<三澤神社 みさわじんじゃ>
==========================
アメノワカヒコの死を悼んだアジスキタカヒコネは、
アメノワカヒコの妻・シタテルヒメの元へ弔問に訪れます。
しかし、その姿が生前のアメノワカヒコと瓜二つだったことから、
シタテルヒメは「アメノワカヒコが生き返った」と思い込み、
アジスキタカヒコネにすがり付いてきたのです。
すると、アジスキタカヒコネは、
「私を穢れた死者と間違えるのか」と激怒し、
身につけていた剣で喪屋を切り倒してしまいました。
==========================
この場面では、大国主神の子であるアジスキタカヒコネが、
アメノワカヒコの死を弔うために天に昇った際、
アメノワカヒコの妻であるシタテルヒメに、
亡き夫と間違われたことに憤慨する様子が描かれています。
なぜ憤慨したのかはさておき、そこで唐突に登場するのが、
出雲から遠く離れた「美濃」の名称です。
何でも、怒ったアジスキタカヒコネが剣で切り倒した喪屋は、
地上の美濃国に落ちて「喪山」と呼ばれるようになったのだとか。
実は美濃(および飛騨)という国は、
「イズモ」のひとつだった形跡があるにも関わらず、
阿波の国と同様、記紀にはほとんど登場しない空白の地なのです。
アメノワカヒコ、そしてアジスキタカヒコネという
気性の激しい二神が、「美濃」と関連するのは、
果たして偶然なのでしょうか……。
突如として示される「出雲」と「美濃」のつながりは、
アメノワカヒコの特異な経歴と、
そしてその周囲にいる神々の出自を
密かに暗示しているのかもしれません。