『ひなぎくの冠をかぶって』
グレンダ・ミラー作・伏見操 訳・板垣しゅん 画
(「BOOK」データベースより)
幼い妹が死んだとき、グリフィンの心は罪悪感でいっぱいになった。
嫉妬心から、妹なんていなくなればいい、と思ったからだ。
ぼくのせいで妹は死んだんだ…。
家族を亡くした悲しみを、残された家族はどのようにして乗りこえるのか。
美しい自然描写と心理描写を織り交ぜながら描く、少年の心の軌跡。
家族を失った時、どうやったら、その悲しみを乗り越えることが出来るのか。
きっと、色々な方法があって、きっと、色々な人が、それを模索し、苦しんでいるのだと思う。
私が選んだ方法は、グリフィンと同じように、自分を責めること・・・なんだろうなと思う。
悲しみを何かに転化しなければ、とても、耐えられない、弱い心。
グリフィンを深い悲しみから救いだしてくれたのは、ひなぎくの冠をかぶった、一人の女の子。
彼女の魔法は、家族一人ひとりが、自分だけで抱え込んでいた悲しみを、「共有しあう」という
大切な時間を作ってくれる。
その瞬間こそ、グリフィンの心が救い出される瞬間だ。
涙があふれて止まらなかった。
こんな風に、本を読んで嗚咽したのは、いったい、どのくらいぶりだろう。
私は、未だに、自分の悲しみや罪深さを、友だちには明かせても(それも一部だけれど)、
家族にだけは、明かすことが出来ないでいる。
共有する怖さ、それをすることで、逆に、自分の心のバランスが崩れるような恐怖感。
だから、たぶん・・・一生このままだろうと思っている。
でも、もしかしたら・・・いつか・・・こんな日がくるのかもしれない。
本を閉じた後、そんな、穏やかな気持ちが、心の片隅にポツンと湧き上がった。
もしかしたら、だけれど。