「………ちょっと、
状況がよく分からないわ」
「そうだね、
俺達はお昼を食べていた訳だけど」
「えぇ、えびピラフ美味しかったわ」
それが、
いったいどうして、
「満樹が席を外し」
「なかなか、
帰ってこないなぁと思っていたら」
と、2人はお店の外に出る。
そこには集まったギャラリー達と
彼らに囲まれるように
距離を取り満樹とチドリが立っている。
「東一族の武術は有名だからな。
お手柔らかにお願いしたい」
「そちらこそ。
北一族の魔術は噂に名高い」
「いざ」
「尋常に」
「「勝負!!」」
満樹が繰り出した手刀を
おっと、とチドリが避ける。
「なるほど。
ある程度は動けるようだな」
「これからの時代は
多種、多様で、なきゃ、なっ」
「だが、避けてばかりでは
つまらないぞ」
満樹がふっ、と屈み
片手を軸にして
蹴りを繰り出す。
「おわっ!!」
声を上げてチドリが転がる。
「なんて、ね」
が、あえて距離を取ったそこで
持っていた杖を
トン、と地面に打ち付ける。
「これは!!」
満樹を中心にして
地面に淡い光が浮かび上がる。
「紋章術、だと!?」
浮かび上がったのは
魔方陣。
満樹の攻撃を避けるようにして
杖の先で地面に描いていた文様。
術は発動しているが
まだ完了していない。
満樹はその地面に描かれた文様を
足で擦り消す。
「あ、やっぱり東一族。
対処法も分かってるか」
「どういう事だ!?」
「なにが?」
「術として完成の程度はあるが
あれは東一族の魔術だ」
「そう」
にっこりと、チドリは笑う。
「満樹は東一族だろう。
折角ならば、東の魔術で、ってね」
「驚いた」
そう、満樹は言う。
水辺を囲むいくつもの一族。
彼らにはそれぞれの戦い方がある。
もちろん、
その一つである魔術も
一族ごとに特徴がある。
一族の体質、血統に特化した術。
他一族の術を
こうも容易く使いこなすと言う事は
チドリの腕が高い証拠。
「お前の腕を認めるよ」
試して悪かった、と
満樹は手を差し出す。
「こちらこそ。
満樹が本気を出していたら
危なかったよ」
よろしく、とチドリも手を出し
改めての握手。
「待って待って!!」
どういう事なの、と京子とツイナが
2人に駆け寄る。
「どうして2人が
手合わせ?決闘?しているの!!??」
「これはあれじゃない、京子。
私のために争わないでーってやつ」
「もうそのネタは忘れてツイナ」
みんなからモテモテになるかもだった
京子の旅のイメージの事です。
「いや、確かに」
うーん、と渋い顔で満樹が答える。
「京子のために争った?の?かも???」
「どういう事なの!!!!?」
そして、なぜ
そこでも疑問系なの?と
京子は今日一番の大声を出す。
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