浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

オスカー・レヴァントによるガーシュインの前奏曲

2008年11月17日 | 芸能
米國のハリウッドスター、オスカー・レヴァントはシェーンベルクに学んだ経歴を持ち、洋琴弾きとしてレコヲドも数多く残してゐる。ホセ・イトゥルビもそうだが、米國のエンターテイナーの芸の奥深さを象徴的に表してゐるやうに思ふ。

写真のやうに電視台番組の司会を務めたり、映画に出演したり、作曲した歌をヒットさせたりと実に多才だ。ガーシュインの佳き仲間だったレヴァントによる「ラプソディ・イン・ブルー」とその裏に入ってゐる前奏曲を聴いてゐるが、独特の間合いでレヴァント流の弾き方を披露してゐて面白い。ただ、伴奏のオールマンディがお行儀良すぎていまふたつだ。

ミスタッチ一つ無い快速ラプソディの次には情感たっぷりと歌い上げる前奏曲第2番が聴ける。続く第3番は少々前のめりの普通の演奏だ。レヴァントはガーシュイン以外にグリーグやチャイコフスキーの協奏曲もSP時代に録音してゐて、トスカニーニとの共演もある。

僕は以前、専門馬鹿に徹することを一つのステータスシンボルのやうに思って生きてゐた時期があったが、ハリウッドのやうな世界ですらこの奥深さである。昔の音楽家は本当に面白い。今の時代の人たちは、いったい何に忙しくて心を失ってしまったのだらう。もっといろいろなことに挑戦できるはずだ。僕は、開眼した。今から10年20年後に別の才能を開かせやうと思ふ。

盤は、米國ColumbiaのSP 12126を復刻した私家版CD-R 765-0038PF。


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