浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

モリッツ・ローゼンタールのライブ録音

2012年06月04日 | 洋琴弾き
久々にわくわくしながらCDをトレーに乗せた。それは音楽史上の大作曲家たちを唸らせた稀代の大洋琴家のライブ録音が手に入ったからである。松田晃演氏がご自宅で「水の反映」をお気に入りのレコヲドとして聞かせてくださった、あのモリッツ・ローゼンタールである。彼の75歳の誕生日に開かれた祝賀会での演奏で、曲はワイスマン指揮伯林國立歌劇場管絃團のSPレコヲドで聴き親しんだショパンの協奏曲第壱番である。

CDのボーナストラックのやうな扱いで、最後にこっそりと収められてゐるため、今までその存在には気付かなかったが、ローゼンタールのライブ音源を愉しむことができて本当に幸せな気分である。ローゼンタールはミクリとリストの弟子であり、ブラームス、チャイコフスキーなどの大作曲家の作品を演奏し、作曲家自身から最高の評価を得てその地位を確固たるものとした洋琴家だ。

音色の美しい洋琴家で、知性を感じさせる絶妙なテンポルバートは現代にも十分に通用する永久保存版的な演奏解釈だと思ふ。20世紀初頭は、奇行で有名だったパッハマンが人気を博し、若きコルトーが浪漫的な感情表出を全面に出して台頭してくる時代であるが、ローゼンタールを聴く限りにおいては、大作曲家たちも知性的な演奏を求めてゐたのかも知れない。

伴奏はトスカニーニとのレコヲドで有名なNBC交響樂團で、指揮はフランク・ブラック。ローゼンタールのライブ音源はまだ他にもあるやうなので探してみやうと思ふ。

盤は、英國Biddulphによる復刻CD LHW040。




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