たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

それぞれの事情

2018-10-12 09:51:34 |  出雲の神話

<阿須伎神社 あすきじんじゃ>

 

最初の使者であるアメノホヒが天上界から派遣されたとき、

大国主神はアメノホヒに、自分がいなくなったあとの

「イズモ(スサノオの荒魂)の鎮めを任せようとした」

と考えても不自然ではないような気がします。

恐らく、天津神たちはそのことを知っていたがゆえに、

大国主神との折衝に当たっていたアメノホヒに対しては、

寛大な処置に留めたのかもしれません。

 

一方で、同じように出雲に帰順したアメノワカヒコに、

なぜあのような厳しい処罰を下したかと想像すると、

それはアメノワカヒコが大国主神亡きあと、

自らがイズモの王となり地上界を支配することに、

野心を燃やしていたからなのでしょう。

さらには、天の矢を用いて神々に歯向かうほど、

その敵対心は天津神にとって

大きな脅威だったのだと思われます。

 

ちなみに、出雲近辺の神社を訪れると、

いわゆる反逆者であるアメノワカヒコを、

主祭神とともに祀っている様子を目にします。

もしかすると、出雲の人たちにとってのアメノワカヒコは、

記紀で描かれているような裏切り者ではなく、

理不尽な手段で土地を奪おうとした天津神から、

大切な国を守った英雄だったのかもしれません。