たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

縄文の精神

2019-01-13 09:58:05 |  能登の神社

<鬼面資料>

 

輪島市名舟に伝わる「御陣乗太鼓」という郷土芸能は、

戦国時代に能登平定を試みた上杉謙信の軍を追い払う、

名舟の村人の姿を表現したものだと言われております。

何でも、多数の兵を連れ村へと押し寄せた上杉軍に対し、

村人たちは古老からの指示に従い、

各々奇怪な面をつけ太鼓を打ち鳴らしながら、

兵士たちの就寝中を狙い奇襲をかけたのだとか。

この世のものとは思えない妖怪の出現に驚いた上杉軍は、

戦わずして退散を余儀なくされたという話です。

 

「御陣乗太鼓」を見ながら感じたのは、古代の能登人は、

鉾や槍などの「武器」を持って争うのではなく、

ある種の「祭祀」や「呪術」を拠り所に、

「敵」と対峙していたのではないかということでした。

気多大社の「鵜祭」において、

神に差し出した「鵜」を殺さず海に放つように、

また真脇でイルカ漁をしていた人々が、

食したイルカの魂を丁重に海に送り返したように、

自分たちとは相容れない価値観をより分け、

最後まで「縄文の精神」を守ろうとしていたのかもしれません。