棋王戦第2局、AbemaTVを見たら、挑戦者の本田奎五段が渡辺明棋王を破り1勝1敗に追いついたところだった。
少し遅れて入室してきた立ち会いの田中寅彦九段が「金を取ったらどうなるの」と聞いている。ここでは問答は続かなかったけれど、両棋士が大盤解説会場に移動してからのやりとりが面白かった。
金を取ったらどうなったの?
今度は解説の森内俊之九段が聞く。
先手の本田が5一に金を捨て王手したのに対し、渡辺は取らずに逃げて、即詰みのコースに入り投了した。もし金を取っていたら。
本田が「詰みます」と駒を動かすのだが、すぐギブアップ。
渡辺がこうしたらこうなってと動かし始めた。
どうも詰まないのだ。
勝勢の本田が自信たっぷりに金を捨た王手。渡辺は取ることは全然考えていなかった、という。
はったりが通ったみたい、と本田が言って会場に笑いが起こった。
金を取らなかった手を大悪手にしたくない渡辺の、必死に自玉を詰まそうとする姿も会場の笑いを誘っていた。
即詰みはなくても結局負けは変わらない結論になったようだ。
渡辺の明るい気性が場を支配して、ジメッとしない。最高の大盤解説だった。