浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

クライスラー&ルップによるベートーヴェン奏鳴曲第8番

2007年12月27日 | 提琴弾き
前回に続いてベートーヴェンの提琴奏鳴曲第8番を聴いてゐる、フランチェスカッティの名演を初めて聴き、クライスラーの有名なSP盤との聴き比べを思いついた。

フランツ・ルップの洋琴のセンスの良さに感心しながら聴いてゐる。クライスラーは常に主役の座に居り、オブリガートの部分でも主旋律を弾くルップにその座を譲らない。そのやうに僕には聴こえる。これは録音のせいかも知れないが、聴いてゐる者には一種の違和感を感じさせる。

しかし、クライスラーの提琴は自由奔放に歌い、維納情緒に溢れ、細部にはこだわらないその姿勢が前時代的で共感できるのだ。終楽章では作品の内容がうまく整理されて聴き手に伝わってこない(僕にだけ伝わらないのであれば、それは僕の感性に問題がある)もどかしさがある。聴き終えて、多少うるさい印象が残るのが残念だ。

盤は、英國BiddulphによるSP復刻CD 80202-2。


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