梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

『音の会』いよいよ本番

2008年08月08日 | 芝居
<音の会>『弁慶上使』の初日通り舞台稽古でした。
生まれて初めて“赤姫”の拵えをさせて頂きましたが、なんとマァその重いこと! 衣裳は緋綸子に金糸銀糸でふんだんに縫い取りがされ、打掛も着る。鬘は産褥にあるということで“下げ髪”に“病鉢巻き”…。この卿の君は、まだ幕開き10分ほどで出番を終えますし、座ったままで動きがないのでので負担ははるかに少ないのでしょうが、『十種香』や『鎌倉三代記』あるいは『妹背山道行』。演者によっては『吉野山』の静でも同様の拵えで動き、踊り、長時間の芝居をする。そのことに、どれほどのご負担がかかっているのか、今日初めてわかった次第です。
打掛の中とか、下げ髪の内側に、熱がこもるのですね~。じっとしているお役でも、いつしか汗が…。

とりあえず、何事もなく自分の出番を終えましたが、明日からの本番はもっと落ち着いて、その役を<演じる>のではなく、その役に<なって>舞台に出られたらな…。

舞台稽古後は松濤へ行き、宗家稽古場で『勢獅子』の稽古。
今日は鳶頭も揃いましたので、一通り本番通りの進行で。
御宗家のおはからいで、稽古用の衣裳を出して頂きました。いざ本番同様に裾を引いて踊りますと、その捌き方に気をとられたり、思わぬ所で足にからんだり引っ掛かったりして、振りに集中できなくなってしまいますが、過去に『双面』でお引きずりの踊りを勉強させて頂いたおかげか、それほど苦しむことなくできました。
といっても、体の使い方、形、まだまだ課題ばかりです。御宗家のおっしゃる<背中と腰を使う>踊り方。全然できていません。自分に負けることが一番悔しいので、なんとか今より一歩でも先へ! とにかく今は、苦しいけど頑張るしかないのです!