<能義神社 のきじんじゃ>
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アメノワカヒコの態度を不信に思った神々たちは、
使いの「キジ」に様子を見てくるよう命じます。
しかし、アメノワカヒコの放った矢によりキジは射られ、
その矢は天上界にいる神々のもとまで到達しました。
神々たちは、ますますアメノワカヒコの態度を訝しみ、
「アメノワカヒコに邪心があるなら当たれ」と、
その矢に「呪術」を施して送り返したところ、
矢はアメノワカヒコの胸を射抜いたのです。
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ここで気になるのは、同じように天上界を裏切ったにも関わらず、
特にお咎めもなく、のちの出雲国造家の地位を得たアメノホヒと、
天津神たちの矢に射られて亡くなったアメノワカヒコとの差です。
記紀の記述を読んでも、記紀の編纂者たちは、
アメノホヒの一件より、アメノワカヒコの裏切りに関する部分に、
より詳細な説明を加えているのが見て取れます。
恐らく、早々に大国主神側に寝返ってしまった
アメノワカヒコとは逆に、アメノホヒのほうは、
ギリギリまで大国主神との交渉を続けたのでしょう。
もしかすると、アメノホヒが天上界に戻らなかった3年間は、
大国主神が抱える「ある問題」を解決すべく、
奔走していた時間だったのかもしれません。
大国主神がすぐにアメノホヒの要求を呑めなかった理由とは、
いったいどのような内容だったのでしょうか……。