たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

意図的な一文

2018-10-07 09:40:11 |  出雲の神話

<大神神社 おおみわじんじゃ>

 

大国主神は自らの分身である大物主神の要求に従い、

御魂の半分(和魂)を三輪山に移すことに決めました。

少彦名神が去ったのち、大国主神の前に突然現れ、

「三輪山」を暗示させる言葉を述べただけで、

唐突にいなくなってしまう大物主という神ですが、

前後の文脈を考えれば、この三輪山の件に関しては、

のちの「ヤマト時代」につなげる伏線であり、

「三輪山の神の正体」を暗示する意味で、

意図的に挿入されたような印象を受けます。

 

また、古事記の記述に注目しますと、

大物主神は「御諸山に祀れ」とだけ伝え、

自らの素性を明かしてはいないことも気になります。

つまり、大物主神は「大国主神の和魂」ではなく、

何らかの比喩的な神名である可能性も高いのでしょう。

神代におけるすべての歴史を俯瞰した編纂者は、

神武天皇の即位地となる三輪山の一帯が、

元々は「国津神(イズモ族)の支配地」であり、

さらに「三輪山には恫喝する神がいた」という事実を、

「三輪山に祀る」という一文に総括したのかもしれません。