<大地主神社 おおとこぬしじんじゃ>
一説に、七尾を代表するお祭り・青柏祭の
「老猿とシュケン」の伝承が生まれたのは、
ごく近年だという話があります。
ゆえに、この物語だけを頼りに、
祭りの起源を判断するのは困難ですが、
意味深なのは青柏祭の拠点となる
「大地主神社(おおとこぬしじんじゃ)」が、
明治15年に祇園牛頭天王社を統合するまで、
「山王社」と呼ばれていたということなのですね。
山王社と言えば、「猿」を神使とする神社ですから、
「神社の社殿にいた猿を退治した」という話が、
どことなく「国譲り」を匂わせる内容にも思えてきます。
ただ、個人的には「偉い人が害獣を退治した」といった
話のすべてが、「権力者」「大和朝廷」「天孫族」……
等の英雄譚だとは言い切れないと考えており、
天孫族が登場する以前の時代には、
実際に「害獣」に相当するような存在が、
人々の生活を脅かしていた可能性もあるのでしょう。
近代の伝承が生まれる背景には、
必ずそれらの元となるような
古い言い伝えが潜んでいるもので、
この青柏祭の老猿の話も恐らくは、
「猿」を暗示する何かが、この地に
跋扈していたことを示しているのかもしれません。