狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

中国大陸の「地上の星」

2006-03-06 13:45:09 | 県知事選

◆中島みゆきが歌う「地上の星」のテーマソングをバックに、淡々としたナレーションが続く。

日本の技術者集団の地味な努力をドキュメンタリータッチで伝えるNHKの人気番組「プロジェクトX]。

技術者なら自国が世界に誇る技術を世界に広めたいという夢を持つ。

いや技術者でなくとも日本人なら、新幹線の兄弟列車が広い中国大陸を疾走するのは心はずむ夢だろう。

それが戦前満州の荒野を疾走した夢の超特急「あじあ号」のDNAを受け継いでいるともなるとなおさらの事であろう。

先輩達が当時の世界最高峰の技術を結集させた「あじあ号」の「プロジェクトX」。

今では一部の鉄道マニアか懐古趣味者にしか語られなくなってしまった。

◆だが、何か一寸おかしい。

昨年の11月読売新聞は、川崎重工が中国新幹線を受注していた、と報じた。

これで、日独仏の3陣営が三つどもえで採用を争っていた中国の高速鉄道は、日本の新幹線と、 ドイツのICEが二分するというのである。

やはり、おかしい。

それまで中国当局は、日本の新幹線の優秀さは理解するが小泉首相の靖国参拝がある限り日本からは買わない、と明言していた。

しかし、その声を無視するかのように靖国参拝は続行された。

そして日本受注報道である。

そのとき、「そんなはずは無い。ガセネタだ」と言う噂が一部に飛び交った。

事実、11月23日付の英字紙「チャイナデイリー」(2005/11/23(水) 09:21:38更新) は、中国鉄道部のコメントとして、高速鉄道をめぐり、日本の企業連合へ発注するという共同通信の報道を否定した。

その報道の11月から約1年時を遡る、2004年10月20日。

川崎重工が中国新幹線を受注していた事が既に一部の新聞に小さく報じられていた。

≪川崎重工業は20日、中国の在来線高速化プロジェクトで、同国の車両製造大手「南車四方機車車両」 (山東省)や三菱商事、日立製作所などと共同で、中国政府から新型車両60編成(1編成8両)を 受注したと発表した。契約総額は約1400億円。
http://www.sankei.co.jp/news/041020/kei108.htm

川崎重工もホームページでこれを伝えた。http://www.khi.co.jp/sharyo/topic_final/topic041020.html

中国・在来線高速化向け鉄道車両を受注■ 
 川崎重工は、中国における在来線高速化プロジェクト向け鉄道車両を受注しました。  当社は、中国山東省青島市の南車四方機車車両股有限公司(四方)の合作パートナーとして入札に参加し、共同で中国鉄道部より60編成480両(1編成8両)を受注しました。契約総額は約1,400億円、当社の契約金額は完成車・ノックダウン車・国産車用部品を含めて約800億円で、2006年2月から完成車の納入を開始する予定です。

  当社は、三菱商事株式会社、三菱電機株式会社、株式会社日立製作所、伊藤忠商事株式会社、丸紅株式会社等の日本各社を取りまとめ主契約者として、中国鉄道部との契約を本日調印いたしました。当社は、車両の設計・製造全体の取りまとめを行います。(ホームページより)

この報道はその後マスコミでは殆ど触れられないまま昨年11月の読売報道。(下記転載)

そして、去る三月三日の神戸港の「密かな」新幹線車両の中国出荷となる。

新幹線の中国への輸出は、日中国家間の威信を掛けた巨大プロジェクトであ。

・・・にも関わらず、契約調印式は外部には一切伏せられ秘密裏に行われていたという。

これまで新幹線の中国輸出については国内でも賛否両論があった。

テレビで御馴染の評論家三宅久之氏は歯切れ良く次のように反対する。

「・・・新幹線のことで言わしていただきたいんだけれど、私がJRの関係者に聞いたらね、
『例えば中国は電圧が一定しないと。ね、非常にその、高度な精密な機械であるモーターなんかが必ず故障する』そうすると(支那は)必ず「日本は粗悪品を売りつけた!歴史認識が足らん!まだ反省してない!」
って言って必ずややこしいことに発展していくからね、そんなものやめとけ!」

賛成派は「日本の優秀な技術を世界へ」派とも云うべき主として技術畑の人たちである。

これを「プロジェクトX」派と冷やかす人もいる。

ニュースリリースによると、川崎重工は新幹線技術をたった3編成の受注と引き換えに売り渡したと読める。

新幹線の落札にあたって中国側が日本に要求してきたとされる項目。

★技術の移転

・設計図の貸与と技術者の派遣

・車両は数台のみ購入する

・それを分解し、複製し、中国が国内生産することの容認

・さらにそれを 中国独自の技術 として第三国に輸出することの容認

★資金の供与

・落札資金は日本の対中ODA(政府開発援助)を原資とする

・不足分は日本の銀行がシンジケートを組んで中国政府に融資

・対中ODAの増額

・工事は中国国内の業者を用いる

★保障・アフターサービス

・運営における教育・訓練の拡充

・事故が起こった場合の補償・賠償・保守責任

・中国がこれを第三国へ輸出した場合の連帯保証


だが、日本が技術立国を目指すなら、技術の開発のみならず「技術を売る術」も磨かなければならない。

中国が考えているのは、中国自身の手による新幹線の建設である。

そのために必要な先進技術の移転を望んでいるのだ。
  
素人が考えても判ることだが、秒単位で運行される高速鉄道システムも、車両とレールだけで成り立っているのではない。

コンピューターで制御される精密な技術の体系である。

新幹線技術の移転には、もう一つ問題がある。

日本の中国ビジネスに特有なリスクだ。

中国の消費者が日本製商品にクレームをつけるときに、中国人を民族差別してわざと三流品を売りつけたという抗議や謝罪要求のパターンがよくあった。

中国高速鉄道で事故が起きたとき、その原因が使用者側にあったのか、日本の技術に欠陥があったのか、冷静に論じられない場合がありうる。

小泉首相の靖国神社参拝以来、日中両国のトップは相互訪問できない状態にある。

型遅れを輸出すれば日本は中国人民を馬鹿にしているなどと言われ。

最新型を持っていけば技術流出になりかねない。

日中間の新幹線に関する輸出契約を、「不平等条約」だと冷やかす人もいる。

 

◆【北京=東一真】中国政府が総事業費10兆円超をかけて建設中の
総延長1万2000キロの旅客高速鉄道網プロジェクトで、高速網を走る時速300キロ級車両について、
川崎重工業など日本の6社が共同で売り込む新幹線車両「はやて」と、
ドイツのシーメンス社が製造する車両ICEが採用されることが21日わかった。

中国鉄道省は、シーメンスとはまず60編成(1編成は8両)の購入で契約を決めた。
日本の6社とも近く60編成の購入で契約する予定。川崎重工業以外の5社は、
日立製作所、三菱電機、三菱商事、伊藤忠商事、丸紅。

これで、日独仏の3陣営が三つどもえで採用を争っていた中国の高速鉄道は、日本の新幹線と、
ドイツのICEが二分して併存することがほぼ確定的となった。フランスの高速車両TGVは採用されなかった。
新幹線車両は早ければ2008年にも高速鉄道網を走行する見通しだ。

(略)
(2005年11月21日14時39分 読売新聞)

 

◆2005/05/22(日) 02:58:59 ID:???
・中国新幹線にODA 政府、採用なら供与方針
 
政府は二十一日、中国が北京-上海間で建設を計画している高速鉄道に日本の新幹線を採用した場合、
その建設を支援するための政府開発援助(ODA)を供与する方針を固めた。
新幹線採用への呼び水としたい考えだが、政府・与党内の一部などには、日中関係がぎくしゃくしている折、中国は高速鉄道への採用問題を日本に対する新たなカードに使っているとして、ODA供与方針を懐疑的にみる向きもある。

複数の外務省幹部によると、新幹線建設に対するODA供与は、今月十三日から十四日まで北京で行われた
外務次官級の日中総合政策対話で、谷内正太郎次官が戴秉国次官に提案した。
供与の具体的な内容としては、軌道やポイント、駅構内、信号・変電所などの建設に充てる円借款と、新幹線運行の技術協力が想定されている。
(産経新聞)

 

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