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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」246

2020年10月16日 | 物語「約束の夜」
満樹は、村を歩く。

そのまま、大将のもとへと行くつもりだ。
今回のことを報告して、そして、

そして

その後は、どうするのか。

報告もどこまでするつもりなのだろう、自分は。

「満樹」

誰かの声。

「満樹!」

満樹は振り返る。

「お帰り」
「光院・・・」

光院が笑う。

「よかった。帰ってきたんだ」
「ああ・・・」
「大将のところに行くのか」
「そのつもり、だけど」
「なら、一緒に行こう」

満樹の横に、光院が並ぶ。

満樹は云う。

「報告を聞くつもりか」
「そう」
「あとで聞けると思うけど」
「今もあとも、一緒だろう?」
「・・・・・・」
「何か都合の悪いことでもあったか?」
「・・・・・・」

満樹は、黙る。

ふたりは、東一族の村を歩く。

いつも通りの村。
ついこの間まで何かに狙われていた。
そんな感覚は今はない。

「いつも通りが1番だ」

光院が云う。

「光院」
「何だ」
「みんな、どこまで知っている?」

満樹は呟くように云う。

「どこまで、とは?」
「自分のこと、だよ」

自身は純粋な東一族ではない。
混血。
しかも、片方の血は
東一族と反する、西一族のもの。

それがはっきりと判って、
そもそも東一族特有の魔法も扱うことも出来ず

「自分は、これから・・・」
「満樹」

光院が云う。

「さっきも云っただろう」
「・・・・・・?」
「いつも通りが1番だ、って」
「それは、どう云う、」

光院は、空を見る。

「晴れてるな」
「え? あ、ああ」
「俺が知らない満樹の友人たちも、どこかでこの空を見てるんだろう」

空はよく晴れている。
気持ちのいい、青空。

「いつも通りだ」
「・・・・・・」
「お前の昔のことがいくら判ろうとも」
「光院」
「な、満樹」
「でも、俺は、」
「じゃないと、お前の父と母はどうする?」
「・・・・・・」
「そもそも知っていたわけなんだから」

自分は、父親の子ではないと。
敵の一族の血をひく、と。
それでも、
自分の子として、育ててくれた父と母。
東一族として受け入れてくれている、仲間。

満樹は、空を見る。

どこかで同じように
きょうだいたちも、この空を見ているのだろうか。

「光院」
「何だ?」
「感謝する」

光院は、笑う。

「まあ、まだ考えることは多いだろうけど」

満樹は頷く。

光院は、目の前を見る。
そこは、大将がいる場所。

「これからも、よろしくな」

光院の言葉に満樹は頷く。

「満樹がいないと、砂漠当番周りが早いからさ」
「そこ!!?」





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