浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ホフマンのモシュコフスキ「西班牙奇想曲」

2012年08月22日 | 洋琴弾き
モシュコフスキの西班牙奇想曲には機械吹き込みとライブ録音の2種類が手元にある。コロムビアへのレコーディングに熱心だったホフマンが1916年10月16日に残した古い方の録音だが、このとき10タイトルの録音を義務付けられてゐたやうで、ホフマンはこの契約をハードに感じていたやうだ。此の翌年は理由は不明だが録音を行ってゐない。丁度、人気絶頂期でコンサートの出演で多忙を極めてゐたのだらうと推察する。其の絶頂期の録音と約20年後のライブ録音を聴いてゐる。

昔よく聴いた曲で非常に懐かしい。20年の隔たりがある2種の録音だが基本的には大きな違いはなく技術面での衰えも感じない。ライブでは会場の熱狂ぶりが感じ取れる分だけホットな気分にさせられるが、ピアニスティックな指さばきを愉しむのなら機械吹き込みの方が好きだ。

しかし、蓄音器で再生するレコヲドはノスタルジックな雰囲気が漂い演奏本来の魅力以上に魅せられてしまふ麻薬のやうな効果があるが(きっとこの感覚は一般的ではないのだらう)、ホフマンはライブの方が圧倒的に面白い演奏家なのだらう。そう云へば弟子のチェルカスキも全く同じタイプの洋琴家だった。

盤は、米国VAI Audioのベンコ氏とマーストン氏によるSP復刻CD VAIA/IPA1036-2。


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