置だけでも之を施して善慮するのが臨床醤學の責務ではあるまいか。學間的に未解決であ

るとの理由で供手傍観することは避けたいものである。」とし
「病者と共に苦しみ共に楽しむことを日常の仕事としていられる臨床醤家は、私の微意のあるところを充分に汲みとって下さると思う。」とむすんでいる。

この論文に私は強く同意し、60余年を経て新しい概念を提唱する。

2018年2月28日

#新ヒバクシャ #能力減退症 #三田茂 #被曝影響

 

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明日に向けて(1475)原発から、災害から、命を守ろう!(茅ヶ崎市、高崎市、京都市でお話します)

2018年02月28日 12時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(21080228 12:00)

今回も講演等のスケジュールのお知らせです。
3月3日焼津市、4日静岡市にうかがわせていただきますが、その後に茅ヶ崎市、高崎市とまわり、京都に返ってきて9日、10日と企画参加し、その後11日に再び静岡県の富士宮市、12日富士市でお話します。

実はこの茅ヶ崎でのお話は昨年7月の静岡での講演からつながっています。
前々回にもお伝えしましたが、この時の僕の講演動画、その後にあわせて約7000回も再生されました。以下の二つです。
https://www.facebook.com/gomizeromirai/videos/1722213984485398/?hc_location=ufi
https://www.youtube.com/watch?feature=youtu.be&v=TUUCX2qGlhc&app=desktop

このとき藤沢市の朝倉優子さんがFacebookのタイムラインに、とても素敵な言葉で紹介してくださったため、拡散が促進されました。
https://www.facebook.com/yuko.asakura.712/posts/1735336099827232

「これ、スゴすぎる。1時間51分35秒、一気に観てしまったよ(風呂にもiPhone持ち込んだりして)。
原子力のこと、(広島と長崎の)原爆のこと、核実験のこと、原発のこと、福島第一原発事故のこと、放射線被曝のこと、ベントのこと、ヨウ素剤のこと。。。
ものっすごい勢いであれもこれも話されるのにぜんぶわかりやすいし、内容おっそろしいのにおもしろい。怒涛のパワポが本当に理解の手助けになっている。
原発事故のみならず、地震津波テロミサイル、すべての災害対策に有効な、すべての人が知っておくべきノウハウ満載です。守田講師に、敬礼!(`_´)ゞ」

大変、ありがたかったし、また朝倉さんがたびたびおこなっているフラッシュモブもかっこよかったので、一度、お会いしたいなと思っていたら、すぐにも7月のDAYS JAPANのヨウ素剤自主配布に向けた東京説明会会場でお会いすることに。
さらに僕が「神奈川県でもお話する場を作れませんか?」と無茶ぶり! そうしたら9月9日に横浜での企画を立ち上げてくださり、わずかな準備期間しかないのに会場が満杯に!
https://www.facebook.com/events/462493410804196/

そのとき今回、茅ヶ崎での企画を開催してくださる「チームみつばち」の方が参加して下さり、さらに11月の世田谷区での講演と保坂展人区長との対談にも参加していただいた上で、今回、茅ヶ崎に招いてくださることになったのです。
こうした縁のつながり方は素敵であると同時に、福島原発後にこの国の深部で起こっている大きな変化の及ぼす波動であると僕には感じられます。
なぜかといえばこういうつながり方がこの7年間、強まりこそすれ、弱ったり、途切れることがまったくないからです。
間違いなくこの国は深部から変わろうとしているし、僕もまたその流れを可能な限りの力で強めていくつもりです。

茅ヶ崎の後は、これまた信州伊那谷の大鹿村の縁からつながってもう4回もうかがっている群馬県の高崎市を訪問します。
いつも定宿を提供してくれていた堀越けいにんさんが立憲民主党の国会議員になるなど、この間、群馬でいろいろと素晴らしい動きがあったので、僕の側からもそんなこともお聞きしたいと思っています。
一日たっぷりと企画を組んでくださったので楽しみにしています。

その後、京都に返ってきて9日夜に「ヨウ素剤を配ってよ@京都」第1回参加者ミーティングを開きます。
10日にはエルコープ京都のみなさんに招いていただいて原発防災のこと、ヨウ素剤のことなどじっくりとお話します。
そして11日は富士宮市で講演です。

みなさま。どうかそれぞれのお近くの場にお集まりください!

*****

3月5日 神奈川県茅ヶ崎市

子どもの命を守るためにできること
~原発事故や頻発する自然災害から命を守るためのお話~
https://www.facebook.com/events/429053440831219/?active_tab=discussion

いつ起こるかもしれない原発事故や地震などの自然災害、そのとき私たちはどう行動すればよいでしょうか。またどんな備えや心構えが必要なのでしょうか。
原子力防災に詳しい守田敏也さんに、命を守るためのポイントを分かりやすく解説していただきます。
守田さんは福井原発群から50Kmの距離にある兵庫県笹山市の原子力災害対策検討委員を務められ、笹山市での安定ヨウ素剤の事前配布に関わりました。
私は以前守田さんのお話を伺って自分たちの命は自分たちで守ることの重要性を身に沁みて感じました。
いざというときに大変役立つお話です。この機会にぜひお聞きください。

3月5日(月) 10:00~12:00(9:30開場)
茅ヶ崎市役所分庁舎6階コミュニティーホール
参加費300円

キッズスペースあります。お子さんと一緒にどうぞ。

連絡先 090-9328-3799(亀田) 090-1425-5472(吉野) teammitsubachi@yahoo.co.jp
主催:チームみつばち
協力:ピースカフェちがさき
後援:茅ヶ崎市

***

3月6日(火) 群馬県高崎市

守田さんのお話&交流会
https://www.facebook.com/events/149848532359780/

京都在住の平和活動家でフリーライターの守田敏也さんが、焼津、静岡、茅ケ崎の講演から足を延ばして、高崎にお越しくださいます。
原発事故に備えたヨウ素剤配布の自治体への働きかけや、昨年のトルコ、フランスでの原発のない未来への協働活動の様子、そして、8月南仏で予定されている国際反核キャンプへの参加の呼びかけと説明など、盛りだくさんでお話を伺います。
美味しいご飯を頂きながら、守田さんと交流しましょう。また、はるな生協さんのご厚意で、FTF(内部被ばく検診)ができますので、お問い合わせくださいね。

3月6日(木)
①11:00~ ランチお話会@まるカフェ 
高崎市片岡町2-33-11 NPOはっぴいまるまる内 027(395)4576
2000円(手作りランチ、デザート&飲み物付き)
守田さんへの活動カンパもよろしくお願いします!

②15:00~
FTF(内部被ばく検診)車を守田さんは取材されます。
@はるな生協 高崎市上中居街146-1 ※検査ご希望の方は、ご連絡ください。

③18:30~ 夜のお話会@救現堂 
高崎市芝塚町1980-8
2000円(カレー&飲み物付き)
駐車場はお問い合わせください。
守田さんへの活動カンパもよろしくお願いします!

守田敏也(もりたとしや)さんプロフィール
同志社大学社会的共通資本研究センター客員フェローなどを経て、現在フリーライター。福島原発事故後、被ばく地を度々訪問するとともに、各地で放射線防護の講演を積極的に行っている。現在、兵庫県篠山市原子力災害対策検討委員。

子供も参加可能

【お申込み】
参加ぽちと一緒に、ご希望の時間帯①②③をコメント欄にお書きくださいね。
ランチ予約、カレーの仕込みなどの都合上、どうぞよろしくお願いします。

【お問い合わせ】
090 6185 8394 (木村香織)

***

3月9日(金) 京都市キャンパスプラザ

「ヨウ素剤を配ってよ@京都」第1回参加者ミーティング
https://www.facebook.com/events/732132140323287/

昨年末に立ち上げた「ヨウ素剤を配ってよ@京都」の第1回参加者ミーティングを行います。
はじめに守田敏也さんから全国各地のヨウ素剤配布運動や原子力災害対策の進展についてお話を30分ほど受けてから自由な意見交換を行います。ぜひご参加下さい!

3月9日(金)午後7時ごろから
実質的にはキンカン行動の後、みなさんが集まってから始めます。
参加費無料(可能な方はカンパをお願いします)

***

3月10日(土)京都市しんらん会館

守田さん、おしえて~  原発・ぼうさい 今どーなってるの?
https://www.facebook.com/events/208727266371739/

原子力防災で全国を飛び回る守田敏也さんのお話です。
ドイツ反核キャンプで見てきたことや篠山市の災害対策検討委員で関わって起こった変化や今日再びやってくるかもしれない震災への準備についてたくさんお話していただきます。
(著書に『原発からの命の守り方』)

主催 生活協同組合 生活クラブ京都エル・コープ
参加費  100円
締め切り 3月2日
問い合わせ エル・コープ西センター 075-934-7371

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明日に向けて(1474)福山和人さんのもとで京都府に血の通った温かな政治を! 原発もとめ災害対策を充実させよう!

2018年02月26日 18時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20180226 18:00)

前々回の「明日に向けて」で京都府知事選に向けた出馬表明をされている弁護士の福山和人さんをご紹介しました。
2月21日に京都市のみやこめっせでの発言が素晴らしかったので、すぐに文字起こしして全文掲載してくださった京都民報の記事のアドレスも貼り付けましたが、その後に集会参加者が撮った動画がFacebookにアップされましたのでこれもご紹介します。
ともあれ僕としては「こんなに候補予定者に煽られたことはない!」という発言でした。ぜひご覧ください。またこの部分だけでも良いですから拡散されてください。
文章で読みたい方のために、京都民報の記事も再度ご紹介しておきます。

2018府知事選/2・21府民大集会 福山和人さんの訴え(動画)
https://www.facebook.com/kobayashi.higashiyama/videos/1873117812763631/

京都民報(2018年2月22日)による文字起こし
http://www.kyoto-minpo.net/archives/2018/02/22/post-21675.php

さて今回は、この福山さんの発言を受けての、この日の僕の応援演説の文字起こしも行いましたので掲載させていただきます。
かなり気持ちがアップして血圧が上がっての発言でした(笑)
しかも応援演説では必ず事前に原稿を書いていくのですが、今回は僕が紹介しようとしていたことを福山さんが先に話してしまったので、かなりの部分がアドリブになりました。
ともあれこれが僕の福山さんと一緒にこの府知事選にのぞむにあたっての決意です。

京都のみなさん。京都府津々浦々から一緒に世直しの風を吹かせましょう!
全国のみなさん。ぜひ力を貸してください!まずは福山さんの発言動画や文字起こしを広げてください!

ちなみに京都府は関電の大株主でもあります。
このため知事を代えることで、稼働に厳しい態度をとることが可能です。
その意味で京都府知事選は原発事故を憂うすべての人にとっての大きな課題です。

私たちの手でこの国の政治に温かさを取り戻しつつ、脱原発の可能性を大きく広げましょう!

****

福山和人さんのもとで京都府に血の通った温かな政治を! 原発もとめ災害対策を充実させよう!
2月21日 京都市みやこめっせにて
守田敏也

みなさん。こんばんは。
今日は京都府知事選に立たれようとしている福山さんを応援するためにやってきました。
僕は何よりも原発から命を守るために、福山さんに知事になって欲しいと思うのですけれども、その前に、昨日、堺町画廊というところで福山さんのお話を聞いてとても感動したのですね。
それでその時の話をぜひお伝えしようと思って原稿をいっぱい書いてきたのです。
どのような話なのかというと、生い立ちの話で、ほぼ全部、福山さんが先ほど話してしまいました(笑)
どうしようかなと思っていたら、実は一つだけ「とてもきつかったです」とだけ言って、次に移っていったお話があったのです。

それを紹介したいのですが、福山さん、小さい時の思い出が「ひもじい」の一言だと語られましたけれど、おばあさんから「武士は食わねど高楊枝だ」と諭されたことに先ほど触れられましたよね。「貧しさに負けるな」という教えを受けたのですね。
そのおばあさんが、福山さんが大学を出られて、司法試験を始められた時に、認知症になられたのだそうです。
その時にお父さん、お母さんが共働きだったので、「お前は時間があるのだから介護をしなさい」ということで、実はそれから2年間、がっつりと介護をされたそうです。

するとおばあさんが徘徊を始められたのですね。そのためにやむを得ず、家のドアのカギを高い所につけておばあさんが自分で開けられないようにした。
そうしたらですね。夜中の2時3時におばあさんが「外に出せ」とドアを叩くのだそうです。当然、近所からも苦情が来る。それで仕方がなくて、福山さんは夜中におばあさんの手を引いて、何度も一緒に街を歩かれたそうです。
そんな中で司法試験の勉強、なかなか進まない中でされたのですね。

この話をして福山さんは、「だから自分は苦しい人の立場、辛い人の立場が分かる」と言われてですね。そのときにも何かちょっと思い出したのか、上を向いて、ずっと涙をこらえられていたのですね。
みなさん。こんな候補予定者なんていませんよ。苦しい人、貧しい人の立場に立つとすぐに泣きそうになっちゃう。(笑)
僕はこういうことが今の政治に一番必要だと思うのです。優しさとか、温かさとか、心がある、そういう方がですね、いま政治家の中にいなくなってしまっている。
国会に愛も優しさも慈しみの心も欠けているんです。だから僕はこういう方が知事になれば、間違いなく多くの方が幸せになると思います。
だから私たちはこの温かいハートを持った福山さんを、みんなで推し立てて一緒に頑張りましょう。

福山さんが知事になってはっきりと変えてくださるのが原子力災害対策だと思います。
みなさん、いま何基の原発が動いているかご存知ですか。いま3基です。1つは川内原発の2号機。あと2つが高浜3号機、4号機。私たちの目の前にある原発です。
なんで他の原発は停まっているのか。37基が停まっています。危ないからです。私たちが必死にデモをしているからです。だから容易に動かせないのです。
だけど私たちの目の前にある2基がいま動いています。

京都は高浜原発からめちゃめちゃに近いところにあります。
一番近い舞鶴市ではなんと10キロ圏以内のところもあります。綾部市はほぼ全体が30キロ圏内に入ります。そしていま私たちがいる京都市のこの辺で60キロです。
このことは最初に石田先生も言われましたが、にもかかわらず、再稼働に対して立地県として口を挟めるのは福井県なのです。その県庁のある福井市は高浜原発から90キロなのです。
90キロでもぜんぜん安全ではありませんよ。しかしこれほど近くにある京都府がほとんど何も言えないというのはあまりにも理不尽です。
というかあまりにも今の京都府知事が無責任なのです。だから私たちは知事を代える必要がある。代えて、私たちの命、子どもたちの命を守るために、福山さんを知事にしましょう。
そしてそのもとで原子力災害対策をきちっと作って欲しいし、僕は一緒に作りたいと思います。
さらにさきほど福島さんの発言にもあったように、被災者に対して手厚い政治を行っていく。そのことが僕は福山さんのもとでなら可能だと思います。

みなさん。僕は今日、一つ福山さんの真似をします。「人と人とつなぐ!(右手の人差し指と左手の人差し指をたてて真ん中で合わせる)」。これですね。
素敵な言葉です。実はこれ、西郷さんも言ってました。今回の選挙、本当に今までにない、新しい、多くの人たちをつなぐ選挙にしましょう。
その中心にあるのが福山さんの温かい心、そして強い心だと思います。
僕も一緒になってこの一月半を走り抜けます。頑張りましょう!

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明日に向けて(1472)京都の府知事に心豊かで温かな福山和人弁護士を押し上げたい!

2018年02月23日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20180223 23:30)

4月8日に投票が行われる京都府知事選に弁護士の福山和人さんが出馬表明されました。
僕は日曜日に行われた市民勢力による福山さんを囲むミーティング、20日堺町画廊で行われた同じく福山さんを囲んだくらしとせいじカフェに参加して福山さんがどんな人かを僕なりに知ろうと努めました。
どんな考え方で出馬するのか、基本的スタンスは共感できていたので応援するつもりで、翌日21日にみやこめっせで行われた福山さんを中心とする府民大集会での応援演説を引き受けていたからでもありました。
そうしたらこの2日間だけでもずいぶんと福山さんに心を奪われました!

とくに心を動かされたのは、福山さんが堺町画廊で、僕の「なんで知事に挑戦しようと思ったのですか」という問いに応えて語ってくださった生い立ちに関することでした。
それでその内容を心に書き止め、21日の応援演説で紹介しようと思っていたら、当日、ご本人がほとんど話してしまった(笑)しかもこの時はさらなる胸をゆさぶる話も加わった。
おかげで用意した原稿の半分を没にし、大幅にアドリブを加えて演説することになりましたが、この日の福山さんの演説でも僕はさらに心を鷲掴みにされてしまいました。
いままでもたくさんの素晴らしい市議選、市長選、国政選挙の候補を応援してきましたが、出馬表明でここまで心を奪われた経験は初めてです。多くの方が書いていることですが、僕も立候補表明を聞いていて初めて涙が出そうになりました。

この日の素晴らしい発言について、京都民報がすぐに全文を掲載してくださったのでみなさんにご紹介します。
まずはじっくりとお読み下さい。またこの部分を友人・知人に知らせて欲しいです。

2018府知事選/2・21府民大集会 福山和人さんの訴え(全文)
京都民報 2018年2月22日
http://www.kyoto-minpo.net/archives/2018/02/22/post-21675.php

福山さんの発言が胸を打つのは、彼が自分の行動の原点を自らの貧しかった幼少期からの体験におき、そこから貧しき人々、苦しき人々に限りなく近づこうとする姿勢が伝わってくるからです。
というのは福山さんは子どもの頃を振り返って思いだすのは、とにかく「ひもじかった」ことなのだそうです。
両親が離婚してお母さんがおらず、おばあさんに育てられたそうですが、貧しい長屋ぐらしで、おやつは朝の味噌汁のだしに使った残りのジャコだとか、おばあさんが裏庭で育てていたパセリだったそうです。

そばにあったお寿司屋さんのゴミ箱を漁ったことすらあったそうですが、その時、おばあさんにたしなめられた。正座をさせられたといいます。ゴミ箱のことは記憶にないのだけれど、この時のシーンだけは今でも覚えているのだそうです。
おばあさんは「武士は食わねど高楊枝!というんだ」と福山さんを諭したという。貧しさに屈してはいけないという教えを与えてくれたのですね。
おばあさんは「明治の女」で、けんかで負けて帰ると「もういっぺん行ってこい」とも言われたとか。福山さんにプライド高く生きることを教え続けられたのだと思います。

やがて大学を出て、司法試験を始められた時、そのおばあさんが認知症になられた。その頃はお父さんは再婚されていたそうですが、共働きだったので「おまえは家にいて暇だろうだから介護してくれ」と言われて2年間、しっかりお世話をされたそうです。
おばあさん、徘徊をされるようになり、やむを得ず家の戸のカギを高い所につけ、キーもとれないところにおいておいた。ところが夜になるとおばあさんは外に出たくて「出せ」とドンドンと戸を叩くのだそうです。
近所からたちまち苦情が来てしまう。それで福山さんはやむを得ずに夜中の二時三時からおばあさんの手をひいて町を彷徨ったそうです。わずか20歳をすぎたばかりのころの青年福山さんの思い出です。

これを聞いたのは堺町画廊でのことでしたが、このときに福山さんは言葉につまって天井を仰がれました。涙をこらえているのが分かりました。その時は辛い思いがよみがえったのだろうなと思いました。
実は21日のみやこめっせでの発言ではこのことに触れず、ひとこと「きつかったです」とだけ語られて、その後に弁護士になって多くの困った人を手助けしてこられたことを語られました。
そのたびに思ったのは「社会の仕組みがもうちょっときちんとしてたら、もっと未然に救われる人が多いのに」という感慨だったそうです。

さらに福山さんはある54歳の無職の男性が、86歳の認知症の母親の首を絞めて殺害してしまった事件のことを語り始めました。2006年のことでした。
男性の母親は父親が亡くなったころから認知症が出始め、事件の10か月前、症状が悪化して昼夜逆転、近所を徘徊するようになりました。男性は介護を優先するために昼間の仕事を辞め、介護をしながらできる仕事を探したけれど見つかりませんでした。
困窮して生活保護の申請をしましたが「あなたはまだ働けるから」と断られ、さらに苦しくなって追い詰められ、挙句に二人で死ぬ決断をしてしまいます。
以下、福山さんはまるで一人芝居でもしているように語り続けました。京都民報掲載の発言録からこの部分を転載します。

「自宅アパートの掃除をして、親族と大家さん宛ての遺書をテーブルに置いて、母親と2人で家を出ました。2人が向かったのは、三条京阪近くの繁華街です。そこには、男性がまだ子どものころ、親子3人で食事をしたことのある店がありました。
ここで、親子は最後の晩御飯を楽しみました。夜になって、2人はもう戻ることのできないアパートの近くにある河川敷にやってきました。2月初旬の寒い時期です。何時間かが過ぎました。
もうお金もない、もう生きられへんで、これで終わりやで、犯行直前に男性は泣きながら、目を覚ましたばかりの母親に語り掛けました。「そうか、もうあかんか。一緒やで、お前といっしょやで。お前はわしの子や。わしがやったる」。
母親のその言葉に意を決して首を絞めました。その後、男性は包丁で自分の首やお腹などを刺して、自殺をはかりましたが、死にきれずに倒れているところを通行人に発見されました。」

「もうお金もない、もう生きられへんで、これで終わりやで」・・・その言葉を発するとき、福山さんはまるで当の男性が乗り移ったかのように、唇をかみしめ、天井をあおぎ、絞り出すように語られました。
なんども涙をこらえ、己をおさえ、静かに二人の悲劇を語られました。会場中が引きずり込まれ、多くの方が涙せざるを得ませんでした。そうです。これが私たちがいま生きているこの社会の中で起こっている現実なのです。

このとき僕は堺町画廊で福山さんが涙をこらえて天井を仰いだ時の気持ちがより強く分かったように思いました。福山さんはご自分の体験とこの母親を殺すにいたってしまった男性の経験を交差させていたのでしょう。だから無性に悲しかったのでしょう。
福山さんはこの男性が、裁判で情状酌量され、懲役2年6月、執行猶予3年の判決を言い渡されるも、事件の日から8年経った2014年8月に琵琶湖大橋から身を投げて自殺されたことを語りました。
そしてこう語られました。「彼と母親の命をつなぐことはできませんでした。これは政治の責任ではないでしょうか。」

そしてそこから福山さんは「夢をつなぐ」「なりわいをつなぐ」「未来へつなぐ」「人をつなぐ」ことを自らが実現したい基本政策として語られました。
詳しくは京都民報に譲りますが、その中には「ストップ貧困京都宣言」や「中小企業振興基本条例」「原発再稼働反対」「国とのパイプよりも府民とのパイプ、風通しのよい府政の運営」などが含まれています。
要するに先に述べたような悲劇が二度と起こらないような温かく、優しい、思いやりのある社会をみんなの力で築いていこうと言うのです。その一つ一つの提案に心が躍りました。
何より僕は「この人となら実際に温かい社会が実現できるかもしれない。血の通った政治、愛のある豊かな政治が可能だ。世直しが可能だ」と感じ、本当に打ち震えました。
実はそのために自分の出番でかなり高揚して飛び出していきました。応援演説に立って、これだけ出馬表明された方に「煽られた」のは初めてです(笑)

福山さんを府知事に押し上げて実現したいことはたくさんありますが、やはり僕は何より関電に対し、株主として稼働停止を迫るとともに、原子力災害対策を府をあげて充実させていくことを提案したいと思います。
なぜならばいま、全国で動いているたった3基の原発のうちの2基が京都府の目前にある高浜原発であり、さらに関電がこの春に大飯の2基をも動かそうとしているからです。
京都府民にとってまさにこれこそが最大の脅威。だからこそ福山さんと、すべての命を守るための施策を積み上げたいです。

以上から僕は今回、全力をあげて福山和人弁護士を応援することに決めました!
京都府のみなさん。ぜひ一緒に福山さんを応援してください。全国のみなさんもぜひ一緒に応援してください。

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明日に向けて(1471)今日の保育は明日のわが町・わが未来!保育の問題をみんなで考えよう(京都市田中神社でのイベント案内です)

2018年02月22日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20180222 23:30)

再びイベント案内です。
前々回お知らせしたように24日土曜日に篠山市で広河隆一さんの講演会を行います。
僕は司会を担当し、講演の後に対談もさせていただきます。
あわせて広河さんの写真展も開催中です。詳しくは以下をご覧ください。

【広河隆一さん講演会+篠山市からの報告+守田敏也さんとの対談】
http://livedoor.blogimg.jp/newwind/imgs/4/8/48b6ddea.jpg

***

さて今回、より詳しくお伝えしたいのは2月25日日曜日に京都市元田中の田中神社で行うイベントです。
「京都の今とこれからを考える13 テーマは保育」という企画です。
京都華頂大学教授の藤井伸生さんにお話いただき、ディスカッションします。
あわせて「小さなマルシェ」も同時開催です。

主催は僕も参加している「ウチら困ってんねん@京都」です。通称「ウチこま」です。
このグループは2年前の京都市長選の時に本田久美子さんを応援して立ち上げた勝手連を継承したもので、あともう2年後に迫った次の京都市長選も見据えつつ、京都市で起こっているさまざまな問題にコミットすることを目指して立ち上げたものです。
「勝手連」から名前を変えるときに、SEALDsなど何かかっこいい名前にしようとみんなでさんざん知恵を練ったのですが、しっくりくるものは何も出てこず・・・。
そのときあるメンバーが「ウチら困ってんねんから、「ウチら困ってんねん@京都」でええんとちゃう?」と言い出し、「それだそれだ」「それがウチららしいは」と決まってしまったのでした・・・。
以来、12回に渡って京都で起こっているさまざまな問題に関しての企画を行ってきました。

そんな中で13回目の今回は、二度目の試みになりますが、子どもたちのこと、とりわけ「保育」のことにフォーカスすることにしました。
「保育園落ちた!日本死ね!」などの鮮烈な言葉でも知られるように、いまこの国は子育て環境がとても悪くなっています。
保育がしっかりしていないと親がきちんと働けないのはもちろんですが、それ以上に問題は親の権利とともに子どもの権利が保障されていないことにある。子どもたちが健やかに育っていく環境がきちんと整備されていないのです。
記事のタイトルに「今日の保育は明日のわが町・わが未来」としましたが、子どもたちが明るく育ってこそ、明日の私たちの町、そして私たち自身の未来も明るく豊かになります。

その点で保育の問題はけして子育て世代だけの問題ではありません。
保育や子どもたちへの政策がどんどん酷薄になっているいまの社会状態は、私たちの未来そのものを暗いものにしています。
だからこそ、子育て、あるいは孫育てに関わっている方だけでなく、多くのみなさんに、いま何が起こっているのか、とくに京都の保育事情はどうなっているのかをつかみに来てほしいです。
また子どもたちの今が明るくなるために、私たちに何ができるのかもみんなで考えたいです。

まずはこの問題のエキスパートである藤井さんにお話をいただき、その後にみんなで意見交換します。
ちょうど今は4月の京都府知事選挙も控えた時期ですが、立候補を予定している弁護士の福山和人さんも、あまり長い時間ではないですが駆けつけてきてくれて意見を語ってくれるそうなので楽しみです。

みなさん。25日は京都市田中神社にお越しください。
もちろん京都市以外の方も積極的にご参加ください!

小さなマルシェに出店していただけるみなさんと一緒にお待ちしています!

***

2/25 小さなマルシェ同時開催
京都の今とこれからを考える13 テーマは「保育」です!
https://www.facebook.com/events/422181644883265/

子どもはみんな 育つ権利がある
ほんで
保育を受けるのは 子どもの権利
そやし
楽しいて明日も行きとなる

保育所がささえてくれるのは
親の権利
そやから安心
そやから笑顔で暮らせる

けど いつまでも待機児童が
いっぱいやなんてヒドイ
これって市の責任やんな?

市はいつも人口減少とか
少子化てゆうてんにゃから
もっと保育所つくって
子育てできるようにせんと
もっと保育士さん増やして
大事にしたげんと

京都を
子育ての楽しい街にしよ
今日の保育は明日の京都やろ
藤井さんと一緒に
京都の保育をみなで考えよーさ!

同時開催 小マルシェ
買物コーナー おいしいコーヒー
噂のドーナツ

みなさんのお越しを待ってます!!

………………………………………
藤井伸生さんプロフィール
京都華頂大学教授
1956年岡山県津山市生まれ。京都保育団体連絡会会長。大阪自治体問題研究所理事。
近著に(共著)『ポイント解説子ども・子育て支援新制度』ひとなる書房、2015年。

マルシェ出店者
・カフェ ミーチョ(コーヒー)
・GINGA☆Bakery(ドーナップ)
・カフェあずき(スイーツ)
・ウメちゃんファーム自然農園(野菜)
・すみれや(乾物とおむすび)

2月25日(日)
マルシェ13:00-17:00
お話会13:30-16:30
交流会あり 17:00~
場所:左京区 田中神社 弘安殿
(東大路通里ノ前交差点御蔭通東入ル)
参加費:カンパお願いします
主催:ウチら困ってんねん@京都
問合せ:TEL 090-3704-3640

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