浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ロザリン・テューレックによる英吉利組曲第3番

2011年05月10日 | 洋琴弾き
久々にテューレックのバッハのCDを入手した。自分でもよく弾いて愉しんでゐた作品がいくつも収められたアルバムである。残念ながら当ブログの範疇にないデジタル録音ではあるが、そこは演奏の素晴らしさに免じてお許しいただきたいと思ふ。

先ず、平均律の第1巻より第1番と第2番の前奏曲と遁走曲。続いて第2巻からも2作品があり、次にテストの為に繰り返し練習した思ひ出のある英吉利組曲第三番や伊太利亜協奏曲などが納められてゐた。此のアルバムにはバッハのグレート・ソロ・アルバム第2巻と書いてあるので、第1巻なるものも存在するはずだ。何が入ってゐるのか気になって仕方が無い。

学生当時はリヒテルのモノラルLP盤をモデルとして練習してゐたのだが、このときテューレックといふ洋琴弾きについては其の名前すら知らなかった。せめて、グールドを毛嫌いせずに少しは興味を持ってゐたらとは、数十年経った今になって思ふことである。と言ふのは、テューレックとグールドには何か近いニュアンスを感じるからだ。勿論、僕の耳にはテューレックの優しい音楽の方が心地よいのだが、各声部の独立する様やタッチの変化の多彩さなどはグールドの特異な世界に最も近いと思ふのだ。前回取り上げたギーゼキングの思ひつきのやうな演奏とは一味もふた味も違ふ。

各舞曲を意外にゆったりとしたテンポで弾いてゐるのも、声部の独立には効果的なのだと感じた。それと、此の人の弾いてゐる洋琴はクラブサンのやうな響きだったりべヒシュタインのやうでもあったりと、音色が変わってゐる。楽器名をご存知の方がおられたら教えていただきたい。なお、此の録音はミニサロンのやうな会場でのライブ録音である。

盤は、米國VAIによるデジタル録音CD VAIA1051。


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