<七尾市中島町>
七尾の青柏祭の由来に登場する、
「猿」という言葉聞いてふと思い浮かんだのは、
七尾市を中心に能登一帯で祀られる
「猿田彦」という神様のことです。
先日記事にした、七尾市中島の「お熊甲祭」ように、
能登には猿田彦が登場するお祭りがいくつかあり、
能登町の「弓引き祭り」では、
猿田彦に扮した天狗面の男が、
弓を的に当てさせまいと槍を振り回し、
射的の邪魔をするのだとか。これは
射手の精神集中を促す所作だと言われていますが、
能登と猿との関わりを考えると、
どことなく腑に落ちない部分もあるのも事実です。
ちなみに、赤い顔と高い鼻が特徴的な猿田彦は、
神話の中では主に「天孫族と土着の民との
橋渡しをする役目」を担っているため、
天津神とも国津神とも言えない
微妙な立場に置かれています。
恐らく、能登の来訪神のモデルのひとつが
この猿田彦(の一族)であり、その異様な風貌から
「猿」とも「天狗」とも称されてきたのでしょう。
猿田彦の一族は、能登の人々に
様々な知恵と文化を授ける一方で、
一部の「ならず者」集団に限っては、
土地に住む人たちの命や財産を
搾取した経緯があったのかもしれません。