<神木のイヌマキ こうのぎのいぬまき>
神木のイヌマキがある場所には、
もともと神社があったと聞きますが、
明治時代に別の場所に移され、
巨木だけが残されたそうです。
この地を訪れる人は珍しくはないのか、
すれ違った地元の方々も、
さほど部外者を気に留めない様子で、
さらりと挨拶をしてくれます。
独特の清涼感を伴う朝の風に促され、
ご神木のほうへと近づいてみると、
木の根元には「狩りかけの宮」
と書かれた石と賽銭箱があり、
周囲には白い玉石が敷いてありました。
二重の板玉垣に囲まれたその神域は、
そこそこのスペースがあるものの、
イヌマキの圧倒的な存在感に気圧されて、
見た目以上に狭く感じられます。
このように社殿や祭壇を持たない場所でも、
白い石が奉納されているところを見ると、
やはり浜石の風習は、熊野の全域に
広がっていたのかもしれません。