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明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1069)「高浜原発差止仮処分事件」の決定が14日に出ます!(下)

2015年04月10日 13時30分00秒 | 明日に向けて(1001~1100)

守田です。(20150410 13:30 トルコ時間)

続けて弁護団からのプレスリリース、若狭の原発を考える会・高浜・大飯原発再稼動阻止ネットワークからの現地行動の提起、週刊朝日に掲載された解説をお届けします。

*****

報道機関各位

BCCで送信しております。
重複ご容赦ください。

さくら共同法律事務所の弁護士河合弘之の担当の松田と申します。
お世話になっております。

以下、河合が共同代表を務めます大飯・高浜原発差止仮処分弁護団より案内です。
急なご案内になり恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

2015年4月9日
報道関係者各位
高浜原発差止仮処分事件仮処分決定日と記者会見のご案内

昨年12月5日に福井県・関西地方に住む市民9名が福井地裁に申し立てた、大飯・高浜原発差止仮処分事件ですが、3月11日の審尋期日におい て、 高浜原発については審理を終了し、決定が出される旨みなさまにお知らせしてまいりました。
このたび決定の告知日時が決まりましたのでご案内申し上げます。

高浜原発3・4号機については2月12日に原子力規制委員会が合格証にあたる「審査書」を出しており、これらの原発が再稼働されるのは時間の 問題 という危険な状態にあります。
しかし、本件において仮処分決定が出た場合は、これらの原発を再稼働することはできなくなります。仮処分決定は、判決とは異なり、直ちに効力 を生 ずるからです。
この決定には日本中の国民・市民が期待を寄せており、当日は福井地裁に多くの市民が駆けつけます。
報道機関関係者の皆様におかれましては、司法が現実に原発を止めるというこの歴史的な裁判を多くの国民・市民に知っていただくために、取材・ 報道 いただきますよう、よろしくお願いいたします。

【本件仮処分申立ての経緯】
昨年5月21日に福井地裁が出した大飯原発差止判決は、福島第一原発事故の被害に正面から向き合い、全国の原発に当てはまる本質的な危険性を 認定 し、大飯原発3・4号機の運転差止めを命じたもので、多くの国民・市民に支持されています。現在、名古屋高裁金沢支部で控訴審が行われているとこ ろです。/しかし、関西電力は、この大飯原発差止判決を無視し、控訴審の結論を待つことなく大飯原発3・4号機と高浜原発3・4号機を再稼働 する ことを表明し、これらの原発の再稼働に向けての動きが着々と進められています。/このような世論と司法を無視する再稼働の動きを止めるべく、私た ちは、大飯原発差止判決を出した福井地裁に、通常の判決とは異なり、直ちに効力が生じる仮処分命令を求め、昨年12月5日に緊急に申立てを行 いま した。
(提出書面等詳細は仮処分の会サイトにも掲載 http://adieunpp.com /karisasitome.html)

2015年4月14日(火)
14:00過ぎ 福井地裁前で弁護団、申立団が旗だしを行います。
15:00(予定) 記者会見・報告集会 決まり次第、ご連絡いたします。

大飯・高浜原発差止仮処分弁護団 河合弘之、井戸謙一、内山成樹、海渡雄一、青木秀樹、
望月賢司、只野靖、笠原一浩、鹿島啓一、中野宏典、藤川誠二
申立人 今大地晴美、水戸喜世子、松田正、石森修一郎、
長谷川羽衣子、西村敦子、水戸晶子、松本なみほ、高橋秀典
※東京でも弁護団による会見予定

問合せ先:さくら共同法律事務所03-5511-4386(河合)/金沢税務法律事務所076-262-3628(鹿島)
 
*****
 
現地行動の呼びかけ
 

遅れていた仮処分判決告知が4月14日(火曜日)14時ということになりました。予定通り、裁判所前の集会が行われます。京都、滋賀、大阪、奈良からも自家用車の乗り合わせ、または、電車で参加したいと思います。京都からの車は10時スタートを予定しています。具体的配車(集合場所、時間)は参加者が決まった段階でお知らせします。とりあえず、参加を募ります。自家用車乗り合わせを希望される方は、木原―090-1965-7102、高瀬―090-3034-7391、新開―090-3267-4278のいずれかまで連絡ください。(3月に申し込まれた方も、改めて)

なお、この裁判の報告集会を、4月26日(日)午後1時半より予定しています(場所は現在探しています)。こちらへもお誘いあわせの上ご参加ください。
よろしくお願いします。

若狭の原発を考える会・高浜・大飯原発再稼動阻止ネットワーク 木原壯林

 
*****
 
初の運転禁止仮処分?高浜原発の今後
週刊朝日  2015年4月10日号
http://dot.asahi.com/wa/2015040100089.html

 原発再稼働1番手とされる関西電力高浜原発3、4号機。その雲行きが怪しくなってきた。昨年12月、地元住民らが関電を相手取り、大飯原発3、4号機と高浜原発3、4号機の再稼働差し止めの仮処分を福井地裁に申請。このうち高浜原発については今春にも決定が出る見込みだが、仮処分が認められる可能性が濃厚だという。元判事で2006年に志賀原発の運転差し止め判決を出した井戸謙一弁護士が解説する。

「関電は高浜原発3、4号機を止めるべきだという申し立て側の主張にまともな反論ができていない。前回の審尋で関電が専門家の意見書を出すと言ったのに、裁判長がその機会を与えなかった。その流れからすると、申し立てが認められないとは考えにくい」

 担当裁判長は昨年5月に大飯原発3、4号機の運転差し止め判決を出した樋口英明判事(62)。

 このときは「人格権を侵害される具体的な危険がある」と踏み込んだ判決内容で再稼働を否定した。

 今回の仮処分申し立ては、3月11日に結審、まもなく決定を出す見通しだ。

 樋口判事は3月末に定期異動するとされるが、関係者によると、その場合でも裁判所法28条に従って高裁から特別な辞令を得て、異動後も決定を言い渡すことができるという。

 もし仮処分が認められれば、関電が取る方法は三つ。ひとつは保全異議や執行停止の申し立て。あるいは本訴への持ち込み。最終手段として決定を無視し、強引に再稼働させることもできるが、簡単ではない。

「保全異議の決定だけでもおそらく1年はかかる。無理やり原発を動かせば、裁判所は関電に億単位の間接強制金を課すでしょう。そんなことをしたら社長が株主から責任を追及されかねない」(申し立て弁護団の内山成樹弁護士)

 形勢不利と見た関電は「合理的な理由がないまま審理が終結したのは不当」(関電広報部)として裁判官忌避を申し立てた。だが、福井地裁はすぐさま却下。3月20日には名古屋高裁金沢支部へ即時抗告したが、申し立て弁護団によると、認められる可能性は低いという。原発の運転差し止めの仮処分が認められれば国内では初となる。元経産官僚の古賀茂明氏が言う。

「仮処分が出て高浜原発が止まったらそれが先例になり、全国の原発で同様の申し立てや訴訟が相次ぐ。再稼働に何の迷いもない政府や経産省にしてみれば、そうした先例を絶対に許したくない。時間をかけて最高裁まで争うでしょう」


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明日に向けて(1068)「高浜原発差止仮処分事件」の決定が14日に出ます!(上)

2015年04月10日 13時00分00秒 | 明日に向けて(1001~1100)
守田です(20150410 13:00トルコ時間)
 
イスタンブールのホテルからです。
こちらは今正午すぎ、日本との時差は6時間です。
午後のミーティングの前のわずかな時間で書いています。
 
高浜原発差止仮処分事件の決定が14日に下されるそうです。
この審理は昨年5月に大飯原発の運転差止判決を出した樋口裁判長が担当してきました。
樋口裁判長は3月末で転任するためその前に運転禁止処分を下すと言われていました。
ところが多くの人々が待ちわびた期日決定の知らせがこないままに4月になってしまいました。
やきもきされた方が多いと思います。僕もその一人です。
 
どうなってしまうのかとドキドキしていたら、その後に週刊朝日に次のような解説が載っていることを舞鶴の知人が教えてくれました。
「樋口判事は3月末に定期異動するとされるが、関係者によると、その場合でも裁判所法28条に従って高裁から特別な辞令を得て、異動後も決定を言い渡すことができるという。」
 
まだ十分に望みはあると少しほっとしていたら、今日になってついに処分決定の期日が決まったという報が担当弁護士から飛び込んできました。これはすぐにお知らせせねばと記事を書いています。
とくに裁判長が変わった等の報がないことから、期待された運転禁止処分が出される可能性が高いのではないかと思います。ただしその点はあまり明示的に書かれていないので、関係者の方たちがみな、慎重になっているのかもしれません。
 
ともあれ注目すべき判断が14日に出されます。ご注目ください。
14日には福井裁判所を応援し、歴史的瞬間に立ち会おうということで、京都、滋賀、大阪、奈良から裁判所前に駆けつけて集会を行おうという呼びかけもなされているので、それもご紹介しておきます。
 
僕はトルコでこの報を受け取ることになりますが、この決定はトルコへの原発輸出の問題とも大きく絡んでいます。
 
安倍政権は、福島原発事故後、原発ゼロを訴える圧倒的な世論を前に、原発の延命をはかるためにいわば外堀を埋めるような形で原発輸出外交を繰り広げてきました。ただしこれは民主党政権のもとでもおこなわれてきたことで、安倍首相だけのパフォーマンスではありません。
 
もう少し大きな流れをみると、2000年代に入って以降、アメリカのブッシュ政権のもとで押し進められてきた原子力回帰政策と連動したものでした。
世界の原発は老朽化を深め、現在稼働年数が30年を超えたものがたくさん出てきており、2020年までに新たに200基は新設しなければ現状を保てず、原子力産業そのものが衰退に向かうと言われています。
この状況を打開すべき掲げられたのが新たな国々への原発輸出の流れであり、アメリカはそのイニシアチブをとることで原子力産業のリーディングカントリーの位置を再構築しようとしたのでした。
 
といってもスリーマイル島事故以降、まったく原発を新設できなかったアメリカはすでに製造ラインを失ってしまったので、日本等が下請けし世界各国に原発を売り回ることが模索されたのです。
かくして小泉政権のもとで原発の世界への売り込みが路線化されました。このとき自民党幹事長などをつとめて原発促進の旗を小泉元首相ともに振ったのが現在の安倍首相です。かくして2005年に「原始力政策大綱」が閣議決定され、2006年に原子力立国計画が出されました。

原子力政策大綱
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/taikou/kettei/siryo1.pdf

原子力立国計画
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/images/060901-keikaku.pdf

これは日本の中でも、高速増殖炉もんじゅのナトリウム漏れ大事故や、JCO臨界事故等で、ひん死の状態にあった原子力産業を救い出す位置性をもったものでした。あのとき明らかにこの国には原子力政策から離脱できる可能性が生まれていたのに、それを握りつぶしてアメリカの原子力回帰政策に従ったのが元小泉首相であり、安倍自民党幹事長だったのです。

それはアメリカのイラク戦争への全面支持以来のアメリカへの全面追従の流れの中で強められたものでもありましたが、一方ではある種の独自性を持ったものでもありました。この流れの中で日本の原子力産業は長年被ってきたアメリカの規制からも自由になり、国産原発による世界展開を夢見だしたのです。

経産省が総合エネルギー調査会の原子力部会(2007年9月)で配布した資料にその本音が現れています。

「日米間の原子力関係の歴史は、カーター政権以来、ともすれば米国が非核兵器国である日本の核燃料サイクルを押さえ込もうとする中、日本は原子力の平和利用の模範生としてこれを死守する関係。この間米国のサイクル技術や高速炉技術は停滞」

「日本の原子力技術は元々米国から受け入れた歴史があるが、米国では過去30年に亘って新規建設が滞る中、日本は逆風に耐えて着実に新規建設を実施。この間、米国の原子力産業界の力が弱まる一方、日本の原子力産業会は力を蓄積」

(引用は『日本はなぜ原発を輸出するのか』p92より。元資料からでなくこの書からの孫引きです)

安倍政権が固執しているのは、小泉政権以来の日本がアメリカの規制を離れて独自に原子力産業のリーディングカントリーに躍り出ようとする路線です。

アメリカ自身はどうかというと、その後、期待していた中国との原発建設での共同化が難航したこと等もあって、原子力回帰政策はまったくうまくいかずに次第に後退。電力自由化もこれに拍車をかけ、オバマ政権になって完全に過去のものになりつつあります。しかし戦後レジュームを超えると主張した第一次安倍内閣はこの路線を押し進めることに固執してきました。

 

そして今、安倍政権は、福島原発事故という大変な事態を経たのに、その反省などまったくせずに、アメリカの後退をも尻目に、日本を世界中に原発を売り込む国家へと変えようとしています。いやそれどころか、福島原発事故の教訓から得た安全性を世界に売って国際貢献するのだとすら豪語しています。あの悲惨な事故を宣伝トークに使いだしてすらいるのです。

しかし福島原発事故はまだ収束しておらず、技術的な教訓をひきだすどころかまだ原発の中の様子すら分かっていない状態なのです。これほど平気に嘘を言い続けられる人物が首相であることに私たちの最大の危機があるといえますが、ともあれ岸信介氏を美化する安倍首相は、原子力政策でアメリカをも凌駕する夢をいだいて、原発輸出に邁進しているわけです。

 

しかしその安倍首相の前に厳然として立ちはだかっているのが日本民衆の原発をなくせという声です。選挙等では安倍政権はこの声と正面からぶつからないように慎重な歩みを続けてきました。それであれほどの議席をとっていながら、原発の再稼働をこれまで押し進められなかったのです。そのためにも安倍首相は先に海外で原発を売りまくり、いわば外堀を埋めようとしてきました。

ところが原発を売り込む国が、国内ではひとつも原発を動かしていないのではまったく面子が立ちません。輸出で外堀を埋めようにも再稼働がなされなければ輸出そのものも進めることができない。そのジレンマもあって安倍政権は、民衆の反対の声を恐れつつ、川内原発や高浜原発の再稼働を進める側に舵を切ってきたのでした。それも「安全性」は原子力規制庁に押しつけ、「避難計画」は地元自治体に押し付ける形においてです。この責任の押し付けに規制庁が反発し「新規制基準に合格したからといって安全だとは言わない」との明言を繰り返していることをすでに何度も指摘してきました。

これらの流れから言えば、高浜原発の運転が禁止されることは原発輸出政策にも計り知れない打撃になるのです。何より重要なのは、昨年5月の大飯原発運転差し止め判決に続き、世界に日本の原発の危険性が司法判断として伝えられることになるからです。特にトルコとの関係で大きいのは、高浜原発の製造者がトルコに原発を作ろうとしている三菱重工であることです。本当にこの点は大きい。

以上からみなさん。14日の決定にぜひご注目ください。

 

僕のこちらでの講演は12日シノップ、13日サムソン、14日イスタンブールと行うので、どれも直前になります。ぎりぎり最終日に「運転差止決定」の朗報を知らせられると良いと思っていますが、ともあれこうした裁判が日本で行われていること、日本の内側から原子力政策を止めるための努力が重ねられ、これまで動かなかった司法をを揺り動かしていることをしっかりと伝えるつもりです。

長くなってしまうので記事を二つにわけ、(下)で弁護団からのプレスリリース、若狭の原発を考える会・高浜・大飯原発再稼動阻止ネットワークからの現地行動の提起、週刊朝日に掲載された解説をお伝えします。

福井地裁前集会に参加可能な方はぜひよろしくお願いします。僕もイスタンブールからトルコの方々とともに熱き思いで福井に思いを馳せます。

 

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明日に向けて(1067)トルコを再び訪問します!原発の危険性を訴えてきます!

2015年04月09日 03時00分00秒 | 明日に向けて(1001~1100)

守田です。(20150409 03:00)

みなさま。
本日9日より再びトルコを訪問してきます。原発の危険性を訴える旅です。今回で3度目の訪問です。
IS(イスラミック・ステート)問題などで中東情勢が不安定であり、なおかつ日本からトルコへの入国にピリピリしたものがあることも感じたので直前のお知らせとすることにしました。

今回は3つの都市で講演します。
12日に原発予定地のシノップで。13日にシノップから車で2時間ほどのやはり黒海沿岸の町、サムソンで。
そして14日にイスタンブールでお話します。

今回は原発事故や放射線被曝による健康被害がメインテーマです。
演題と発言者をご紹介しておきます。
恐縮ですが、英語情報のままに掲載します。

Chernobyl and human health  (Dr Larisa Danielova)
Fukushima and human health ,  findings (Free journalist,writer,activistToshiya Morita)
Low level radiactivation and limits of radiation (allowed  limit ) new research&studies: lessons from Chernobyl and Fukushima (Dr. Angelika  Claussen)
Health Effects of Chernobyl in East Blacksea Turkey(Prof.Kayihan Pala)
How to interprate environmental radiation map of TAEK  (Dr. Alper Öktem)
Moderation and Japanese &English translations to Turkish (Activist,  nuclear news editor at YesilGazete, Nukleersiz org Project Coordinator Pinar Demircan)

https://www.facebook.com/events/1571508009804967/

僕の与えられた演題は「福島と人々の健康と気づき」です。
福島原発事故で起こっている放射線被曝被害についてお話してきます。

今回もドイツから来られるアンゲリカ・クラウセンさん、アルパー・オクテムさん、プナール・デミルジャンさんと一緒です。
昨年3月のトルコ訪問、8月のトルコ訪問、10月ポーランド国際会議についで、4回目のチームとしての行動になります。
今回はベラルーシからの方、おそらくトルコの大学教授の方とも一緒になるので楽しみです。
なお京都からも国際関係に大変詳しい友人が同行します。

ともあれトルコと日本そして世界を、核のない世の中に向けた協働を媒介につなぎ続けたいと思っています。
そのために奮闘してきますので、どうかよろしくご支援ください。

なお今回も渡航費を自腹でもっています。
トルコ内の滞在費、移動費はすべてトルコの方たちにもっていただいています。
原発は日本から押し付けようとしているので、当然にも日本側でも経費を負担すべきだと思っています。
しかしさきにも述べたようにトルコ南部からシリア、イラクにかけての不安定さから今日までカンパなどを呼びかけるのを控えていました。

可能な方はどうかトルコ、日本、世界を結ぶ行動にカンパしていただければと思います。
振込先を記しておきますのでどうかよろしくお願いします。

ともあれみなさま。もうすぐ家を出て空港に向かいます。
行ってまいります!頑張ってきます!

*****

振込先 郵貯ぎんこう 
なまえ モリタトシヤ 
記号14490 番号22666151

他の金融機関からのお振り込みの場合は
店名 四四八(ヨンヨンハチ) 
店番448 預金種目 普通預金
口座番号 2266615

 

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明日に向けて(1066)福島第一原発2号機格納容器内の温度計が異常な上昇を表示!

2015年04月08日 10時00分00秒 | 明日に向けて(1001~1100)

守田です。(20150408 10:00)

みなさま。表題に示したように福島第一原発2号機格納容器の温度計が異常な上昇を表示しています。
以下をご覧下さい。

ふくいちプラントパラメータモニタ
http://fukuichi.mods.jp/?p=24&fname=p02.csv&cnt=60&update=%E6%9B%B4%E6%96%B0

マスコミでは毎日新聞が報じています。
短い記事なので全文を引用します。

***

 福島第1原発:2号機格納容器内の温度計が異常な上昇表示
 毎日新聞 2015年04月07日 21時57分
 http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20150408k0000m040117000c.html

 東京電力は7日、福島第1原発2号機格納容器内の温度計が異常値を示したことを明らかにした。
 3日午前5時に20.9度だった温度が同11時に70度に急上昇。
 5日午後5時には88.5度まで上昇したが、2号機の別の温度計は平常値を示しており、東電は「原子炉の制御に影響はない」として、原因を調べている。【鳥井真平】

***

何が起こっているのかまったくつかめません。しかし温度計が異常値を示している限りまずは異常が起こっていると考えて身構えるべきです。
とくに福島第一原発により近い方々は、気をつけて今後の推移を見守っていただきたいと思います。
何度もこういう注意を重ねて、もう本当にお疲れだと思いますが、原発はいつ何時、どこがどうなるか分からない状態です。
というよりすでに激しく壊れていて、しかもどうかどうなっているかはっきりとは分からない状態なのです。だから万が一に備えた被曝防護をそれぞれで考えられてください。

そもそも東電のこの発表の仕方には大きな危険性が孕まれています。記事もそれを無批判的に反映させてしまっています。
「上昇が表示された」という言い方は計器の故障も視野に入れた言い方です。実際、その可能性も十分にあり得ます。しかし一方で計器が危険値を表すと「故障」を疑うのは本来とても危険なことなのです。
異常値が出てたらまずそれを現実として対応を考え、その中で計器の故障が分かったら対応を解除すれば良いし、必ずその手順でことを進めるべきなのです。

そもそも東電は「2号機の別の温度計は平常値を示しており」だから「原子炉の制御に影響はない」と語ったとされていますが、どうしてこの別の温度計が故障している可能性を考えないのでしょうか。
現段階で推論しうるのは、どちらかの温度計が故障している可能性があるということです。しかし実際のところはまだ分かっていないのです。
だからこそこの段階では「原子炉の制御に影響がないかどうか分からない」し、何らかの異常が起こっている可能性をこそ考えなければならないのです。
にもかかわらず、「原子炉の制御に影響はない」と決めた上で、「原因を調べている」と述べています。もう計器が故障していると決めつけているのです。

東電のこの姿勢は災害時に人がかかりやすい「正常性バイアス」の典型例です。
「これ以上、事故が拡大して欲しくない。もう大変なことはごめんだ」「危機と発表して批判を受けたくない」という心象が、「起こっているのは計器の故障であって危機は到来していない」と初めから思い込んでしまうことを促進しています。
そしてとてもやっかいなのは、実際にこれまでも何回も計器の故障が繰り返されてもいることです。

だからこそ危険なのです。これではせっかく計器が異常を知らせてくれても、「あ、また故障だ」と考えて、事態を把握し損ねてしまう可能性が高いです。
今回とてもまだ何が起こっているか分からないのに「原子炉の制御に異常はない」と決めつけてしまっている。そこにこそ巨大な危機があります。
繰り返しますが、事態がはっきりするまで、危機の可能性を考えた対応をすべきです。だからみなさん。ぜひ身構えていてください。

正常性バイアスのことを論じている「災害心理学」では2003年に韓国の大邱であった地下鉄火災事件のことがよく引き合いに出されます。
放火によって駅に停車中の列車が燃え始めたのですが、このときに反対側の線路から近づいてきた乗客満載の車両を、駅の運転指令部が止めることなく構内に入れてしまったのです。
このためこの車両にも火災が移って大火災になり、結局200名近い方が亡くなってしまう大惨事になってしまいました。

実はこの時も、数日前に駅の火災報知器が誤報を発してしまっていました。そのため駅の運転指令部が、実際に火災が起こっているのに「誤報ではないか」と考えてしまったことが列車を入れてしまった要因の一つでした。
その意味で、計器が故障を繰り返す環境はそれ自身が大きな危険性を孕んでいるともいえます。
プラントそのものが大崩壊している福島第一原発の現場では、計器が故障を繰り返すことそのものはもはやむを得ないでしょうから、このような状態こそ、大災害を生みやすいことをしっかりと現場で意志一致し続けるべきです。

そして計器が異常を示した場合は、何度でも最悪の事態を想定して身構える必要があります。
もちろんそれは携わっている人々を疲弊させます。しかし疲弊の重なりから、「大丈夫だよ。またメータの故障だよ」と安易に判断するようになってしまうことが危機を形作ってしまうのです。
以上から、ぜひこの事態への備えを強めましょう。みんなの力でウォッチを続けましょう。 


 

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明日に向けて(1065)新規制基準の重大事故対策はあまりに非現実的でむしろ危険だ!

2015年04月06日 22時30分00秒 | 明日に向けて(1001~1100)

守田です。(20150406 22:30)

地方選挙たけなわです。僕も原発再稼働と集団的自衛権に基づく自衛隊の戦場派遣に反対する候補者を推しています。
とくに安倍政権は、この地方選が終わった後に、自衛隊の戦場派遣を進める法案を国会に出そうとしています。平和を守るため、原発ゼロを達成するため、ぜひ心ある候補者を勝たせましょう!

この間の連載で、高浜原発再稼働に向けて、原子力規制庁は新規制基準への合格内容を説明するために、3月3日から高浜町のケーブルテレビで流したビデオの批判を行ってきました。
今回はその続きとして「重大事故最終回をお届けします。全体で29分のビデオの17分10秒から24分40秒までの分です。

高浜発電所に関する原子力規制委員会の審査概要について
https://www.youtube.com/watch?v=azZk3mPHUrg

ここでは重大事故が起こった時の対応について書かれています。再三再四、指摘したようにこのように重大事故が起こった時を想定しているだけで、私たちは原発の再稼働を認めることはできません。
少なくとも、新規制基準が政府が言っているような「安全」を宣言したものではなく、設計段階での安全対策がすべて突破されたという意味での重大事故が起こりうることを想定したものであることをもっとはっきりと内外に示すべきです。
その上で、この国に住まう人々に、そんな危険までおかして、足りないわけでもない電気を作る必要があるのかどうかを問い、その上で合意ができたというのであれば、重大事故を想定した避難計画をしっかりと作るべきなのです。

実際には現時点でも再稼働反対の方が多数派なのですから、そこまで事実を明らかにすれば、それだけで再稼働への道は完全に閉ざされるに違いありません。
ぜひ多くのマスコミの方にもっとこの点をクローズアップした報道をして欲しいと思います。新規制基準は安全どころか重大事故の発生を認めるものであるという点をです。
その点を踏まえた上で、ではその重大事故対策はどうなのかと検討してみると、それ自身もかなり非現実的なものでしかないこと、そればかりかむしろ大きな危険性をはらむものである点を今回は明らかにしたいと思います。

ここで書かれているのは重大事故が発生し、従来の原子炉を「止める」核燃料を「冷やす」放射能を「閉じ込める」機能が壊れてしまったときの対策です。
まず「止める」対策では制御棒=原発のブレーキが入らない時を想定しています。その時に水の温度を強制的にあげて出力を下げることとホウ酸水を投入することが言われています。
しかしそもそももともとのブレーキ装置である制御棒が入らない何らかのトラブルが発生しているのです。それでどうしてこれら二つの対策がうまくいくと考えられるのでしょうか。これはもう希望的観測でしかありません。

「冷やす」対策でも海水ポンプが壊れたら、移動式の大容量ポンプで対応すると言っています。しかし福島ではこれはまったくうまく行かなかったのです。
いろいろな要因がありますが、実際の配管があまりに複雑になっており、しかも事故時でどこのバルブが正常でどこが壊れているかも分からない状態だったから実は水は原子炉に向かわずにほとんど違うところに行っていたのでした。
しかもほんの少しだけ注水されたためにかえって炉内に大量に水蒸気を発生させました。それが核燃料を被覆しているジルコニウムと化学反応を起こさせて激しく熱を出させました。
結局それが被覆に亀裂を生じさせて、冷却するどころか、かえって放射性物質の漏れ出しを促進してしまったのですが、その事実自身がなかなかわからなかった。水がほとんど入ってないことも数年経ってからやっと解析されたのでした。

さらに閉じ込める対策で極めて特徴的なのは「たとえば急激に原子炉の水が喪失し、水の補給が間に合わない場合、原子炉内の燃料が溶け」とメルトダウンそのものはもう起きても仕方がないという言い方になっています。
その上で、格納容器内に水をスプレーすることで、下部に水を溜め、圧力容器を突き破って落ちてくる核燃料を水で受け止めるとしています。これはおなじ加圧水型原発である川内原発でもとられている対策です。
しかし本当に水が溜まるのか。というのはもともと水を溜めるように設計したわけではないのでこういう「思いつき」には信頼性などないのです。水が溜まらなければ核燃料がコアコンクリート反応を起こし、激しく水蒸気を出しながらさらに潜ってしまう。
一方で水が溜まっているのなら、反対にかえって水と核燃料の接触で水蒸気爆発を起こす可能性ができてしまう。水をスプレーすることで危険性を増やしてしまうのです。そうならないというのは希望的観測でしかありません。

また水素対策も問題があります。沸騰水型とは違って加圧水型は内部に窒素が充填してないので水素濃度が高まると水素爆発を起こす可能性が沸騰水型よりもはるかに高いのですが、そのための水素を水に還元する装置を付けると言っています。
しかしこの装置は川内原発の場合だと1時間に処理できる水素量は1.2㎏に過ぎません。これに対して過酷事故では500キロから900キロもの水素が出てくる。このためにこんな装置をつけても焼け石に水にしかならない。
そのためもう一つ、イグナイタという水素燃焼装置がつけられています。水素濃度が上がる前に燃やしてしまおうと言うのです。

しかし他の装置が次々と壊れる過酷な状態にあるわけですから、この装置が正常作動しない場合も十分あり得る。水素が出始めたので作動しようとしたら動かない。
必死になって何度か作動を試みてやっと動くようになったときは水素が危険濃度を越えていて、作動したとたんに水蒸気爆発そのものが起こってしまう。そうなったらこの装置は自爆装置になってしまいます。
この場合、格納容器が内側から爆発を起こすのですから、考えられる最悪の被害が発生してしまいます。炉内の放射能のすべてが飛散してしまいかねないからです。閉じ込めるどころか内側から爆破で飛び散らせかねないのです。

このように結局、つけ刃的な重大事故=過酷事故対策は、まったく現実性がなく、むしろ水蒸気爆発や水素爆発の起爆装置になりかねないような新たな破局的危機を抱え込んだものでしかありません。
ブレーキが効かないときの応急対策といいつつ、むしろ絶望にむかってアクセルを強めかねないものでしかないのです。
繰り返し主張してきたように、過酷事故対策そのものが認められませんが、その中身を見ると重大事故時に、より破局を呼び寄せる可能性のあるものでしかなく、とうてい認められるものなどではないことをおさえておきたいと思います。

なお今回もポイントとなる視点は後藤政志さんより学びました。詳しくは以下をご覧下さい。
後藤政志(工学博士)川内原発が溶け落ちるとき~元・原子炉格納容器設計者が問う原発再稼働~
2015年1月31日 薩摩川内市まごころ文学館にて講演 1時間5分45秒から1時間23分40秒
https://www.youtube.com/watch?v=4QEwDJhrwFE&feature=youtu.be

これらを踏まえて、以下、関電の説明の文字起こしをお読み下さい。

*****

これまでは主に重大事故の発生を防ぐ審査について説明してきた。続いて重大事故の発生に備えて審査について発表する。

重大事故の発生をの防止を講じたとしてもそれでもなお重大事故は発生しうると考え、あらかじめ可能な限り対策をとり、万一発生した場合には事故の進展を食い止めるようにできるようにすることが大切だ。
その対策としては重大事故が発生してしまうような状態においても原子炉を確実に「止める」対策、核燃料が溶けることを防ぐために「冷やす」対策、または溶けた後においても「冷やす」対策。
放射性物質を格納容器内に「閉じ込める」対策というステップで考えていくことができる。
この「止める」「冷やす」「閉じ込める」というキーワードに基づいて説明したい。

「止める」対策について
原子炉に異常が起きたときには制御棒を入れて原子炉を止める必要がある。しかし制御棒が入らない場合は原子炉の出力を下げられず大きな事故につながる恐れがある。
これまでも制御棒の挿入については厳しく審査してきた。それでもなお新規制基準では制御棒が入らない、入れられない場合も想定して原子炉を止める対策を求めている。
例えば原子炉の水の温度を強制的にあげて出力をさげるという原子炉の性質を利用した対策や原子炉出力を下げる効果のあるホウ酸水を入れる対策を確認した。

「冷やす」対策について
新規制基準では既存の対策が機能しない場合でも炉心への注水と減圧を行うとともに、原子炉の熱の逃がし場を確保することにより原子炉内を冷やし、炉心を損傷させないことを求めている。
高浜発電所3号炉、4号炉では例えば余熱除去ポンプが壊れた場合に現場でも操作可能な弁をあけるとともに、追加した注水ポンプを活用して炉心への注水を行うことになっている。
海水ポンプが壊れた場合に、移動式の大容量ポンプを用いて海水を冷却器に送り込み最終的に炉内の熱を海に逃がす手段を確保している。
原子力規制委員会の審査ではこのように既存の対策が機能しなくても原子炉を冷やすことができるかどうかについて審査した。

「閉じ込める」対策について
こうした「止める」「冷やす」ための対策を講じていても、さらに燃料の損傷に至るような事態が避けられない場合を想定し放射性物質を閉じ込める対策を求めている。
たとえば急激に原子炉の水が喪失し、水の補給が間に合わない場合、原子炉内の燃料が溶け、原子炉容器の外に溶け落ちて、格納容器内の圧力と温度が上昇する。
また溶け落ちた燃料がコンクリートを損傷し、格納容器の閉じ込め機能が失われる可能性がある。

高浜発電所3号炉4号炉では、格納容器の上部から水を噴射したり、格納容器内を自然対流により冷却するための装置に海水を供給し、格納容器内の圧力と温度を下げることにしている。
格納容器のスプレーによる水は格納容器の下に溜まり、溶融した燃料を受け止め、冷やすことで、コンクリートの浸食を抑える効果もあるとしている。
さらに核燃料が溶けると水が反応して水素が発生する。一定の濃度を越えると格納容器内の酸素と反応して激しい水素爆発を起こす可能性がある。
高浜発電所3号炉4号炉では水素爆発を防ぐ対策として水素を強制的に燃焼させて減らす装置、電源がなくても水素と酸素を反応させて水に変える装置を設置している。
審査ではこのように格納容器の破損原因となる圧力と温度の上昇、コンクリートの浸食、さらには激しい水素爆発を防ぐ対策が講じられていることを確認してきた。

これまで主にハード面の対策を中心に説明してきた。
そうした対策を有効に機能するためには、それらを使うための人がいるか、体制ができているか、手順は整備されているか、実際に使うための訓練がされているか、いわゆるソフト面の対策が重要だ。
審査では重大事故の発生を想定した緊急時の体制や訓練として、注水活動、緊急時対策所での指示、情報把握の活動を確認していること。人員の招集や機材の運搬に必要なアクセルルートを確保することを確認している。

続く

 

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明日に向けて(1064)原子力規制庁・新規制基準の断層と地震動想定のあやまり(後藤政志さん談)

2015年03月30日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1001~1100)

守田です(20150330 23:30)

高浜原発再稼働に向けた原子力規制庁の高浜町民への説明に対する批判的検討の三回目です。今回は前回の内容の補足です。
前回は、規制庁による重大事故対策の中の大きな要である地震対策への批判的検討を行いましたが、今回はその際に参考にした元格納容器設計者の後藤政志さんの講演内容の文字起こしを掲載することにしました。
内容的に重複しますが、重要な点なので何度も押さえていただきたいと思うのです。

以下、文字起こしをお読み下さい。いつものように「守田がこう聴き取った」という内容であることにお踏まえください。

*****

後藤政志(工学博士)川内原発が溶け落ちるとき~元・原子炉格納容器設計者が問う原発再稼働~
2015年1月31日 薩摩川内市まごころ文学館にて講演 27分30秒から36分23秒まで
https://www.youtube.com/watch?v=4QEwDJhrwFE&feature=youtu.be


地震について1月半ばのNHKの番組で興味ある内容が出された。
地震には海洋の中でプレートが大きく動いて起こる地震とプレート内部に断層ができてそこで起こる地震とがある。
固い断層の上に柔らかい断層が乗っていて、固い地層が動くと上の柔らかい地層動いて、地表に断層が見えるようになる。これで長さなどを測定して計算して活断層に対する予測を立てている。

ところが今回、テレビでやっていたのは、固い地層は動くが上の柔らかい地層は動かず、地表に断層が見えない場合だった。こうしたことがあること自身は前から知っていた。
私が驚愕したのは、最近の例を見ると半分以上が見えない側だと言われていることだ。分かっているのは見える側だけで3割くらい。
一生懸命に活断層かどうかと話をしているが、そもそも活断層は本当に把握できるのか。そう思ってやることは非常に危ない。

逆だ。見えない場合はどうなるのかということを中に組み込まなくてはいけない。
今の原子力規制の問題点はここに活断層があると判断する。二本離れたところにあったら別々の活断層が判断している。今はそんなことは言いきれない。繋げて考えなさいと変わった。
そもそも活断層が見えないときにどうするかという問題がある。

原子力の方ではこういう活断層の下に評価すると同時に、震源がどこか分からないこともあるので、一応、活断層のないところも検討すると言っている。
ただしその地震の大きさがマグニチュード6.5とか小さなものを想定している。もっと大きなものを想定していない。
石橋克彦さんが主張していることだがこれでは評価が甘い。7.2とか7.3レベルをあらかじめ考えておくべきだ。それ以外に方法がない。

2007年の中越沖地震による柏崎刈羽原発の揺れを参考にしたい。この原発の設計基準地震動は450ガルだった。
980ガルが1G、重力加速度だ。450ガルは自分の体重の半分の力で横に揺らされる。60キロの体重の人なら30キロの力で揺すられる。これで原発を設計していますということだ。
ところが実際にあったのは1699ガル、約4倍だった。設計する側から言えば、壊れて当たり前だ。壊れなかったらまあ運のいいことという値で、柏崎ではのきなみ壊れた。

ただし原子炉や大きな配管などのメインの部分は壊れなかった。それで東電は地震に対して丈夫だとうそぶいた。とんでもない。
地震は値だけでなく、揺れに違いがある。大きく揺れる場合も小刻みに揺れる場合もある。揺れの周波数が同じものは共振して揺れが大きくなるので、一回の地震で大丈夫だなどというのはまったく非科学的だ。

同時に問題なのはなんで4倍も揺れたのかだ。地震発生源から地表に来るまでに減衰して450ガルになると考えて設計していた。
ところが4倍になった。なぜかと東電が調べたら、まず地層のところで揺れは1.5倍に評価すべきだったことが分かった。同時にいろいろな層を伝わっていくときに倍化されていって地上では4倍になったと言う。
あとだしじゃんけんもいいところだ。最初は450ガルといって作った。実際にはもっと揺れたので後になって4倍にもなった理屈を作っただけだ。そういうもので原発はできている。

今は一応、地殻の三次元構造を調べろとなっている。しかし信頼性は極めて低いと考えている。いくらでも計算なんかできる。4倍になる計算は無限に作れる。
しかし地層を調べたからと言って、そんなに簡単に予測が当たるとは思わない。実際には相当なずれがある。
こういう不確かなものをもって断層があるとかないとか、揺れの力がどうかと、こういうことを全体像で見たときに、現在の設計基準地震動があてにならないことは、この議論だけでもそう思う。

もっと地震学者はいろいろなことを言っている。
そうするとそもそも設計をするための条件が整っていない。想定された値を越えないという保証はない。津波も同じだ。

続く


 

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明日に向けて(1063)福島の教訓に基づく重大事故対策などまだできるわけがない!

2015年03月29日 19時00分00秒 | 明日に向けて(1001~1100)

守田です。(20150329 19:00)

高浜原発再稼働に向けて、原子力規制庁は新規制基準への合格内容を説明するために、3月3日から高浜町のケーブルテレビでビデオを流し出しました。
この内容の文字起こしを含んだ批判的検討を前回に続いてお届けします。全体で29分のビデオの8分55秒から17分10秒までの分です。
当該ビデオを掲載している原子力規制委員会のHPも紹介しておきます。

高浜発電所に関する原子力規制委員会の審査概要について
https://www.youtube.com/watch?v=azZk3mPHUrg

原子力規制委員会
http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/tekigousei/shinsa_setsumei.html

ここで原子力規制委は、関電の対策への審査ポイントを説明しています。福島第一原発事故の教訓に基づき、前半で重大事故防止策について、後半で重大事故が防止できなかった場合の対策についてとなっています。
前回も述べたように、重大事故を防止できなかった時の対策を云々する時点で、つまり重大事故発生が完全には防げないと認めている時点で、再稼働はまったく認められませんが、今回は重大事故対策そのものも信用性が低いことを指摘します。
一番のポイントは、元原子炉設計者の後藤政志さんなどが繰り返し指摘しているように、規制委が「福島第一原発事故の教訓」などと言っても、そもそも事故そのものがまだ解明されていないことです。放射線値が高すぎて全く内部がみれないからです。

それどころか事故は継続中です。汚染水の発生から明らかなように格納容器のどこかが壊れているのは確実ですが、肝心のどこかが分かっていない。事故がどのように進展してどこが壊れたのかも分からないのです。それでなぜ対策ができるのでしょうか。
原子力規制委員会が打ち出した新審査基準は、今、分かっている事象だけへの対策を考えることであり、事故の全体への対策になっていないのです。後藤さんはこれを「事故のつまみ食い」と指摘しています。
福島第一原発事故の教訓を踏まえるというのなら、当たり前のことですが事故のすべてが分かってからでなくてはなりません。それでなければ対策をしたなどとはとても言えません。何せ対策を施すべき対象が分かっていないのだからです。

その上で最も大きなポイントである地震対策への批判も行っておきたいと思います。
ここで規制委は、断層について述べていますが、しかし最近、断層について分かってきた知見として、地層は固いものの上に柔らかいものが乗って構成されているのだけれども、下層と上層が必ずしも同時に動いてはいないと言う事実があります。
重要なのは上層の柔らかい層が動かなかった場合はその下で起こっている地震の揺れを断層として把握できないことで、実際には7割ぐらいがこのような構造になっているということです。要するに現代科学はまだ断層を完全に把握できていないのです。

同時に規制委は、高浜原発の設計基準地震動を550ガルから700ガルに引き上げたと言っています。しかしそもそも地震の揺れの大きさはこのように簡単に解析できるのか。
この点で重要なのは8年近く止まっている柏崎・刈羽原発を襲った2007年中越沖地震の地震動です。この原発の設計基準地震動は450ガルでした。しかし実際には1699ガルの地震動がここを襲ったのでした。4倍もの揺れでした。
その後、東電は地層の解析を行ってなぜ予想の4倍になったのかを説明していますが、実は後になって4倍になった理屈など幾らでも作ることはできます。

重要なのは450ガルと解析したものが1699ガルと4倍もずれていたということで、むしろそこでは現代科学ではまだ地震動の揺れを正確に捉えることができないことの方がクローズアップされたのでした。
にもかかわらずこの重大問題に目を伏せたまま、規制委は今回も550ガルから700ガルに上げたから重大事故対策になっていると語っています。しかし実際に起こりうる地震が700ガル以内であるという科学的保証などないのです。
ここから明らかなことは、断層の把握の面から言っても、地震動の把握の面から言っても、原発を設計するだけの条件が整っていないことです。したがって今回の対策が重大事故を引き起こしうる地震への備えになっているとはとても言えません。

なお今回の地震対策に関する検討は後藤政志さんの以下の講演に学んで作成しました。ぜひこちらもご覧下さい。

後藤政志(工学博士)川内原発が溶け落ちるとき-元・原子炉格納容器設計者が問う原発再稼働
2015年1月31日 薩摩川内市まごころ文学館にて講演 該当内容は27分30秒から36分23秒まで
https://www.youtube.com/watch?v=4QEwDJhrwFE&feature=youtu.be

以下、原子力規制委の説明部分の文字起こしを掲載します。

*****

新基準規制にのっとって関電がこうじるとした重大事故を防止する対策に対し、原子力規制委の審査のポイントを説明する。

【地震への対策について】
地震への対策において重要なのは想定する最大の揺れを評価すること。その上で発電所の重要な施設はその揺れに耐えなければならない。
発電所を設計するために設定する地震の揺れの大きさを基準地震動という。この設定が適切に行われたかどうか審査した。
例えば地震を起こす可能性のある敷地周辺の断層の評価で、関電は当初若狭湾にあるFO-A断層とFO-B断層が連動して活動すると評価していた。
しかし審査の結果、内陸側にある隈川断層の連動も考慮する必要があるという結論に達し、3つの断層が連動して活動するものと評価することにになった。
その他、地震動の大きさを決める上で重要な地震発生層の範囲などについても見直しが行われた。その結果、基準地震動は申請当初の最大加速度550ガルから700ガルに引き上げられた。

【津波への対策について】
原子力発電所の津波対策は福島第一原発事故の大きな教訓だ。
地震対策と同様に想定する最大の津波である「基準津波」を設定した上で、津波が到来しても原子炉の冷却機能など重要な機能を損なわないように防護する必要がある。
基準津波の審査では、海底の断層で発生する津波の想定を見直し、地すべりとの組み合わせを考量することを求めた
その結果、津波の高さが放水路の奥で最高6.7メートルとなり、対策を講じなければ原子炉建屋など重要な施設のある3.5メートルの敷地に津波が到達する可能性のあることがわかった。
そのため放水口側に高さ8メートルの防潮堤、水路の途中に高さ8.5メートルのゲートを設定するなど津波侵入を防ぐ対策を講じることになった。
審査ではゲートの閉め方を多重化し、津波が到来した時に確実に閉められるようにする方針についても確認を行った。

新基準では地震、津波以外にもさまざまな自然現象や人為事象を想定するとともに、これらの組み合わせを想定することも求めている。

【新たに追加された竜巻への対策について】
審査では秒速100メートルの竜巻に対して車両が飛ばされないようにする対策や、竜巻によって飛んでくるものから守るための対策を確認した。
海水ポンプ室を竜巻によって飛んでくるものから守るための設備を設置。
設備面の対応だけでなく、竜巻対策のための設備の操作手順、教育・訓練の定期的な実施、運用面の対応方針についても確認した。

【あらたに追加された森林火災対策について】
審査では施設外の火災の熱による壁や天井の表面温度を押さえることや有毒ガスが運転員の作業空間へ影響を及ぼさないようになっていることを確認した。
森林火災対策として森林伐採により18メートル以上の防火帯を設定し、施設を森林火災から守るようにしている。
防火帯の維持、管理、初期消火活動のための手順、教育・訓練の定期的な実施。このような運用の方針についても確認した。

【新たに追加された内部溢水対策について】
施設の内部には原子炉や設備を冷やすために多くの水がタンクや配管にある。これらの水が例えば地震の影響によってあふれ出し設備が浸かったり故障することが考えられる。
審査ではまず水に浸からないようにする。また水に浸かったとしても故障しないことを確認した。
水や蒸気がかからないようにする。水や蒸気がかかっても故障しないことを確認した。
水に浸からないようにする堰や水がかからないようにする保護カバーなどを設置した。
設備面の対応だけでなく、保護カバーの保守管理、水密ドアを閉じる手順、教育・訓練の定期的な実施など運用面の方針についても確認した。

【電源の確保について】
福島第一原発事故の大きな原因は地震と津波により電源のすべてを失ったことにあった。このため新規制基準では電源設備について厳しい要求を課している。
常設の非常用電源を含めたすべての電源が喪失した場合、つまり全交流電源喪失の場合の対策として、すべての電源を喪失しても原子炉の冷却に必要な電源を確保することを求めている。
審査ではその対策として例えば空冷式非常用発電装置や電源車を設置し、原子炉にタンクから水を注水するためのポンプの電源も確保するものとなっていることを確認した。
外部からの支援を受けられないときに備えて、発電所内に7日分の電源用燃料を確保することを確認した。

続く

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明日に向けて(1062)原発再稼働に向けた新規制基準は大事故を前提にしている!

2015年03月28日 18時00分00秒 | 明日に向けて(1001~1100)

守田です(20150328 18:00)

高浜原発再稼働に向けて、原子力規制庁は新規制基準への合格内容を説明するために、3月3日から高浜町のケーブルテレビでビデオを流し出しました。
以下から内容を見ることができます。なお原子力規制庁のHPにもこの動画がアップされています。

高浜発電所に関する原子力規制委員会の審査概要について
https://www.youtube.com/watch?v=azZk3mPHUrg

非常に重要な内容なので文字起こししました。長いので何回かに分けます。
今回は、冒頭の福島第一原発事故の教訓と、新しい規制基準のポイントを説明したところだけをご紹介しますが、重大な内容がさらりと語られています。
端的に新しい規制基準では重大事故が防げないことを前提にしているということです。

すでに多くの方がこの点に対する批判を行っていますが、僕はもっとこの点をハイライトすべきだと思います。
福島第一原発の教訓を踏まえて、重大事故を絶対に起こさないようにする・・・とは言ってないのです。
起こさないように努力するが、それでも重大事故は発生しうる前提に転換したのです。大事故がありうることが前提に再稼働を認めると言っているのです。

事実、規制委員会は繰り返し、「新規制基準に通ったからと言ってその原発が安全だとは言わない」と述べています。
重大事故は起こり得るので対策した。安全ではないが、精一杯の対応は考えたと言っているのです。この点をもっともっと多くの人々に伝えるべきです。

このビデオはその点が短く説明されているので分かりやすいです。
ぜひこのビデオをご覧になり、原子力規制庁が新基準規制に通った原発でも「重大事故は発生しうる」と述べていることをつかんでください。
これは事実上、重大事故の発生を完全に防ぐことはできないことを公言していることに他なりません。そんなプラントの運転など社会的に認めてよいわけがありません。

以下、ポイントを文字起こししました。ご覧下さい。

*****

高浜原発3号炉、4号炉設置変更に関する審査結果についての説明
原子力規制庁 山形浩史 原子力規制部安全規制管理官(PWR担当)

高浜原発の審査内容の前に、福島第一原発事故の教訓と、新規制基準のポイントを説明したい。

【福島第一原発事故の教訓について】

福島第一原発事故では地震と津波により発電所の全ての電源が奪われ、原子炉を冷却できなくなった。
地震、津波などによって安全機能の複数、非常用発電機、蓄電池、電源盤などがダメになった。このような複数の喪失を起こさないようにすることが第一の教訓だ。

また福島第一原発事故では事故の進展を途中で止められなかった。
最終的に建屋の水素爆発を起こした。放射性物質を閉じ込める格納容疑が壊れ、放射性物質が発電所の敷地外まで大量に放出された。
これに対して当時の規制基準では、格燃料が溶けてしまったり、放射性物質が大量に外に漏れるような重大事故を発生させないことを重視し、重大事故の起きた後の対応が十分にできていなかった。
このため重大事故が発生しうると考え、あらかじめ可能な限り対策をとっておくべきというのが第二の教訓だ。

【規制基準の変更について】
1、旧規制基準のポイント
想定しなければならない自然現象の種類が限定的だった。
例えば地震についてはさまざまな想定していたが、津波についての基準はほとんどなかった。
規制の考え方として、そうした自然現象は想定の範囲を超えることはほとんどないという考え方に立っていた。

安全確保のために設備を多重化すること、例えば注水ポンプを2台にと求めていた。ところが2台が同時に壊れることは考えていなかった。
基準を満たせば核燃料が溶けたり、放射性物質が外部に大量に放出する可能性のあるような重大事故につながることがないよう対策を問題なく行うことができると判断していた。
つまり基準を満たせば大きな事故はおきない。しかも対策の中身は設備面での対策を重視していたということになる。

2、新規制基準のポイント
平成25年7月に新しく作られた規制基準は、こうした反省、教訓をしっかりと踏まえ、考え方を大きく転換している。
一つ目の見直しは自然現象など重大事故の原因になりうる事象の想定を厳格にしたことだ。
例えば施設の設計にあたって想定する地震や津波を厳しくするとともに、竜巻などの自然現象への対策、や森林火災、内部溢水などの対策を新設したり強化した。
発電所内の電源が使えなくなった時のために、発電所内の非常用電源を手厚くするなど電源確保の要求も厳しくした。

その上で対策はしっかりしているから事故は起こらないという従来の考え方を大きく転換。
それでもなお事故が発生しうるという発想にたち、万が一、重大事故が発生したときに備えた対策をあらたに求めることにした。
原子炉を止めたり、冷やしたりすることがうまくいかなかった場合でも、原子炉が壊れないように事故を食い止めるための設備や手順、体制の整備。
さらに原子炉が壊れないための対策も失敗し、原子炉が溶けて核燃料が溶けてしまっても、外側の格納容器が壊れないようにするための対策を新たに求めている。

続く

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明日に向けて(1061)ロシア・プーチン大統領の核使用発言を許せない!

2015年03月27日 23時00分00秒 | 明日に向けて(1001~1100)

守田です。(20150327 23:00)

少し前のことになってしまいましたが、ロシアのプーチン大統領が3月15日に、クリミア危機をめぐって核兵器の使用を考えていたと発言しました。まったく許しがたいことです。
僕が参加している「京都被爆2世3世の会」はすぐに抗議声明を作成し、19日付で在日ロシア大使館に送信しました。
抗議するのはあまりに当たり前です。プーチン大統領の発言は、核のない世の中を目指して奮闘してきたすべての世界の人々の思いを踏みにじろうとするようなものだからです。冷戦時代の野蛮差の中に、世界を連れ戻そうとするものだからです。

ぜひとも世界にこのことを発信したくて、その後に英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語に抗議文を翻訳しました(多くの方の協力を得ています)。もっとたくさんの言語への翻訳を準備中です。
またこれを契機に、「京都被爆2世3世の会」のFacebookページも立ち上げました。もっとヒンバクシャの声を、現代世界にひろく伝えなければと考えてのことです。以下をご覧下さい。
https://www.facebook.com/pages/%E4%BA%AC%E9%83%BD%E8%A2%AB%E7%88%862%E4%B8%963%E4%B8%96%E3%81%AE%E4%BC%9A/1623283584568176?ref=hl

以下、日本語の声明を貼り付け、参考のために英語訳を貼り付けます。そののちに朝日新聞の報道記事を貼り付けます。
この声明に共感していただけたら、ぜひFacebookページもご覧下さり、それぞれの言語圏のお知り合いの方に流してください。世界に核兵器反対の声を響きわたらせたいです!
またより多くの言語への翻訳を進めたいので、「この言語なら協力できる」という方はご一報ください。現在、ロシア語、韓国・朝鮮語について進めています。ポーランド語、アラビア語について依頼を出しています。

*****

2015年3月19日

ロシア連邦大統領
ウラジミール・プーチン 殿

京都原水爆被災者懇談会  
京都「被爆2世・3世の会」

プーチン大統領の核兵器使用の言動に
満身の怒りを込めて抗議します!

3月15日、プーチン大統領は、1年前のクリミヤ半島併合の際、核兵器使用の検討をしていたことを公言されました。
私たちは核兵器使用が実際に検討されていた事実と、そのことを何の躊躇もためらいもなく公言された態度に強い衝撃を受けました。
70年前の8月、広島・長崎の被爆者は、底知れぬ恐怖と、地獄の苦しみと、深い悲しみを体験し、心底からの怒りを発しました。
被爆者を三度作り出してはならないと、市民による核兵器の禁止と廃絶を求める運動は生まれ、今や世界中の人々が共通して願う大きなうねりとなっています。
プーチン大統領の言動はこの核兵器廃絶を願う世界の世論と運動へのあからさまな挑戦です。
何の罪もない、防御もない大量の市民を一瞬にして虐殺する核兵器使用に罪の意識はないのでしょうか。核兵器使用が何世代にも渡って人類を傷つける残酷さに思いを致すことはないのでしょうか。
私たちは、今現在も核兵器使用の可能性が具体的に存在していた事実に言いようのない危機感を持ちます。そのことを公言してはばからない前時代的態度に強い憤りを覚えます。
私たちはプーチン大統領の言動に満身の怒りを込めて抗議します。核兵器の使用などについて考えるのではなく、全世界の人々の願いに応え、核兵器廃絶に向けた道に進むよう強く求めます。

*****

March 19, 2015
Dear President Vladimir Putin,

Kyoto Society of Atomic and Hydrogen Bomb Victims 
Kyoto Association of 2nd & 3rd Generation Hibakusha (Atomic Bomb Survivors)

We Adamantly Protest Against President Putin’s Speech and Actions
Concerning the Use of Nuclear Weapons

On March 15, President Putin made a public announcement stating that one year ago, during the Russian annexation of Crimea, he was considering using nuclear weapons. We were deeply shocked, not only by the fact that the use of

nuclear weapons were actually considered, but by the nonchalant and unhesitating manner with which he announced such a possibility.        
70 years ago in August, the hibakusha (victims of the atom bomb) in Hiroshima and Nagasaki endured unimaginable horror, infernal suffering, and deep sorrow, for which they have publically expressed their anger, welling up from the

bottom of their hearts. Determined never to allow such an experience to be repeated a third time, the citizen’s movement seeking to ban and eliminate nuclear weapons was born, making way for what has become a widely shared desire

felt around the world today. President Putin’s speech and behavior is a blatant challenge toward such a movement and people hoping for the abolishment of nuclear weapons.    
Is there no sense of sin in using nuclear weapons that can slaughter in an instant a large population of defenseless innocent people? Is there not even the slightest concern about the cruelty of harming humanity for generations

through the use of nuclear weapons?
We have an ineffable sense of crisis, learning that there was a specific situation in which the use of a nuclear weapon was actually considered. We are enraged by the anachronistic attitude by which such possibilities are so

shamelessly expressed. We adamantly protest against President Putin’s speech and actions. We strongly urge the president to stop considering the use of nuclear weapons, but instead answer the pleas of the world’s population, and

take the path to abolish the weapons once and for all.

*****

プーチン氏、核兵器準備も検討 クリミア併合の過程で
朝日新聞 モスクワ=駒木明義 2015年3月16日11時14分
http://digital.asahi.com/articles/ASH3J1QTZH3JUHBI001.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH3J1QTZH3JUHBI001

ロシアのプーチン大統領は15日夜に放映されたテレビ番組で、昨年3月にウクライナからクリミア半島を併合する過程で、欧米からの妨害を念頭に、核兵器使用に向けた準備を進めることを検討していたことを明らかにした。
ロシア国営テレビのドキュメンタリー番組「クリミア、祖国への道」のインタビューの中で発言した。

プーチン氏は、クリミア情勢がロシアにとって思わしくない方向に向かったときにロシア軍の核戦力を臨戦態勢に置く可能性があったかを聞かれて「我々はそうする用意ができていた」と答えた。
その上でプーチン氏は「世界的な紛争を引き起こしたい者がいるとは考えていなかった」と付け加え、実際に臨戦態勢をとる必要はないと予測していたことも強調した。核兵器を具体的にどう使うことを想定していたかは説明しなかった。

ロシアによるクリミア併合宣言から18日で1年というタイミングでプーチン氏があえて核兵器に言及したのは、クリミアはすでにロシアの核兵器で守られる領土の一部となっており、手放すことはあり得ないとウクライナや欧米を牽制(けんせい)する狙いからとみられる。

ロシア外務省で核問題を担当する局長が11日に、クリミア半島にロシア軍が核兵器を配備する権利があると述べたのも、プーチン氏と軌を一にした発言だ。
テレビ番組「クリミア、祖国への道」は、住民の「ロシアに戻りたい」という自由な意思表示をロシアが助けたという、政府の公式見解を強調する内容となっている。プーチン氏のインタビューがいつ収録されたかは不明。(モスクワ=駒木明義)

 

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明日に向けて(1060)あまりに杜撰な川内原発工事認可申請(後藤政志さん談)

2015年03月24日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1001~1100)

守田です(20150324 23:30)

3月18日、原子力規制委員会は、九州電力川内原発1号機の再稼働に必要な「工事計画」を認可しました。これを受けて九州電力は1号機の設備の使用前検査を規制委に申請。
30日から規制委員会によって再稼働の前に必要な設備の検査が始まることとなりました。九電はこのもとで7月にも川内原発1号機を再起動させ、8月に営業運転を再開しようとしています。

これを食い止めるために私たちはできるだけのことをしていく必要がありますが、その一つとして、この市民には分かりにくい「工事計画」の中身について知っておく必要があります。
情報を探したところ、元原子炉設計者の後藤政志さんが解説をしてくださっていることを知りましたが、それを聴いて、そもそものこの「工事計画」があまりに杜撰な形で提出されていること、点検などしようがないことが分かりました。
なぜか。答えは単純で、主要部分が白抜きで、隠して発表されているからです。唖然としました。

この内容をつかむために、後藤さんの解説をノートテークしたのでぜひご覧になって欲しいと思います。
こうした内容を私たち市民サイドがきちんと把握する努力を続けることが、作業の曖昧さに少しでもくぎを刺すことになり、安易な再稼働を阻んでいくことにつながります。
ぜひ後藤さんの説明に耳を傾けてください。時間のない方は、文字起こしをお読み下さい!

なお文字起こしは主要部分を要約して行っています。そのためあくまで文責は守田にあります。
守田がこう聴き取ったという内容であることに留意をしてください。正確さを期したい方はぜひ後藤さんのお話を直にお聞きいただければと思います。

*****

後藤政志『川内原発工事認可審査について』
2014年11月24日
https://www.youtube.com/watch?v=QcOy_-jcJbM

川内原発は新規制基準に一番最初に通った。現在、工事認可審査を行っている。
主として問題となるのは、そもそもどういう基準で満足するかという根幹だ。ところがそれをすっとばしてしまって工事認可を行っている。

例えば地震動について設定するのが立地段階、最初の話だ。こういう地震動で計算すればいいと決めたらそれを具体的にやってみて、耐震設定上、持つか持たないかというのが工事認可になる。
技術屋の方でいうと、いわゆる設計の計算、強度計算など、そういうものが含まれている。
量的に言うと、立地段階の初期の計画段階の話と後者の工事認可、これに保安規定も入るが、これは膨大な量がある。
それを審査をしているわけだが、その過程をみているとものすごい量のものを短期間にやっている。かなり無理をしながらやっている。

今回、川内原発の件で鹿児島まで行ったのは、現地で川内原発に対してGOをかけるという話があったので、技術的な側面からそれは違うのではないかという意見を表明するためだった。
原子力市民委員会の立場で行って、4名でいって記者会見をした。
私の方からはとくに原発の安全性の根幹の問題を指摘した。

工事認可の内容は耐震が主になっている。従来のものはあまり変わってなくて、地震動を変えたからそこだけを修正するとなっている。あとは過酷事故関係となっている。
私が一番言いたかったのは、入り口で見てびっくりしたことだ。膨大な、全部で万のページになるものだが、そのうちの数千ページをみた。
プラントの配置関係を全部伏せて白抜きになっている。どこに何があるか分からない状態になっている。
耐震強度を計算する時に耐震の解析モデルがあるが、それの高さ方向の値がすべて白抜きになっている。

もっとすごいのは強度計算について、例えばあるものに力がかかって、それで計算をして発生する応力、計算上出てくる力に材料が耐えられるかなどをチェックする。
ところがその途中部分も白抜きになっている。大量にそれがなっている。
ひどいものになると何の計算書か分からない。その中で構造についても伏せているものもある。

以前から工事認可で伏字はあったが、こんなにひどいものは初めてみた。論外だ。はっきりいって読む気がしなくなった。ばからしくて。
その時に特に感じたのは、これを規制委員会はどう考えているのかだ。

規制委員会の立場では、一つはテロ被害などに対してセキュリティの面で伏せるということだろう。
もう一つに企業秘密である場合もある。

しかしどう考えても大半はセキュリティに関係ない。
企業秘密といったときに、例えば水素を処理する装置がある。この性能や構造が企業秘密だからださないとなっている。
しかしこの装置は万が一炉心が溶融するような事故になると水素が大量に出る。それをどうやって処理するのか。
私は処理できるというのが怪しいと思っているが、そういうものの性能を伏せるというのは理解できない。

安全を担保する部分が伏せられているのは、説明を放棄していることだ。しかも説明されても疑わしいところがいっぱいあるのが原発なのだ。
これが福島の事故でもはっきりわかったことだ。

耐震の話にいくと、昔は地震動はせいぜい200ガルとかせいぜい200と数10ガルだった。
それが400とか500ガルとかになった。大きな地震があったので活断層など見直したら大きくなった。
それを今回さらに見直したら620ガルぐらいになった。

これを強度計算で示すが、技術的に難しいのは地震には揺れの違いがある。ゆっくりか早いか。周期がある。
構造物の方は固有周期があり、揺れやすい周期がある。配管が細かくサポートされていると細かく揺れる。広いとゆっくり揺れるが揺れが大きくなる。
地震動が来て、ものの周期と一致すると共振状態になって非常に大きな揺れになる。

強度計算で大事なのはこの共振状態。共振になった時にどうするか。
材料の中には、構造も含めて、減衰除数というのがある。振動を弱める特性で、それをどう位置づけるかによって振動が大きくもなるし小さくもなる。そのデータの作り方の問題がある。

また非常に長周期の地震が来た時に大丈夫か。これは高層ビルなどでも問題になっている。
普通の構造物は1秒かそれ以下の細かい揺れになるが、高層ビルでは5、6秒とか長いものがある。
原発の中でも一部そういうところがある。ここには長周期が関係してくる。

川内原発についての耐震設計について私の提案は、地震動設定を変更したのなら、変更の前後の全データを示すべきだということだ。
地震動を変える前はこういう応力でこうだった。変えたらこうなった。それで許容値を全部並べる。
それでその計算の内容について、過去とやり方を変えたらその根拠を示すこと。当然だが、それを全部分かる形で一覧にして示すべきだ。

膨大な計算書の中を読めというのは無理がある。
耐震上、問題になり議論になるところはきちんと抽出し、見える形にして説明すべきだ。最低限、それぐらいのことをするべきだ。

高浜原発でもパブリックコメントを求めると言っているが今のようなやり方ではまったく意味がない。
むしろあれでは人に説明して分かってもらおうと言う姿勢にまったくなっていない。大変、失礼だ。これでは信頼関係はまったく失われてしまう。

そもそも福島原発事故で電力会社や原子力保安院への信頼は地に落ちた。それではまずいということで規制委員会をつくってやっているはずだ。
それなら私たちに納得いくような説明をするのが最低限必要だ。耐震設定における結果を分かりやすく表明することを最低限やるべきだ。
技術的な話はこういうものが示されて以降の話だ。

 終わり

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