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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」109

2018年10月23日 | 物語「約束の夜」

北一族の村に着いて数日。

昼食を取りながら
今後について話し合う3人。

「あれから、色々探りを入れているけど」
「裏一族からの接触はみられないな」
「………」
「裏通りに範囲を広げてみる?
 裏だけに」
「面白くないぞツイナ。
 京子、どうだ?」
「………」
「京子??」

「あ、ええ!?なにて!?」

「ええっと、京子」

ツイナが声をかける。

「なんだか、ぼーっとしているけど
 大丈夫??」
「え?」
「具合悪いのか!?」

いやいや、と
首を振る京子。

「なんでもないの。
 ただ、」

うん。と
姿勢を正す京子。

「お兄ちゃんが失踪して、
 初めての有力情報だったから」

今まではなんの情報もなく
半ば諦めかけていた。
もしかして、と。

「良かった。
 お兄ちゃん生きていたんだぁ」

うぅと少し涙ぐむ京子。

良かったねぇと頷くツイナと満樹。

「いや、でも。
 兄に会いたければって、
 美和子が言っていただろう」

それはそれで、
有力情報だったのでは。

「それはぁ」

う、う、と
なんやかんやで色々考え込んでいた京子。

「死体の前に連れて行かれるのかとぉおおおお」

「怖っ!!!」
「そんな事考えていたのか、京子」
「だって、相手は、裏、だし!!」
「そうかそうか!!
 怖かったな、うん!!」

「でも、生きてる。
 美和子と一緒だったっていう理由は分からないけど」

希望が、持てる。

「良かったな。京子」
「ありがとう、ツイナ、満樹」
「今日はパーティーだね」
「そうね、記念だもの」
「そうだ………えぇ?」

きゃっきゃ、と盛り上がる京子とツイナ。

「美味しいお店で、ご飯食べよう」
「ブタの丸焼きとかね」

「このタイミングで!?
 そして、この前の教訓を思い出せ、お前達!!」

ちょっと、席を外す、と
立ち上がる満樹。

休憩スペースに辿り着き、
1人考え込む。

「………うーん」

こうやって、3人で裏一族の事を探っているが、
京子の一番の目的は兄の耀を探すこと。

西一族で狩りに手慣れているとは言え、
あくまで、普通の年頃の少女だ。

満樹のように普段から戦いの訓練を積んでいるわけでも
ツイナのように特殊な力を持っている訳では無い。

裏一族を相手にすると言う事は
命の危険にも晒される。
見なくても良い残酷な事を
目にしてしまうかも知れない。

このまま、
一緒に連れ回しても良いのだろうか。

「あれ?君、確か」

声が聞こえて、そちらに顔を向ける。

「京子と一緒だった。
 確か、そう、……満樹」
「チドリ」
「そうそう、覚えてくれていて嬉しいよ」

よ、と
満樹の隣に腰掛けるチドリ。

「こんな所で奇遇だな?」
「そうだな、京子達なら
 中で飯を食べているぞ」

いやいや、と
チドリは頬杖をつく。

「今日は満樹に用事があってな」
「俺か?」
「そう、聞きたいことがあったんだ」

裏一族の接触だろうか。
身構える満樹にチドリは問いかける。

「満樹って、京子の恋人?」

「………」
「そうなのか!?」

「いや、……違うけど」

あれ?もしかして、俺達そう見えるのか?と
これって、戒院とかに見られたら
まずいのではで頭を抱える満樹。

「ふぅん、それなら良かった」
「良かった?」

「俺、京子の事。
 結構気に入ってるよ」

「………」

「なに?問題あるかな?」
「北一族は華やかな街だからな。
 言い方は悪いが、信用できない」
「俺もそう見える?
 結構誠実だと思うよ」
「京子はあれで繊細な所もあるんだ。
 遊びで手を出すような事はするな」
「満樹は恋人でもないのに。
 口を出す所か?」
「仲間だからだ」
「仲間、ねぇ」

顔が怖いよ、とチドリが指摘する。

「どちらかというと
 妹を守るお兄ちゃんって感じだな」




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