梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

やることいっぱい!

2009年08月09日 | 芝居
《歌舞伎体験教室》は、初の“全体稽古”でございました。
これまで、各役ごとに分かれてお稽古をしていたのが、今度は相手の演技を受けたり、逆に渡したり。自分の台詞が、誰に、どこに向って言うものなのか、初めてわかったというお子さんも…。
だいぶ雰囲気が変わったので、とまどったり緊張したりする場面もままございましたが、今日のカンジを掴んでくれれば、明日以降の稽古では、グンとまとまってくれると思います。
…本興行の稽古もする、<大稽古場>での稽古でしたから、みんな声をどこまで出していいかわかりかねていたみたい。遠慮なく、恥ずかしがらずに大きな声を出してくれればよいなァ…。

            ◯

大雨の中を車で移動して、松濤の藤間御宗家稽古場へ。『双面』も本当の追い込みです。
「もっとラクに」「ファジーに」「気持ちで動くように」…。これまで御宗家から頂いた様々な課題。そろそろ結果が出てこないと…。いろんなことを<忘れて>、振りや仕草が、体に染み込んだものとして、自然に生まれるように。もうひとふんばり、踊って踊って踊りまくって、叩き込まねば!

《苫舟の会 研究公演》、《趣向の華》の稽古も同時に行っていますので、半日御宗家で過ごしています。
《研究公演》ではほとんどの演目で後見をさせて頂きますが、御宗家のご一門の方々が、新たに振り付け、演出をなすったものですので、お手本がないだけに、これまでの経験を応用して自分たちで段取りをつくっております。これも本当に勉強になります! 日頃大変なお世話になっている御宗家の会に、こうしてお手伝いができますことは、本当に有難く、少しでもご恩返しができたらと思っておりますが、かえって足を引っ張るようなことがあってはなりませんのが、プレッシャーといえばプレッシャー。

《趣向の華》の『有馬猫』も、だんだんとまとまってまいりました。
私が勤めさせて頂く、“悪い腰元”。最初は恥ずかしかったのですが(これを仲間にいうと信じてもらえない!)、段取りがまとまってきますと、お役の面白さが見えてくるところ多々で、こちらが突っ込んで演じないと、虐げられる萬屋(梅枝)さんの哀れも引き立ちません。お芝居が水っぽくならないように(ただでさえ“素”なのですし)、行儀はまもりますけれども、できるか限り憎々しく演じたいと思います。