たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

悪い猿

2019-01-09 09:06:17 |  能登の神社

<大地主神社 おおとこぬしじんじゃ>

 

一説に、七尾を代表するお祭り・青柏祭の

「老猿とシュケン」の伝承が生まれたのは、

ごく近年だという話があります。

ゆえに、この物語だけを頼りに、

祭りの起源を判断するのは困難ですが、

意味深なのは青柏祭の拠点となる

「大地主神社(おおとこぬしじんじゃ)」が、

明治15年に祇園牛頭天王社を統合するまで、

「山王社」と呼ばれていたということなのですね。

山王社と言えば、「猿」を神使とする神社ですから、

「神社の社殿にいた猿を退治した」という話が、

どことなく「国譲り」を匂わせる内容にも思えてきます。

 

ただ、個人的には「偉い人が害獣を退治した」といった

話のすべてが、「権力者」「大和朝廷」「天孫族」……

等の英雄譚だとは言い切れないと考えており、

天孫族が登場する以前の時代には、

実際に「害獣」に相当するような存在が、

人々の生活を脅かしていた可能性もあるのでしょう。

近代の伝承が生まれる背景には、

必ずそれらの元となるような

古い言い伝えが潜んでいるもので、

この青柏祭の老猿の話も恐らくは、

「猿」を暗示する何かが、この地に

跋扈していたことを示しているのかもしれません。