たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

オロチの怨霊

2019-01-26 09:55:50 | 出雲の神社

<鬼神神社 おにかみじんじゃ>

 

ヤマタノオロチ退治の伝説が色濃く残る

奥出雲・斐伊川沿いのいくつかの神社には、

なぜかオロチ討伐には登場しないイソタケルが、

スサノオとともに手厚く祀られていました。

一方、イソタケルが上陸したとされる大田市内では、

意外なほどイソタケルをご祭神とする神社は少なく、

さらに、五十猛町より西の地域においては、、

イソタケルの名前はほぼ見当たらないと聞きます。

これらの事実はいったい何を示しているのでしょうか……。

 

一説によりますと、出雲の斐伊川沿いに、

イソタケルをご祭神とする神社が連なるのは、

「オロチの怨霊を鎮めるため」だったのだとか。

何でもイソタケルは、スサノオに殺され

怨霊と化したヤマタノオロチを追いかけて、

斐伊川の河口から上流へと遡ってきたことから、

近辺に多くの痕跡が残されたのだそうです。

 

ちなみに、鬼神神社の社伝によれば、

その昔、火の玉がイソタケルの御陵に舞い降り、

頻繁に船通山のほうへと飛んで行く様子を見て、

人々は「ヤマタノオロチの怨霊」と恐れたとのこと。

そして現在も、オロチの御魂を鎮めるべく始まった、

龍燈祭というお祭りが続けられていると言います。

もしかすると、イソタケルは植林の神であると同時に、

「怨霊封じの神」としての役目も担っていたのかもしれません。