たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

航海の守り神

2019-04-13 09:11:50 | 鉄の神々1

<銅矛資料>

 

『播磨国風土記』の記述の中に、

「神功皇后の朝鮮半島征伐の際、

船の舳先に祀ったのがイタテ神だった」

という内容が見られます。

また、住吉大社に伝わる『住吉大社神代記』には、

船玉神とイタテ神との関連が示唆されており、

イタテ神が海人族の信仰する

「航海神」であった可能性も高いようです。

恐らく、イタテ神という神は、

矛や楯を手に敵地に乗り込む武神であると同時に、

航海の安全を守るための船玉神でもあったのでしょう。

 

ちなみに、矛や楯という鉄製品は、

戦いに挑む際の武具として利用されただけでなく、

儀礼用の祭祀具としても欠かせないものでした。

古文献の中には、宮中の大嘗祭において、

「大嘗宮南門に矛・楯を立てた」という話が残っており、

矛は紀伊国の忌部氏が、楯は丹波国の楯縫氏

(忌部氏と同系列)が作成したのだとか。

これらの内容から察するに、イタテ神はイソタケルと同様、

「敵地」あるいは「新天地」に先陣を切って乗り込む、

先鋒部隊(を象徴する神)であり、

矛や楯の製作者の守り神だったことがわかります。