たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

奇跡の楠

2017-06-22 10:31:33 |  無社殿神社2

<引作の大楠 ひきづくりのおおぐす>

 

自然信仰の痕跡があちこちに残る熊野という地には、

これまでご紹介してきた「巨石」「川滝」だけでなく、

スケールの大きな「巨木」の類もたくさん見られます。

かつて南方熊楠が一生をかけて神社を守ろうとしたのは、

「鎮守の森」に育まれた多種多様な樹木の中に、

「命の源」があると知っていたからなのでした。

 

巨木信仰の名残とも言うべきこれらの場所は、

ほとんどの場合、神社境内の一角に置かれていますが、

中には巨大な樹木の存在があったからこそ、

人々の畏敬の念を引き寄せ、次第に「神社」へと

その姿を変えたようなところも少なからずあります。

 

南牟婁郡・御浜町にある引作の大楠は、

日本を代表する民俗学者・柳田国男が、

南方熊楠の呼びかけに応じて協力を申し出、

国に働きかけた結果、伐採を免れた奇跡の楠です。

遠方からでも確認できるその規格外の「生き物」は、

近づいていくうちにさらに凄みを増して行きました。