たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

ドッペルゲンガー

2018-10-14 09:59:35 |  出雲の神話

<葛城・一言主神社 ひとことぬしじんじゃ>

 

アメノワカヒコの友人であり、

シタテルヒメの兄でもあったアジスキタカヒコネは、

天上で行われたアメノワカヒコの葬儀に出向いた際、

死んだはずのアメノワカヒコと間違えられ、

怒りをあらわにしました。 このときアジスキタカヒコネが、

喪屋を壊すほど激怒した背景には、

いったいどんな理由があったのでしょうか……。

 

この話を読んで思い出したのは、

大和葛城を舞台にして描かれた

一言主神と雄略天皇の一件です。

史書によって、多少ニュアンスが異なるものの、

雄略天皇が自分にそっくりの姿形をした神に出会い、

諸々のやり取りをする部分は各文献ともに共通しています。

(ちなみに続日本紀の記述では、一言主神と狩りをした雄略天皇が、

一言主神の態度に腹を立て、神を土佐国へと追いやったのだとか……)

 

恐らく、自分の分身と出会うということは「死」

もしくは「権威の喪失」を意味したのでしょう。

自らの和魂に出会った大国主神が、この先の展開を悟ったように、

アジスキタカヒコネも自分の分身と出会ったことで、

自らが背負う因果を垣間見たのかもしれません。

もしかすると、気性の激しさで知られる雄略天皇も、

自分の分身に出会い平常心を失ってしまったのでしょうか……。