梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

松風月稽古場便り <い>

2006年05月27日 | 芝居
今日は<六月大歌舞伎>稽古初日。歌舞伎座客席ロビーにて『暗闇の丑松』からでした。
私は二幕第三場に出てくる<若い者>というお役です。成駒屋(福助)さんがなさるお米が自害した後、その亡骸を戸板に乗せて運ぶ役です。初めてのお役なのですが、なんだか前にやったようなことがあるような…と思ったら、本年一月の『藤十郎の恋』で、やはり萬屋(時蔵)さん演ずるお梶の死体を運ぶ役をいたしておりました。<死体運び>なんていう、そうそうないシチュエーションを、二度も演ずるのは珍しいのではないかな…。
『暗闇の丑松』での出番を終えてから渋谷へ移動。今日も藤間宗家で師匠のお稽古です。演目は『二人夕霧』。平成十五年四月以来の再演です。書棚からひっぱりだしてきた、その時の台本を片手にお稽古を拝見しながら、師匠の動きの段取りなどを書き込んだりいたします。このお芝居でも、黒衣の後見をいたしますので、色々と把握しておかなくてはならないことはいっぱいです。三年前もやはり後見をさせて頂きましたが、このお芝居、<出道具>と申している、舞台にあらかじめセットしておく小道具が大変多く、幕が開く前の準備が大変なんです。一つ間違えば師匠を始め皆様の演技にご迷惑をおかけしてしまいますので、このお芝居、普段はボーッとしている私が、いささか興奮気味になる演目の一つではございます。

明日からは、私のもう一つの出番『荒川の佐吉』のお稽古も始まります。今月は、新歌舞伎二つを勉強させて頂くことになりました。またひと味違ったお話をできればと思います。