<能義神社 のきじんじゃ>
国譲りの直前、三輪山の神からの啓示(恫喝)により、
自らの和魂をヤマトへと鎮めた大国主神は、
アメノホヒが地上界に送り込まれてきた時点で、
「時が来た」ということを悟ったのかもしれません。
そのときすでに、出雲包囲網とも呼べる「時代のうねり」が、
大国主神の周囲を取り巻いていた可能性もあります。
恐らく、国譲りを迫ったアメノホヒに対し、
大国主神はある条件を提示したのでしょう。
それは、大国主神自身の「荒魂」に関する問題であり、
日本という国を守るための重要案件だったはずです。
もしかすると大国主神は、
荒ぶる神・スサノオの御魂を宿す
自らの処遇を少しでも間違えたなら、
地上界だけでなく、天上界にまで被害が及ぶことを、
気づいていたのだと思われます。
出雲に留めた自らの「荒魂」は、
言うなればスサノオの息吹そのものです。
大国主神がすぐには国譲りに応じられなかったのも、
決して自分の保身のためではなく、
スサノオの化身でもある自らの扱い次第では、
地上界に災いが蔓延し、国土が荒廃する様子が
目に見えていたからなのかもしれません。