たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

出雲と美濃

2018-10-13 09:55:53 |  出雲の神話

<三澤神社 みさわじんじゃ>

 

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アメノワカヒコの死を悼んだアジスキタカヒコネは、
アメノワカヒコの妻・シタテルヒメの元へ弔問に訪れます。
しかし、その姿が生前のアメノワカヒコと瓜二つだったことから、
シタテルヒメは「アメノワカヒコが生き返った」と思い込み、
アジスキタカヒコネにすがり付いてきたのです。
すると、アジスキタカヒコネは、
「私を穢れた死者と間違えるのか」と激怒し、
身につけていた剣で喪屋を切り倒してしまいました。
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この場面では、大国主神の子であるアジスキタカヒコネが、

アメノワカヒコの死を弔うために天に昇った際、

アメノワカヒコの妻であるシタテルヒメに、

亡き夫と間違われたことに憤慨する様子が描かれています。

なぜ憤慨したのかはさておき、そこで唐突に登場するのが、

出雲から遠く離れた「美濃」の名称です。

何でも、怒ったアジスキタカヒコネが剣で切り倒した喪屋は、

地上の美濃国に落ちて「喪山」と呼ばれるようになったのだとか。

 

実は美濃(および飛騨)という国は、

「イズモ」のひとつだった形跡があるにも関わらず、

阿波の国と同様、記紀にはほとんど登場しない空白の地なのです。

アメノワカヒコ、そしてアジスキタカヒコネという

気性の激しい二神が、「美濃」と関連するのは、

果たして偶然なのでしょうか……。

突如として示される「出雲」と「美濃」のつながりは、

アメノワカヒコの特異な経歴と、

そしてその周囲にいる神々の出自を

密かに暗示しているのかもしれません。