浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ローザ・エトキンによるスクリャービンの練習曲2つ

2008年11月21日 | 洋琴弾き
当ブログにお便りをお寄せ頂くN久生氏が制作されたCD'Hounds of Ecstasy'第弐巻の最終トラックに、このエトキンといふ未知の洋琴家が収められてゐる。久々の驚きの出会ひに興奮気味だ。

だいいちスクリャービンの作品をこれほど気に入ったことは今まで一度も無かった。N氏の説明によるとエトキンはミハウォフスキの弟子で第1回ショパンコンクールに第3位に入賞した期待の星だったやうだ。1945年、終戦の年にナチの手によって殺されたと書いてある。なんとも残念な話である。

その演奏スタイルは豪快そのものであり、作品8の12などは左手の爆音のやうな伴奏にスケールの大きな歌が乗っかってくる。これを聴いて何も感じない人は音楽を止めた方がいいと思ふ。恐ろしく感動的な名演奏だ。最近になって知った名演奏が幾つかあるが、それらと比較してもこの演奏は超弩級だ。

以前に、オープンリールに仕舞い込んでゐたショパンの名演奏を掘り起こしたことがあった。その人の名は、エトキヌーヴナだったが、ひょっとすると今聴いてゐるエトキンと同一人物なのだらうか。無学な僕にはさっぱり分からないが、この時代の女流洋琴家には現代の常識は通用しそうにない。恐ろしいほどの才能である。

Hounds of Ecstasy~スクリャービン歴史的録音集Vol.2SPレコード編~
オムニバス(クラシック)
ディウレコード

このアイテムの詳細を見る


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
エトキン (Nヒサオ)
2008-11-30 01:34:01
こんばんは!
エトキンの名演を愉しんで頂けたご様子、とても嬉しいです。

ご指摘の通りエトキンの正式名はポーランド風にエトキヌーヴナです。レーベル面にはエトキンと呼びやすく略して表記していたようです。8-12のエチュードに思い入れがあるので色々なピアニストの演奏で聴いてきましたが、エトキンの演奏は3本指に入る名演奏だと思います。エトキンはもっと長生きして、沢山録音を遺して欲しかったピアニストの一人です。現代のピアニストではこうは弾けませんね。この重大な差に気付かない人が多いのは、実に残念な世の中になってしまったものです。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。