梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

『音の会』初稽古

2008年08月01日 | 芝居
第十回『音の会』での「弁慶上使」の稽古がはじまりました。
全ての出演者が揃っての稽古は今日が初めてです。監修・指導の加賀屋(魁春)さん、指導の高麗屋(錦吾)さんもお見えになり、国立劇場大稽古場にて。

私は幕開きに登場いたします“義経の室 卿の君”を勉強させて頂きます。短い出番ですが、この、義経の子を宿した姫君のために、武蔵坊弁慶はじめ、侍従太郎夫婦、おわさ、信夫の運命が大きく変わるということを考えますと、あだや疎かにはできない存在でございます。動きはほとんどないので、たたずまいや雰囲気が高貴の育ちらしく見えるよう、品と格に重々注意して、その場にしっかりと“いる”ことができるよう努力します。大旦那、6世歌右衛門のおわさで度々卿の君と信夫をお勤めになった加賀屋さんに教われるのは大変有難いことでございますが、今日は、セリフを<お姫様らしく>言うようにご注意を頂きました。常にもまして鷹揚に、ゆったりと! そこに気持ちもしっかり込めて…。

市川新蔵さんは昨年の『勧進帳』に引き続き2年連続の弁慶役。一門の先輩、歌女之丞さんが針妙おわさ。同期の坂東玉朗さんが信夫。『勢獅子』でも共演する、先日結婚したばかりの市川升一さんが侍従太郎でどっしりとした立役に挑戦。尾上徳松さんが奥方花の井で支えて下さいます。
このメンバーが一丸となって、盛夏の三宅坂で義太夫狂言に取り組みます。なにとぞご声援のほどお願い申し上げます!