浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ユーモレスク・フモレスケに最後のとどめを!

2007年09月23日 | 芸能
僕はクラシックと言ふ分野の中で、どうしても好きになれない旋律がいくつかある。その旋律を聴くだけで気分はめいり、何をする気力も無くなるのである。フモレスケもその一つなのだ。蓄音機の中から聴こえてくる提琴の音色なら構わないのだが、最新録音やオーケストラ編曲ものなどはたまらなく不愉快である。

人にはみな、それぞれに我慢ならない曲があるだらう。その曲が嫌いな理由には、音楽となんらかの記憶が連動してゐるといふことが考えられる。例えば、日曜日の昼に某放送局の「のど自慢」のテーマ曲を聞くと空しい気分になるのは、せっかくの休みの日をだらだらと無駄に過ごしてゐること自体の惨めさが根底に在り、そこから来る感情がセットで記憶されてゐるからかも知れない。僕の場合は間違いなくそうだ。

フモレスケがどうして嫌いなのか、この理由についてはここでは言えないが、この作品の決定的な演奏が見つかった。それは、ヴァーツラフ・スメターチェックといふスロヴァキアかどこかの指揮者がFOK交響團を指揮した演奏だ。FOKはフォーク音楽専門オーケストラの略だが(自信はないが、多分違うだらう)、プラハ交響樂團の前身と思はれる。

録音年代が1941年となってゐるが、この絃セクションのアンサンブルはひどいものだ。同時代の我が国のオーケストラはもっと上手い。西洋文化を輸入して半世紀も経たない日本の方が、西洋文化の中心に在る管絃團よりも演奏技術の水準が高いといふ事実がはっきりと分かる証拠品だ。もう、これを聞けばフモレスケが好きだといふ人は居なくなるだらう。

最後に、FOK交響團の名誉の為に言っておくが、現在はスメターチェクの厳しい指導で技術力を高め、このレコヲドのやうなひどい演奏はしてゐない。

盤は、Classic Pressの付録CD CPCD2001。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。