たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

古代の葬儀

2019-04-29 09:12:45 | 鉄の神々1

<備前市・忌部神社 いんべじんじゃ>

 

葬儀を行う際、亡くなった方の御遺体を

荼毘にふすための火葬場を、

「斎場(さいじょう)」と呼びますが、

もともと斎場とは祭祀を行う場を指し、

神聖な場所を意味する言葉でした。

 

忌部氏がのちに「斎部」と改姓したのも、

「斎」という文字を使うことにより、

自らの氏族の属性を強調したとも想像できます。

中臣氏(藤原氏)との主導権争いにおいて、

「忌部氏こそが斎場を取り仕切る氏族だ」という自負が、

「斎」の文字から浮かび上がってくるのですね。

 

考えてみますと、忌部氏の「忌」という文字も、

人間の死や葬儀と関わる言葉ですし、

天皇の「死と再生の儀式」、

つまり葬送の儀を執り行うことこそが、

祭祀氏族の主たる役目だったのでしょう。

 

そこで思い出すのが、先日記事にした野見宿禰、

そして野見宿禰が考案したとされる

「埴輪」を使った埋葬法です。

恐らく野見宿禰という人物は、相撲という

「大地を鎮める神事」を執り行うだけでなく、

埴輪を依り代とした「死と再生の儀式」

に通じた祭祀者だったのかもしれません。