「妹を守るお兄ちゃん・・・」
「おっと!」
満樹がチドリの言葉を繰り返したので、
チドリは、自身の口を手で覆う。
「ひょっとして、傷付いた?」
そして、にやりと笑う。
満樹の様子をうかがう。
満樹は、口元に手をやる。
「いや、その方が、都合がいい、か?」
「ん?」
あれ? と、チドリは口元がゆがむ。
東一族と西一族の、そもそも仲間問題。
↓
でも、兄妹のように見えていた?
↓
なら、自身の一族に見られても大丈夫(何が?)
↓
恋人の耳に入っても、ごまかせるよね!
「うん、都合がいいな!」
「そう云う話だったっけ?」
おいおい、と、チドリがツッコむ。
「俺、誠実に、京子に告るぞ」
チドリは立ち上がる。
「いや、待て」
満樹が云う。
「云うほど、そんなに時間は経っていないだろう」
「時間は関係あるのか?」
「え?」
チドリが云う。
「恋愛に時間は関係あるのか?」
「・・・えーっと」
満樹は、考える。
それは関係あるのか?
ないのか?
西一族を好きになるのに、東一族じゃなければよいのか?
北だから平気?
いや
一族とか関係あるのか?
そもそも
なぜここで、男子ふたりで女子トークをしているのか??
「判ったよ、満樹」
チドリが手をかざす。
「頭の中が、ごちゃごちゃだろ?」
「だな」
「時間をくれ」
「えーっと」
何だっけ
何だっけ?
俺たち今、裏一族を探しているんじゃなかったっけ??
「京子を見つめ直すのに、時間が欲しい」
「それは」
個人の自由だろう。うん。
「俺も、パーティに混ぜてくれ」
「ああ、うん。なるほど」
「うん」
「なるほど、ね」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「いやいやいや!!」
絶妙な間のあと、満樹は立ち上がる。
「パーティって何、仲間!? 仲間!!?」
「そう」
チドリが踏み込む。
「京子を改めて、見つめようと!」
「おぉお」
「時間をくれ!」
「でも、俺たちは今は、いろいろと忙しくて」
「俺も役に立つかもよ?」
「まさかの!」
満樹が云う。
「なら、自己紹介しよう」
「自己紹介って?」
「えーっと、必殺技とか?」
要するに、
手の内を明かせと、満樹は云いたい。
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