全英連参加者のブログ

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8月答申に当たって[大学設置・学校法人審議会大学設置分科会長報告]を読んで。

2015-09-09 04:00:00 | 気になる 教育行政

 以下全文引用。

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 このたび、当審議会は、本年4月に諮問のあった平成28年度開設予定の公私立の大学の学部等について審議の上、別紙のとおり答申を行ったが、審議を通じた所見について、以下のとおり報告する。

1 昨年11月に諮問のあった大学新設案件を含め、申請案件全体では、3件の申請取下げがあり、また、設置計画の更なる吟味を必要とするという判断から、最終判定を留保し審査を継続することとなった案件が7件あったこれらの案件は総じて準備不足の傾向が顕著であり、設置の趣旨・教育上の目的、教育課程、教員組織、施設・設備等の面で、大学等の設置に関する基本的理解を欠いているのではないかと懸念されるようなものも散見された。このため、文部科学省に対しては、各申請者が、当該専門分野の教員をコアとして構成・計画を練り、十分な準備の上申請を行うよう、周知・徹底をお願いする。

2 本年度の申請の大きな特色の一つは、約40年ぶりの医学部設置案件があったことである。審査に当たっては、医学部という特殊性に応じた「審査の観点」を整理した上で、医学部設置の案件のみを審査する特別審査会を設け、書面審査に加えて実地審査を実施するなど慎重な審査を行い、認可を可とする判定に至った。その上で、今日の医学教育に求められている内容・質が漸次高度化していることを踏まえると、今後さらに教育内容や附属病院の体制等を充実させ、教育研究活動の水準を一層向上させることが期待される。また、今回新設される医学部は、東日本大震災からの復興と東北地方における医師の定着という、重要な社会的要請の下に設置されるものである。このような社会からの大きな期待に十分に応えるためには、大学独自の取組だけではなく、地域の行政機関や医療機関等、関係機関との連携を深めることが不可欠である。以上のことから、文部科学省に対しては、設置者が関係機関の支援の下、着実に計画を実施し、所期の目的が確実に達成されるよう、指導・助言をお願いする。

3 認可を可とされた大学等においては、設置認可は出発点であるとの認識に立って、設置計画を円滑かつ確実に履行し、特色ある充実した教育研究活動を展開していくことが期待される。なお、設置計画を履行するに当たって留意すべき事項(「留意事項」)を付されたものについては、完成年度までは「設置計画履行状況等調査」において継続的にフォローアップが図られることとなるが、教育研究活動の水準向上の取組は完成年度以降も不断に行われるべきものであり、その取組を実効性のあるものにするためには、第三者の視点による評価の充実を図ることが重要である。そのため、文部科学省に対しては、当審議会から設置者に対して求めた改善事項やその対応状況を確実に追跡し、加えてその後に行われる認証評価との連携を図り、継続的に改善が図られるようなシステムの構築を要望する。

平成27年8月27日
大学設置・学校法人審議会
大学設置分科会長 佐藤東洋士

 [注] オリジナルは白地に黒文字、下線等はない。念のため。

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 部会長報告を読んで、感じたことを書いてみよう。

 1.について
 黄色字部分が、かなり気になる。
 そもそも大学等の設置を考える社団(学校法人かどうかは問わない)は、それなりに準備をして申請をしているはずである。申請後、3件の取下げと、7件の設置の可否の審査を継続の例がある。これは多いのか少ないのか。既設学部学科の募集を止めて、新学部を申請したところが、前回のリストになかった例もある。
 下線部は、相当抑制的に「散見」と書かれている。認可された大学等への「留意事項」を見ると、一つの学校で数ページにわたるものもある。認可が「可」とされたものでも、とてもたくさんいわゆる「教育的指導」がついている。「継続審査」や「取り下げ」が、どれくらいのレベルか知るよしもないが、大変な状況だったことは、容易に想像できる。

 2.について
 医学部を作ることになった。
 これは、’13-12-02に、「本当なのか、医学部新設」で取り上げたことでもある。下線部がホントに具体化できるかがいまいち不確実である。
 東北薬科大学が設置する医学部卒業生が、医師として臨床に登場するまで最低でも8年かかる。その頃まで、認可された意味を忘れず、医師の養成を続けていけるのか。医師養成を大学だけに任せるのではなく、大げさな言い方かもしれないが「産学官、国と地域総掛かり」でなんとかすることを求めているように読める。
 なお、医学部の新設については、もう一つ動きがある。後日取り上げる。

 3.について
 留意事項については、過去ブログでも何度か取り上げている。今回の答申では、大学の「学部を設置するもの」15件中すべて、「短期大学の学科を設置するもの」3件中すべて、「学部の学科を設置するもの」5件中すべてに留意事項が付いている。大学院についても、新たに「大学院を設置するもの2件中2件、「研究科を設置するもの」9件中7件、「専攻設置又は課程を変更するもの」15件中すべてに留意事項が付いている。留意事項がつくのが当たり前のように見えるが、「特記事項なし。」の方がいい。留意事項付きは「条件付き仮認可」のように見える。
 特記事項の内容を見ると、学事的な面では個々の科目の設定、運用、評価等々かなり詳細な指摘がある。また、教育内容の維持、向上についてどのように担保すべきなのか、職員の年齢構成、担当者未決定への指示等々、こと細かくびっちりと書き込まれている。科目名称の英語名への記述もあった。
 40年ぶりに認可の運びとなった。東北薬科大学医学部については、約2ページにわたり留意事項が書かれている。やはり医学部を作るのは、大ごとなのだと感じた。

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 さて、分科会長の言のとおり、この設置認可は、あくまで出発点である。来年の4月1日でも、新学部の入学式でもかまわないが、Day Oneにむけての準備がやっと堂々とできるのだ。
 近隣の高校教師の注目(監視)が、本格化することも忘れてはいけない。

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 2015-08-31
 「平成28年度開設予定の大学の学部の設置等に係る答申について(平成27年8月27日)


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