ファンタジアランドのアイデア

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ランナーズハイと快楽物質

2017-03-09 16:16:44 | 日記
ランナーズハイと快楽物質

 ランナーズハイやジョギング中毒という現象があります。ランナーズハイを体感するためには、運動時間で30分以上、運動量で5000m~10000mを走る必要があります。この現象は、その人の限界に近いペースで走り続けないと、簡単には訪れません。限界に近い運動を続けることは、苦痛です。脳は苦しい運動を和らげるために、オピオイドを分泌し、その苦痛を和らげます。苦痛を和らげるよりもむしろ、快楽を与えるといったほうが良いかもしれません。今回は嘉納さんに、快楽物質についてトット記者が話を聞きました。

記者「最近、オピオイドという言葉が、いろいろなところで使われています。どういう分野で使われているのですか」
嘉納「オピオイドは、医学の分野ではなくてはならない鎮痛剤です。傷の痛みはもとより、手術中の痛みや手術後の痛みを和らげるためには、大変有効な薬なのです。出産に伴う陣痛、ガンによる痛み、そして神経損傷による痛みにも大変有効な薬です。最近、話題になっているのは、長距離の分野においてですね」

記者「走る筋肉には、速筋と遅筋があります。速筋は、収縮速度も速く張力も大きいがすぐに疲れてしまう筋です。遅筋は、収縮が遅く力も小さいが、なかなか疲れない筋ということです。これらの筋とオピオイドがどう関係するのですか」
嘉納「オピオイドが関係するのは、長距離選手が多く持っている遅筋になります。長距離選手のトレーニングは、遅筋を肥大させるより、速筋を萎縮させることになります。速筋を萎縮させることで、遅筋の面積を増やし、持久力を高めるわけです。蛇足ですが、筋骨隆々の優れた長距離選手はいませんよね。筋骨隆々は、速筋のかたまりだからです。長距離走は、苦しい場面が出てきます。苦しければ苦しいほど、脳は苦痛を和らげるために、オピオイドを分泌します。その時鎮痛効果とともに、幸福感や爽快感が訪れるのです」

記者「それが、いわゆる脳内麻薬といわれるものですか」
嘉納「そうです。苦痛を和らげる快楽物質が、オピオイドです。この物質は、1種類の化学物質ではありません。オピオイドは、エンドルフィンやエンケファリンに分類される物質をまとめて表す言葉です。医学で使われるオピオイドの代表例が、モルヒネです。エンドルフィンは、『エンド』と『ルフィン』の合成語です。ちなみにルフィンは、モルヒネです。エンドルフィンの作用は、モルヒネの6.5倍とされるほど強力なものですよ」

記者「これほど強力な、脳内麻薬が体内で作られていたのですか」
嘉納「はい、箱根駅伝やマラソンで苦しそうに走る選手には、このオピオイドが分泌されていたのです。ランナーズハイは、体調が悪くても毎日毎日疲れたように走り続けます。走るのを休むと、麻薬の禁断症状に似た症状が現れます。走らないことに罪悪感を感じたり、ふさぎ込んだりすることもあるのです。コーチや監督はこのような選手を素早く把握して、適切なアドバイスをすることが必要です。脳内麻薬を求めすぎると、麻薬と同じような危険を招くことがあります。熱心すぎる選手には、注意が必要です。特に、トップ選手にはそのケアが必要なります」

記者「依存症は、薬物だけだと思っていました。人間によるやり過ぎも注意しなくてはいけないわけですね。ところで依存症には、どんなものがあるのですか」
嘉納「3つあります。一つは、物質への依存が有名です。いわゆる薬物依存やニコチン・アルコール依存です。喫煙依存症は日本に1300万人もいます。タバコが手軽な点は、作用が喫煙開始後10秒で現れます。そして吸ってからほっとするまで、15秒という手軽さです。報酬系が快感を得るまでに、15秒で到達することになります」

記者「速いですね。アルコールはどうなのですか」
嘉納「日本のアルコール依存症は230万人ともいわれています。タバコの依存症に比べると少ないのです。でも、アルコール依存症は一度かかると治りません。この依存症は、進行性で完治はすることはないのです。230万人の中で入院して治療を受けているのは年間1万人程度になります」

記者「恐いですね。物質依存の他には、どういうものがありますか」
嘉納「人間関係への依存があります。恋愛とカルト宗教、ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待などがあります。恋愛がいきすぎればストーカーになります。夫の仕打ちに耐えて尽くせば、ドメスティックバイオレンスになります」

記者「最近、問題になっている共依存関係ですね。『わがままな子供とそれに耐える母親』などもそうですよね。もう一つは、どういうものですか」
嘉納「プロセスへの依存です。ギャンブルやインターネット、ネットゲーム・買い物、そして仕事中毒などがありますね。ネットゲームは、熱中を生むように設計されている点です。人気のあるゲームを分析すると、快感と脳内麻薬の理論が上手に組み込まれているのです。巧妙に報酬系を刺激し、ドーパミンを分泌させるように設計されているわけです」

記者「すると、ゲームは危険なものと考えるべきなのですか。絶対にしてはいけないものですか」
嘉納「そこまで、真剣に思い詰めない方が良いですよ。ゲーム依存症やギャンブル依存症は、依存症としては軽い部類に入ります。ゲーム依存症を克服し、社会生活に復帰する人は多いのです。特に、株取引などで活躍している人達は、ギャンブルに対する耐性を持った人ですよ。依存症とドーパミンの関係も個々に明らかにされていくでしょう。また、ドーパミンとは逆の作用をするセロトニンの抑制物質の研究も、進んでいきます」
記者「適度な快楽は、人間を幸せにします。でも、過度の快楽は人間を縛ってしまうように思いました。少し快楽についてわかったようです」


ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。