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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「夢幻章伝」40

2015年06月16日 | 物語「夢幻章伝」

「いやぁ、すっきりしたな」
「そうね、いつもより短くなっちゃったけど」

アヅチとマツバは理容室を後にする。

さすがのボンバーヘアは
いかなるカリスマでも
元の長さに戻せなかったという。



「大丈夫、大丈夫
 例え髪型が変わっても、
 大体次回でいつもの髪型に戻っているから」

そう言う物だよ~、と
軽い感じで理容師が言う。
入り口でお客さんのお見送りらしい。

「「次回……?」」

「そんな事よりも
 助かったよ、これからの研究にも役立つな」

理容師はニコニコだ。
お代はすでにお支払い済み。

視線の先には、へび呼ロイド。

「ひどいよ
 おいら、毒蛇じゃないのにー!!!」

なんか、色々搾り取られたらしい。

「大丈夫だ、
 毒かどうか、何に使えるかは我々が決める!!」

砂一族は少女であろうが、理容師であろうが
みんな、こんな感じなのか。

「向上心……ある、よな」

とりあえず、良い感じにまとめておいた。

手を振る理容師に見送られながら
アヅチ達は足早に村を進む。

「そもそも、
 マツバが、紫外線予防トリートメントと
 肌に優しいカラーをしたから割高になったんだからね」

「これからまた、砂漠を横切るのよ
 予防策はとって置かなくちゃ」
「そうだよな、
 また砂漠か、早いところ用事を済ませて
 安全で、快適で、くつろげる村に行きたいな」

「ところで何をどうするんだったっけ?」

ええっと、
アヅチとマツバは本来の目的を思い出す。

「各一族に伝わる
 美味しい料理と観光を」
「そっちじゃない方!!」

へび呼ロイドのツッコミも
おきまりパターンになりつつあります。

「確か、ギャーズンドコズンドコ(名前)に捕らわれた
 へび呼ロイドの同僚達(通称:分子)を
 助ける手がかりを?探す?んだっけ?」

疑問形。

「なんか、それ、もう良いんじゃない。
 ギャーズンの手下になって居るのか知らないけど
 まぁ、自由に過ごして居るみたいだし」
「それぞれの村でそこそこの悪さはしているみたいだが」
「いつの時代も、
 ちょっとした農作物被害はあるものだしねぇ」

いつか、ほどほどに駆除されるか。

害虫扱い。

「あかーーーーん!!」

へび呼ロイドは叫ぶ。

「NO、駆除!!
 YES、救出!!」

「何だ、その
 NOなんじゃろ、NOライフ的なって、うわっ!!」

ふと、砂一族の村の角を曲がったところで
急に現れたそれらに、
アヅチ達はぶつかりそうになって思わず歩みを止める。

「え?」
「え?」
「あ?」

「ぎしゃ!!?」

しーん。

一同は動きを止める。

そこにいたのはへび呼ロイドの同僚ズ。

まず、第一に
お前達いつの間にか牢から居なくなっていたのに
ここに居たのかーい、という事。

第二に、
砂一族の水を大量に飲み干した同僚ズと
一緒にいるところを見られたら
また、牢に逆戻りなのでは、という事。

そして、

同僚達は何かを持っている。

「鍵?」
「……どこの?」
「鍵って、まさか!!!!」

分子―――同僚達が
途中で居なくなったのは。

「牢の鍵!!???」

つまり、
分子達が途中で居なくなっていたのは
アヅチ達を助けるために、
牢の鍵を探しに行っていたというのか。

「お前達……」
「ぎしゃぎしゃ(鳴き声)」

アヅチは感極まって言う。

「遅いわああああああああああ!!!」

ここ一番の
アヅチの叫びでした。



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