(47)札幌「偕楽園緑地」の歌碑 平成24年10月建立(『一握の砂』より)
偕楽園緑地の啄木歌碑
アカシヤの街樾にポプラに
秋の風
吹くがかなしと日記に殘れり
啄木
この歌は、啄木が明治40年9月14日に札幌に着き、翌15日、市内を散策した時の様子です。15日の日記には「アカシヤの街樾を騒がせ、ポプラの葉を裏返して吹く風の冷たさ、札幌は秋意漸く深きなり」と書かれています。当時、札幌の人口は小樽、函館に次いで第3の都市でした。この歌碑は啄木没後100年を記念して建立されました。
啄木日誌
明治40年9月14日 午前4時小樽着、下車して姉が家にはおり、11時半再び車中人となりて北進せり、午后一時数分札幌停車場に着、今札幌に貸家殆んど一軒もなく下宿屋も満員なりといふ、
明治40年 9月15日 午后は市中を廻り歩きぬ。札幌は大なる田舎なり、木立の都なり、秋風の郷なり、しめやかなる恋の多くありさうなる都なり、路幅広く人少なく、木は茂りて蔭をなし人は皆ゆるやかに歩めり。アカシヤの街樾を騒がせ、ポプラの葉を裏返して吹く風の冷たさ、朝顔洗ふ水は身に沁みて寒く口に啣めば甘味なし、札幌は秋意漸く深きなり、
明治40年9月18日 せつ子より小樽発のハガキ来る、函館を十六日夕出立せしが、停車場までは岩崎並木大塚の諸君及びお幸ちやん秀ちやん、吉野の潔さん等見送りくれし由、諸友の好意謝するの辞なし、
なお、啄木の歌碑をまとめた私の本「啄木歌碑めぐり」(盛岡タイムズ社印刷)が函館市中央図書館・札幌市中央図書館にありますので、ご覧になってください。