たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

不協和音

2018-10-03 09:27:59 |  出雲の神話

<粟嶋神社 あわしまじんじゃ>

 

実は、出雲の周辺国に残る風土記の中には、

「大国主神と少彦名神がライバル関係にあった」

とも受け取れる記述が残っていました。

例えば、『播磨国風土記』を読みますと、

ニ神が旅の途中で我慢比べをした という記述がありますし、

また、瀕死の状態の少彦名神を、

大国主神が温泉の湯をかけて蘇生させたという

『伊予国風土記』の逸話も何やら複雑な背景を匂わせます。

 

いずれも、瀬戸内海沿岸の伝承ということを踏まえれば、

出雲や山陰地方以外にも大国主神の勢力が及んでいた、

あるいは大国主神と少彦名神に暗示される

首長と参謀のコンビで、各国の国造りが

行われていたことがわかります。

そして、ときに両者の間には相克が生じ、

不協和音も流れていたのかもしれません。

もしかすると、「少彦名神が常世に渡った」という部分は、

二神の決別を示唆しているのでしょうか……。