人手不足が、如実に表れる時代です。派遣会社の実力が、問われる時でもあります。アマゾンも人材派遣業者を通じて、師走の宅配に必要な人材を募集しています。神奈川県小田原市の物流センターでは、時給1,850円のお金を支給する条件で集めています。昨年まで、年末年始の繁忙期は、大学生が長期休業に入るために時給が下がる傾向があったのです。でも、今年はどの業界でも、人手不足が深刻で、時給が前月に比較して2.4%増の1,013円と高水準で推移しています。ある程度の規模を持つ企業は、パートやバイトを自社で採用するよりも、派遣会社を通して大量に雇用する仕組みができているようです。
そこで、派遣会社によるパートやバイトの定着について考えてみました。派遣会社も人手不足の時代になると、多くの優秀な人材を提供することが困難になります。現在の日本の職場は、雰囲気が険悪というところが90%を上るといわれています。上司に、余裕が亡くなりつつあるようです。時間的ゆとりのなさや部下と親しくなりすぎると権威が失われるといった上司の危惧があるようです。また、間断なく起きる経営危機に、「仕事は遊びや社交の場ではない」といった切迫感が蔓延しているのかもしれません。でも、パートやバイトの立場からは、辛ければすぐに辞めるという行動を取りやすくなりました。別の働く場所が、すぐに見つかるからです。中間に立つ人達には、辛い時代になってきました。
上司と関係の良くない部下は、冠状動脈疾患を発症する割合が30%も高いそうです。反対に、上司や同僚が自分を一人の人間として気にかけてくれるという感情を持つ社員は、健康で生産的で会社の利益に大きく貢献しているようです。雰囲気の悪い職場の上司は、人間関係を良くするための努力をしていないようです。良い点を指摘する上司の下で働く社員は、辞めることが少なく、生産性を上げることが分かっています。職場における良好な人間関係は、社員のモチベーションを高めるのです。上司は、モチベーションを高めるいくつかの術を常に研修しておくことでしょう。毎日、部下達の良い点を3つ見つけ出すことを繰り返した上司がいたそうです。その良い点を、まわりの社員や上司に話していくのです。部下本人にいわなくとも、そのことが伝わり職場の絆が強くなっていったそうです。職場の人との絆を多く感じている社員は、仕事の効率や自分のスキルを改善するための時間を多く費やす人材に育っていくようです。
これからの社会では、社員を使い捨てにする会社に成長の目はありません。これからは限られた人材に末永く働いてもらう時代です。人材派遣会社は、社員の良い点を多く指摘する会社に社員を派遣することです。10のうち8は良い指摘を、2つは改善の指摘をしてくれる会社が理想です。社員を大事に使いその才能を高めていき、付加価値の高い作業をする人材を多数擁する派遣会社が有利になります。派遣会社も受け入れる会社も、社員を育て伸ばしたほうが社会全体としては有益です。良い点を見つける努力やモチベーションを高める術を身につけることは、一種の人間関係資本といわれるものです。この資本は、やがて大きな配当を会社にもたらすようになります。