守田です。(20110521 11:00)
原発のウォッチに戻ります。
非常に重要なニュースが毎日新聞に掲載されました。
「東京電力福島第1原発の事故後、福島県外で働く同県出身の原発作業員から、
通常ならめったにない内部被ばくが見つかるケースが相次いでいる。大半は事故
後に福島県に立ち寄っており、水素爆発で飛散した放射性物質を吸い込むなど
したとみられる。周辺住民も同様に内部被ばくした可能性もあり、福島県内の
一部自治体は独自に検査を検討している。」
というものです。
これらの方々は、福島第一原発近くに自宅があり、事故後に避難などで自宅に
戻ったことがあったり、福島第一、第二原発から他の原発に移った人とみられて
います。
ここから重要なことが二つ指摘できます。
一つに、事故当初、水素爆発によって飛散した大量の放射性物質により
非常に多くの内部被ばくが発生しているという事実です。
つまりこれは原発内の労働で起こったというより、事故による放射能漏れを
原因とするものであり、たまたまこれらの人々が、その後に他の原発で
働いて、ホールボティーカウンターでの計測を受けれたことから表面化
してきたものだということです。
しかも記事は次のようにも述べています。
「3月11日以降、福島第1原発を除いた全国の原子力施設で、作業員から
内部被ばくが見つかったケースが4956件あり、うち4766件はその作業員
が事故発生後に福島県内に立ち寄っていた。」
その中には、「3月13日に福島県川内村の自宅に戻り、数時間滞在して
家族と共に郡山市に1泊して県外に出た」方も含まれている。
わずか数時間の立ち寄りで被ばくした可能性が高いのです。
となるとすれば、その間、原発の近くにいた住民の方々の間で、内部被ばくが、
かなり広範に起こっている可能性があります。この調査が速やかに行われる
必要があります。
すでに放射性物質による汚染が、各地の牧草やお茶、汚泥などから見つかって
いて、放射能が私たちの身の回りから現れてきていることを、これまで
取りあげてきましたが、とうとう、人体への被害の一端が浮上してきてわけで、
とても胸が痛みます。
さらに二つ目に大事なこととして、記事からは、福島第一原発の収束作業の
現場でも、かなり深刻な内部被ばくが起こっていることがうかがわれます。
記事には次のように書かれています。
「福島第1原発で作業拠点となっている免震重要棟は、3月に起きた1、3号機の
水素爆発で扉がゆがみ、放射性物質が一時入り込みやすくなっていたという。
40代の作業員男性は「そこで食事しているから(放射性物質は)体に入っている
でしょう」とあきらめ顔だ」。
この時期には多くの作業者の方たちが、線量計すらつけずに働いていました。
そうした方たちの被ばくの実態はほとんど伝わってきていません。ここでも多くの
情報が隠されているか、調べられていないように思えます。
私たちは、被ばく労働の実態についても、注意を最大限に注いでいく必要が
あります。もやは市民の監視の目のみが、作業されている方たち、周辺に
おられる方たち、そしてまた私たち自身を守るのであるからです。
内部被ばく問題について、続けて考察を行っていきたいと思います・・・。
*****************
内部被ばく:県外原発で働く福島出身作業員から相次ぎ発見
毎日新聞 2011年5月21日 2時36分
東京電力福島第1原発の事故後、福島県外で働く同県出身の原発作業員から、
通常ならめったにない内部被ばくが見つかるケースが相次いでいる。大半は事故
後に福島県に立ち寄っており、水素爆発で飛散した放射性物質を吸い込むなど
したとみられる。周辺住民も同様に内部被ばくした可能性もあり、福島県内の
一部自治体は独自に検査を検討している。
【日下部聡、石川淳一、町田徳丈、袴田貴行、池田知広】
◇事故後立ち寄り…内部被ばく4766件
経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長が16日の衆院予算委員会で
明らかにしたデータによると、3月11日以降、福島第1原発を除いた全国の
原子力施設で、作業員から内部被ばくが見つかったケースが4956件あり、
うち4766件はその作業員が事故発生後に福島県内に立ち寄っていた。
柿沢未途議員(みんなの党)の質問に答えた。
保安院によると、体内からの放射線を測定できる機器「ホールボディーカウ
ンター」による検査で、東電が内部被ばくの目安としている1500cpm(cpmは
1分当たりに検出された放射線量を示す単位)を上回った件数を電力各社から
聞き取った。1人で複数回検査を受けるケースがあるため、件数で集計した。
1万cpmを超えたケースも1193件にのぼった。
いずれも福島第1原発近くに自宅があり、事故後に家族の避難などのために
帰宅したり、福島第1、第2両原発から他原発に移った人たちとみられる。
柿沢氏によると、北陸電力志賀原発(石川県)で働いていた作業員は、3月
13日に福島県川内村の自宅に戻り、数時間滞在して家族と共に郡山市に
1泊して県外に出た。同23日、志賀原発で検査を受けたところ5000cpmで、
待機を指示された。2日後には1500cpmを下回ったため、作業に戻ったという。
取材に応じた福島第2原発の40代の作業員男性は第1原発での水素爆発
以降、自宅のある約30キロ離れたいわき市で待機していた。その後、検査を
受けると2500cpmだった。「大半が(半減期の短い)ヨウ素で数値は(時間の
経過で)下がると思うが、不安だ」と男性は話す。
同県二本松市には「市民から内部被ばくを心配する声が寄せられ」(市民部)、
市は乳幼児や屋外作業の多い人などを選び、県外のホールボディーカウンター
で内部被ばくの有無を測定することを検討している。
◇内部被ばく
呼吸や飲食などで放射性物質を体内に取り込み、体内から放射線を浴びる
こと。体外からの外部被ばくに比べ継続的で危険が高い。体表から10万cpmを
超す線量を検出すれば放射性物質を洗い落とす「除染」が必要とされるが、
東電は内部被ばくの恐れがあるとする目安を、ホールボディーカウンターで
1500cpm超の場合としている。大量の内部被ばくはがんになるリスクを
高める一方、時間と共に排せつされ、排せつも含めた「半減期」は成人では
ヨウ素131で約7日、セシウム137で約90日。
◇扉ゆがむ棟「そこで食事すれば体に入って当然」…福島第1の作業員
福島第1原発で作業拠点となっている免震重要棟は、3月に起きた1、3号機の
水素爆発で扉がゆがみ、放射性物質が一時入り込みやすくなっていたという。
40代の作業員男性は「そこで食事しているから(放射性物質は)体に入っている
でしょう」とあきらめ顔だ。「『ビール飲んで(尿で体外に)出しゃいいよ』って
感じですよ」
◇空気中線量高く機器測定不能に
今月現場に入った作業員男性(34)は内部被ばくの検査態勢の不十分さを
懸念する。「周りのほとんどは検査を受けていない。特に20代の若手が不安
がっている」。東電は3カ月に1回の定期検査のほか、恐れのある時の随時検査
を定める。だが今月16日現在、検査したのは全作業員の2割程度の約1400人、
このうち結果が確定したのは40人にとどまる。最も高い線量を浴びた作業員は
240・8ミリシーベルトで、うち39ミリシーベルトは内部被ばくだった。
東電によると、同原発のホールボディーカウンター4台は空気中の放射線量が
高すぎて正確に測定できず、使えるのは福島第2原発といわき市の東電施設、
柏崎刈羽原発の3カ所のみ。今後増設するとしているが、内部被ばくした場合、
作業に従事できないのが通例だ。県内のある下請け会社社長は「このままでは
福島の作業員が大量に失業する可能性がある」とも懸念する。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110521k0000m040151000c.html
原発のウォッチに戻ります。
非常に重要なニュースが毎日新聞に掲載されました。
「東京電力福島第1原発の事故後、福島県外で働く同県出身の原発作業員から、
通常ならめったにない内部被ばくが見つかるケースが相次いでいる。大半は事故
後に福島県に立ち寄っており、水素爆発で飛散した放射性物質を吸い込むなど
したとみられる。周辺住民も同様に内部被ばくした可能性もあり、福島県内の
一部自治体は独自に検査を検討している。」
というものです。
これらの方々は、福島第一原発近くに自宅があり、事故後に避難などで自宅に
戻ったことがあったり、福島第一、第二原発から他の原発に移った人とみられて
います。
ここから重要なことが二つ指摘できます。
一つに、事故当初、水素爆発によって飛散した大量の放射性物質により
非常に多くの内部被ばくが発生しているという事実です。
つまりこれは原発内の労働で起こったというより、事故による放射能漏れを
原因とするものであり、たまたまこれらの人々が、その後に他の原発で
働いて、ホールボティーカウンターでの計測を受けれたことから表面化
してきたものだということです。
しかも記事は次のようにも述べています。
「3月11日以降、福島第1原発を除いた全国の原子力施設で、作業員から
内部被ばくが見つかったケースが4956件あり、うち4766件はその作業員
が事故発生後に福島県内に立ち寄っていた。」
その中には、「3月13日に福島県川内村の自宅に戻り、数時間滞在して
家族と共に郡山市に1泊して県外に出た」方も含まれている。
わずか数時間の立ち寄りで被ばくした可能性が高いのです。
となるとすれば、その間、原発の近くにいた住民の方々の間で、内部被ばくが、
かなり広範に起こっている可能性があります。この調査が速やかに行われる
必要があります。
すでに放射性物質による汚染が、各地の牧草やお茶、汚泥などから見つかって
いて、放射能が私たちの身の回りから現れてきていることを、これまで
取りあげてきましたが、とうとう、人体への被害の一端が浮上してきてわけで、
とても胸が痛みます。
さらに二つ目に大事なこととして、記事からは、福島第一原発の収束作業の
現場でも、かなり深刻な内部被ばくが起こっていることがうかがわれます。
記事には次のように書かれています。
「福島第1原発で作業拠点となっている免震重要棟は、3月に起きた1、3号機の
水素爆発で扉がゆがみ、放射性物質が一時入り込みやすくなっていたという。
40代の作業員男性は「そこで食事しているから(放射性物質は)体に入っている
でしょう」とあきらめ顔だ」。
この時期には多くの作業者の方たちが、線量計すらつけずに働いていました。
そうした方たちの被ばくの実態はほとんど伝わってきていません。ここでも多くの
情報が隠されているか、調べられていないように思えます。
私たちは、被ばく労働の実態についても、注意を最大限に注いでいく必要が
あります。もやは市民の監視の目のみが、作業されている方たち、周辺に
おられる方たち、そしてまた私たち自身を守るのであるからです。
内部被ばく問題について、続けて考察を行っていきたいと思います・・・。
*****************
内部被ばく:県外原発で働く福島出身作業員から相次ぎ発見
毎日新聞 2011年5月21日 2時36分
東京電力福島第1原発の事故後、福島県外で働く同県出身の原発作業員から、
通常ならめったにない内部被ばくが見つかるケースが相次いでいる。大半は事故
後に福島県に立ち寄っており、水素爆発で飛散した放射性物質を吸い込むなど
したとみられる。周辺住民も同様に内部被ばくした可能性もあり、福島県内の
一部自治体は独自に検査を検討している。
【日下部聡、石川淳一、町田徳丈、袴田貴行、池田知広】
◇事故後立ち寄り…内部被ばく4766件
経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長が16日の衆院予算委員会で
明らかにしたデータによると、3月11日以降、福島第1原発を除いた全国の
原子力施設で、作業員から内部被ばくが見つかったケースが4956件あり、
うち4766件はその作業員が事故発生後に福島県内に立ち寄っていた。
柿沢未途議員(みんなの党)の質問に答えた。
保安院によると、体内からの放射線を測定できる機器「ホールボディーカウ
ンター」による検査で、東電が内部被ばくの目安としている1500cpm(cpmは
1分当たりに検出された放射線量を示す単位)を上回った件数を電力各社から
聞き取った。1人で複数回検査を受けるケースがあるため、件数で集計した。
1万cpmを超えたケースも1193件にのぼった。
いずれも福島第1原発近くに自宅があり、事故後に家族の避難などのために
帰宅したり、福島第1、第2両原発から他原発に移った人たちとみられる。
柿沢氏によると、北陸電力志賀原発(石川県)で働いていた作業員は、3月
13日に福島県川内村の自宅に戻り、数時間滞在して家族と共に郡山市に
1泊して県外に出た。同23日、志賀原発で検査を受けたところ5000cpmで、
待機を指示された。2日後には1500cpmを下回ったため、作業に戻ったという。
取材に応じた福島第2原発の40代の作業員男性は第1原発での水素爆発
以降、自宅のある約30キロ離れたいわき市で待機していた。その後、検査を
受けると2500cpmだった。「大半が(半減期の短い)ヨウ素で数値は(時間の
経過で)下がると思うが、不安だ」と男性は話す。
同県二本松市には「市民から内部被ばくを心配する声が寄せられ」(市民部)、
市は乳幼児や屋外作業の多い人などを選び、県外のホールボディーカウンター
で内部被ばくの有無を測定することを検討している。
◇内部被ばく
呼吸や飲食などで放射性物質を体内に取り込み、体内から放射線を浴びる
こと。体外からの外部被ばくに比べ継続的で危険が高い。体表から10万cpmを
超す線量を検出すれば放射性物質を洗い落とす「除染」が必要とされるが、
東電は内部被ばくの恐れがあるとする目安を、ホールボディーカウンターで
1500cpm超の場合としている。大量の内部被ばくはがんになるリスクを
高める一方、時間と共に排せつされ、排せつも含めた「半減期」は成人では
ヨウ素131で約7日、セシウム137で約90日。
◇扉ゆがむ棟「そこで食事すれば体に入って当然」…福島第1の作業員
福島第1原発で作業拠点となっている免震重要棟は、3月に起きた1、3号機の
水素爆発で扉がゆがみ、放射性物質が一時入り込みやすくなっていたという。
40代の作業員男性は「そこで食事しているから(放射性物質は)体に入っている
でしょう」とあきらめ顔だ。「『ビール飲んで(尿で体外に)出しゃいいよ』って
感じですよ」
◇空気中線量高く機器測定不能に
今月現場に入った作業員男性(34)は内部被ばくの検査態勢の不十分さを
懸念する。「周りのほとんどは検査を受けていない。特に20代の若手が不安
がっている」。東電は3カ月に1回の定期検査のほか、恐れのある時の随時検査
を定める。だが今月16日現在、検査したのは全作業員の2割程度の約1400人、
このうち結果が確定したのは40人にとどまる。最も高い線量を浴びた作業員は
240・8ミリシーベルトで、うち39ミリシーベルトは内部被ばくだった。
東電によると、同原発のホールボディーカウンター4台は空気中の放射線量が
高すぎて正確に測定できず、使えるのは福島第2原発といわき市の東電施設、
柏崎刈羽原発の3カ所のみ。今後増設するとしているが、内部被ばくした場合、
作業に従事できないのが通例だ。県内のある下請け会社社長は「このままでは
福島の作業員が大量に失業する可能性がある」とも懸念する。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110521k0000m040151000c.html