ぐるっとパスでは毎回お世話になっています…っていうか、実際にはパス期間中でない時でも通常の料金を払って何回となく訪問しているこちら。所蔵品の量/質が素晴らしいので企画展といっても実際には”定番”を並べ替えて、それに一部入れ替えて、という作業を繰り返されていますが、それでもちっとも飽きずにお邪魔しています
石橋財団、正二郎さんの孫の中には最近政治家として見識を疑わせる発言を重ねる兄弟を輩排出して顰蹙をかっていますが(よく理解していなかった…って一国の宰相たる者のいうべきセリフかね)、所蔵の美術品については鑑識眼含め敬服致します。
今回の”印象派”に関して言えば、第4、5室にルノアール、モネなどの作品を並べ第6室にそれに対応する日本画家の作品を並べる、という形で”企画展”を構成しています。従い、tokyoboy的にはこの美術館の白眉と考えるコローの作品など前期印象派は第1室に集中し、後ろ第8室にやはり定番ピカソの部屋(《腕を組んですわるサルタンバンク》など)に挟まれる形となりました。
正直、第6室に入ると何やら”痛み”さえ感じる気がしました…
と、エース級を集中させてバランスを欠いたきらいはあるのですが、例えば直前出掛けたヒルズで開催中の「ボストン美術館展」でモネの作品8枚並べたのに対し、こちらも7枚平然と並べ対抗。向こうの代表格がルーアン大聖堂(これは朝ですかね…)に対しこちらはベニス、と色調は異なるもののいい勝負ですから、ゆったりと鑑賞を楽しめるだけでも、こちらの存在は貴重なものとなります。
と、印象派の作品にフォーカスするフリをして、今回一番興味を持ったのは左の作品藤田嗣治の「猫のいる静物」です。
この作品は上野の森美術館で2年前に開催された藤田嗣治展にも貸し出されていた、と記憶していますし、ここで何時もそこに”居る”のですが、今回改めて周りにだれも居ない環境でじっくり拝見、いやーこれは凄いと思いました。
ブリジストン美術館のどの企画展でも”日本画の部屋”に大抵は掛かっていますので、一度ご覧になることをお勧めします。置かれた魚を中心とする静物のdetailが凄いんです。本ブログではイタリア、バロック派の巨匠カラヴァッジョを何時も称えていますが、この藤田もかなり”来ています”。フレームの藤田ホワイトの板目も美しくパブリシティの仕方さえ間違えなければ大きな企画展の目玉になる作品か、と…
という何時もながらの安定した展示、入場料800円が無料となって、ぐるっとパス効果は計13,970円となりました。