「何か、外が騒がしいと思ったら!!」
店の中に仁王立ちしていた理容師は、きりっと云う。
「他一族がいたからか!!」
「とにかく!」
「この頭を!!」
「どうにかして!!!」
「お、ヘビか」
理容師はきりっと、へび呼ロイドを見る。
「お前、どんな毒を持ってるんだ!?」
「もう毒とか、聞き飽きたわー!!」
マツバさん、思わず、理容師にストレート。
「う、ぐふっ!!」
理容師はよろけつつ、
「ふ、・・・やるな」
決め顔!!
「早く、この頭を何とかしてほしいのよ!」
「その頭は・・・」
理容師の顔が真剣になる。
が
アヅチとマツバ(と、へび呼ロイドも?)は
爆発後に、よくあるぼーーんの、アフロ髪型です。
「夢を、・・・見たんだ」
理容師は、持っていたシャンプーを置く。
「昨夜、砂一族特製のパンを食べた少年と」
アヅチ?
「特選野菜料理を食べた少女と」
マツバ??
「のぞき窓に挟まった風船とヘビのようなものが」
・・・・・・。
「頭ボーンで、この店の扉を開けて入ってくる夢を!!」
・・・・・・
・・・・・・。
あー~
そうですか。
「おっさん、早くしろよ!!」
アヅチとマツバは、勝手に椅子に坐る。
おっさんの話とかどうでもよい。
「こんなんじゃ、外を出歩けないわ!」
「そうかそうか」
理容師は、うんうんと頷く。
「とにかく、坐りなさい」
「もう坐ってるわよ!!」
「メニューはいかがなさるかな、お客様」
「元に戻してぇ~」
「ふふふ。君は、バリカンで剃ってあげよう」
「おぎゃー!!」
「安くすんでいいわね!!」
「ところで、他一族のお客様」
きりっと、理容師がハサミを持つ。
「お支払いはいかがなさいますかな!」
「お、」
「お代?」
この世は、何かを得るために、代価を支払わなければならない。
アヅチとマツバは、へび呼ロイドを見る。
が
「当店、カードのお取り扱いはしておりません!!」
「な、」
「なんですって!」
「では、はじめましょう」
「はじめるなー!!」
くっ、と、アヅチは鏡越しに理容師を見る。
このままでは、
食い逃げならぬ、切り逃げ(?)で、また牢に入れられてしまう!
「ちょっと待って!」
マツバが声を上げる。
「いったい、どの部位がお望み!?」
「ぅおおおおをを!? マツバさんっ!?」
・・・砂一族は、人を食べるって(以下略)
「ふふふ。」
理容師は、ハサミを動かしながら云う。
「そんな難しいものではない」
理容師は、ちらちらと、へび呼ロイドを見る。
「う・・・、やな予感が」
へび呼ロイドは寒気を感じた!
アヅチとマツバは、顔を見合わせる。
そんな難しいものではない、と云う、理容師の言葉を信じるしかない。
次回!
「夢幻章伝」初のヘアースタイルチェンジか!!?
乞うご期待!
と
「大変だ!!」
カットの途中ですが
大慌てで、他の砂一族が入ってくる。
「大変だって!」
その言葉に、理容師はハサミを動かしながら、息を吐く。
「まったく、今日は騒がしいな!!」
「当たり前だ!」
「いったい何だ?」
「なんでも、ねまってる料理が降ってきたらしい!」
「なんだって!」
理容師は、思わずよそ見!
(よい子はマネしない!)
「ねまってる、」
「料理!!」
「大切な水を使って作った料理を、いったい誰だ!!」
「まったくだ!!」
「ふざけたおせ!!」
「犯人は、新薬(どちらかと云うと毒)の、治験刑だな!!」
「まったくだ!!」
アヅチとマツバは、おとなしく、そして、顔を見合わせる(2回目)。
早いとこ情報を集めて、ここを出ようと強く誓ったのであった。
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