梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

本格始動です

2008年08月03日 | 芝居
昼過ぎから、松濤の藤間御宗家のお稽古場で『勢獅子』の稽古。
<芸者おこう>役の中村歌女之丞さんと、初めて一緒に踊りました。
今回の振付けでは、芸者2人は連れ立って花道から出て、七三でのひとくさりがございます。これまでは相手が<いるつもり>で、ひとりの稽古をしてきましたが、やっと2人で振りを合わせることができ、あちらがどのようなイキで踊られるか、居所の取り方など、踊りながら確かめて…。今日はまだこなれませんでしたが(私の順応力不足です!)、これから徐々に合ってくると思います。
今日は勘祖師が見て下さり、沢山ダメを頂きましたが、形や動きに対するのではない、「(芸者は)お洒落に踊るのよ」という言葉の難しさ…。初日までにはなんとかそうなりたいのですが。まだまだ数をこなさなければいけません。とにかく振りを体に馴染ませて、気持ちと動きがつながるように…。

稽古後は国立劇場へ。大稽古場にて音の会『弁慶上使』のお稽古。卿の君は、この前よりかはゆったりした気持ちで取り組めました。なにせセリフはひと言で、このセリフで失敗したら取り返しがつきません。姫、私は姫、高貴の姫…。お稽古に臨む前はそう言い聞かせお腹をつくっておき、芝居が始まったらなにも考えずに自然体で。本当に、<品格><位取り>というものは、作って出せるものでないので大変です。

今日は『弁慶上使』の他に、『車引』や『番町皿屋敷』のお稽古もあり、役者控え室はとっても賑やかでした。久しぶりに会う仲間もいて、それぞれの7月の舞台のことを聞いたりして。大阪も国立も、比叡山薪歌舞伎や東コースも、それぞれ楽しい思い出が生まれたようで…。