『どうぶつさいばん・ライオンのしごと』
竹田津実 著・あべ弘士 絵
「ライオンがヌーの子どもの母親を食べてしまった」。それをテーマにして、草原の動物たちによる裁判が繰り広げられる。
単純に、それぞれが生き残るための手段だと思ってきた「食べる」という行為。けれど、それには、実は、もっと大きな役割りが備わっているのです。
動物たちの証言により、丁寧に、ライオンがヌーを食べるということが、どんな意味を持つのかが、明らかにされていきます。
ライオンが食べることにより、草食動物は数が一定に保たれ、よって、草原が保たれる。ライオンが食べるのは、弱い、力のないもの。つまりそれは、病気である者も多く、ライオンが食べることで、群れは、病気による全滅を免れるのです。
マサイの村では、人間に守られて牛は安全に暮らしているけれど、病気で、いっぺんに200頭もの牛が死んだことがある。そんな証言が飛び出したときには、なんだか、胸が痛くなりました。
モンゴルの羊飼いの老人が言います。オオカミは羊を食べるけれど、実は、羊を病気から守ってくれる、羊の守り神なんだ。だから、モンゴルでは、オオカミを全部は殺さないのだと。
自然と対話しながら、自然界のルールに耳をすませながら、生きていくことが、どれだけ大切なことなのか。それが出来ない人間が葬ってきた動物の、なんと多いことだろう。そして、止まることのない温暖化。人間は、本当に愚かな動物です。
もっと、自然と対話しよう。でないと、この地球は、滅びてしまうよ!
そんな、壮大なテーマにも繋がっているような、そんな気がした一冊でした。
息子は、黙って、黙って、ききいっておりました。
これからを担う子どもたちに・・・・・大人が、こんなにしてしまった地球を託す、今の子どもたちに、是非とも感じてほしい、考えてほしい。そんな一冊でした。
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ヌーがかわいそう、なんて綺麗ごとじゃなくて、これが本物の動物たちの世界なんだと、子どもたちにも伝えたいですね。
大人が真っ先に反省しなきゃいけないのですが。
こういう大切なことは絵本になっていてくれると助かります。
生態系保護の別の一面を私も知りました。
素敵な本の紹介ありがとうございます!あべさんの他の絵本も大好きです!
しかも、「こぎつねヘレン」の森のお医者さんとタグを組んでいるんですもの、おもしろいはずですよね。
私も、うむうむと唸るところがたくさんあります。
動物保護じゃなく、生態系保護が大切なんですよね。
無知が一番恐ろしい。そんな気がしました。
こももさんの記事拝見して、改めてすっごくすっごく読みたくなりました^^
とっても大切なテーマが込められていて、子ども達と話したくなりました。
でも、この本は、今までと違う、新鮮な視点で描かれていました。
良かったです!
ヒトだけが生態系からはずれてしまってヒサシイですものね。ちょっと思考がその他の動物からずれちゃってるのかもしれません。
そうですね。思考がずれちゃってるのかもしれません。もどしてやらないとね。