梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

夏へ向けての第一歩

2006年05月15日 | 芝居
今日から始まりました『修禅寺物語』のお稽古。歌舞伎座に出演中の、紀伊国屋(田之助)さんの楽屋に、参加できる仲間は全員集まりまして、まずは<本読み>からです。
今日は、紀伊国屋さんが台本を通して朗読下さいました。夜叉王もかつらも修禅寺の僧も、すべての登場人物をお一人で演じられたわけです。我々に「こういうイキ、台詞回しで喋ってほしい」というお手本をお示しになったわけですが、一時間近くの長丁場を、休まれることもなく本イキでおっしゃって下さる有り難さ。貴重な体験となりました。私達は台本片手に聞き入りながら、台詞の切り方や抑揚を書き込んでゆきます。随所に動きの段取りや気をつけることなど、芸談的なこともおっしゃってくださり、これも大変勉強になりました。
最後に紀伊国屋さんがおっしゃいましたが、今回の上演にあたっては、<イキの詰んだ>台詞回しを勉強してほしい、とのことでございます。紀伊国屋さんが目にしてきた、昔の名優がたの『修禅寺物語』は、芝居の運びがとても早かったそうです。それは単に早口に喋るとかパッパと動くとかいうわけではなく、台詞を言う<イキ>を詰めることで、メリハリが利き、芝居がだれずに運ばれるということらしいのですが…。言葉で言うのは簡単ですが、いざ自分がイキの詰んだ台詞を言えるかどうか。一生懸命努力いたします。

明日からは我々が実際に喋ります。今からドキドキです。