たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

善い猿

2019-01-10 09:13:06 |  能登の神社

<七尾市中島町>

 

七尾の青柏祭の由来に登場する、

「猿」という言葉聞いてふと思い浮かんだのは、

七尾市を中心に能登一帯で祀られる

「猿田彦」という神様のことです。

先日記事にした、七尾市中島の「お熊甲祭」ように、

能登には猿田彦が登場するお祭りがいくつかあり、

能登町の「弓引き祭り」では、

猿田彦に扮した天狗面の男が、

弓を的に当てさせまいと槍を振り回し、

射的の邪魔をするのだとか。これは

射手の精神集中を促す所作だと言われていますが、

能登と猿との関わりを考えると、

どことなく腑に落ちない部分もあるのも事実です。

 

ちなみに、赤い顔と高い鼻が特徴的な猿田彦は、

神話の中では主に「天孫族と土着の民との

橋渡しをする役目」を担っているため、

天津神とも国津神とも言えない

微妙な立場に置かれています。

恐らく、能登の来訪神のモデルのひとつが

この猿田彦(の一族)であり、その異様な風貌から

「猿」とも「天狗」とも称されてきたのでしょう。

猿田彦の一族は、能登の人々に

様々な知恵と文化を授ける一方で、

一部の「ならず者」集団に限っては、

土地に住む人たちの命や財産を

搾取した経緯があったのかもしれません。