<丹倉神社 あかぐらじんじゃ>
深い山の中で不思議な存在感を醸し出す、
丹倉神社の白い鳥居の先をのぞくと、
崖下へと続く急な階段が見えました。
とは言え、まないたさまの参道のように、
谷底が見えないほどの高さではなく、
上からでも階段の全長がわかるため、
少しホッとした気持ちになります。
滑らないよう足元に気をつけながら、
ひとつずつ石段を下りて行く途中、
眼下にあらわれたのは巨大な磐座でした。
大地を突き破るように隆起する
その丸みを帯びた大きな岩は、
人間など簡単に押しつぶすほどの体積で、
地面に置かれた祭壇に覆いかぶさるように、
ゆるい曲線を描いて鎮座しています。
恐らく、この場所を最初に見つけた古代人も、
その畏れ多くも「異様な」姿の中に、
神を感じ取らずにはいられなかったのでしょう。
見えない異界の壁を通り抜けるような感覚で、
ゆっくりとその巨岩の前へと足を進めました。