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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」226

2020年07月03日 | 物語「約束の夜」
これで、すべて終わり、だ。

何ひとつ、自分たちは父親に逆らえない。

云われるがまま。
生まれたときから決まっていたと云う運命を。

このまま、終えるだけ。

光が集まる。

何かの魔法がはじまっている。

「・・・・・・!!」

禁じられた魔法。
それが、

もはや、周りは何も見えない。

翼と耀、そしてチドリ。
周りにいる皆の顔も。

ばたばたと、倒れる音。

身体の力が抜けていく。

「心配するな」

声が聞こえる。

「眠るように、終わるだけだ」

京子は手で探る。
誰かを、
誰かの手を握ろうと。

誰か・・・。

・・・・・・。

・・・・・・。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・あれ?」

集まった光が消える。

京子は顔をあげて、あたりを見る。
他の皆も顔をあげる。
互いの顔が見える。

「・・・・・・?」

「何が?」

先ほどの空間とは違う。
怖ろしい気配は感じられない。

「え?」

何が起きた?

いや、

「何も起きていない?」

満樹が呟く。

「何も起きて」
「いない?」
「なら、いったい何が」

「こちらが聞きたい」

声が響く。

低く。

それは、

京子たちに向けられているのではなく。

「何をしている」

父親の声。

「チドリ」




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